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格付けに負けないワインの秘密

シャトー・ラ・ジョンカード訪問記1
「格付けに負けないワインの秘密」


いくつもの丘陵を超えると、車窓から見えるは、ドルドーニュ川。
ボルドー・シャトー訪問2日目は、コート・ド・ブールへ。

門から続く長い道の向こうにシャトーが

ブドウ畑が続く、なだらかな土地の途中で車がとまるとそこには門構え。門から200m続く路の先には、これぞ、シャトー!の美しい建物。

遂に来ました 「シャトー・ラ・ジョンカード」

シャトー・ラ・ジョンカード外観

シャトー入り口につくと、まずはお決まりの番犬がお出迎え。

続いて、マダム・サテュルニー が、出迎えてくれました。その足元には猫も。シャトーにペットは定番?気のせいか、シャトーの入り口には、ソーヴィニヨン・ブラン種を使ったワインの香りがします。

表現すると「pipi de chat (仏語で 猫のお○っこ)」?
これは、ワインの香り?それとも?

シャトー・ラ・ジョンカード入り口

そのまま、シャトーへと足を踏み入れます。
エントランス・ホールには、家族の写真や、思い出の品が所狭しと飾られています。

格好のいいシャトーの建物とは違い
シャトー支配人一家の温かさを感じます。
このギャップも素敵です。

シャトー内のダイニング 自然光と家具の木の茶色が出す
独特の重厚感ある雰囲気

シャトー内ダイニング

まずは、白ワインで乾杯  
マダム・サテュルニーがサーブしてくれます。
当店の取り扱いのないワインです。
「赤ワインのジョンカードは後で・・・」ということですね。

ワインを注ぐマダム

道上が、日本の最近のワイン事情を説明しながら、ずっと、ジョンカードにお願いしている Bag In Boxの話しへ持っていきます。 小柄で優しそうな感じなのですが、そこはフランス人女性、しっかりとした意志を感じさせる話しぶり。

恥ずかしながら、フランス語は全然判りません。
しかし、うーん、簡単には実現しなさそうな・・・?

ダイニングから、ワインを片手にそのまま裏庭へ

眩しい陽光に溢れる、庭の先に進むと・・・

そこにはなんとボルドーの3大河川 
ドルドーニュ河とガロンヌ河が合流しジロンド河へとなる、大パノラマが!

裏庭に広がる大パノラマ

裏庭に広がる大パノラマ

シャトーを背にして左側が南、正面が西南。
中央に見える貯蔵タンクの向こうがガロンヌ河。
手前がドルドーニュ河。右側がジロンド河です。
下記動画でご覧いただけます。

向こう岸には、日本でも名前が知れている、シャトー・マルゴーも!

ビデオでは、さすがにはっきりと捉えられないのですが、
その面影らしき建物が、かすかに映ってます!
ここは、メドック地区のちょうど対岸にあたるわけです。

この庭の下手に広がる、川に面した斜面。
ヴィニョーブル・ラトゥースで見た、斜面よりかなり急です。

急な斜面の畑

急な斜面の畑

斜面の良さは太陽からの光を、平地よりも多くエネルギーとして受けられます。
加えて、川の水面の反射光で一層暖かさが増す。
凝縮したブドウが出来る環境が整っています!

また、川は、日中の太陽熱をずっと保っていて、
気温が下がる夜には地表よりも温かくなっていて、
川辺のブドウ畑一帯を霜から守る役割も。

この畑で育つブドウは、太陽エネルギーをたっぷりと受けて、
完熟し、凝縮な果実味をもつ良いブドウ。美味しいワインは、良いブドウから。

そう、この川と斜面の畑が、コート・ド・ブール産のワインでありながら
ジョンカードを格付けワインに負けない味わいに仕立てているんです!

来て、見て、納得!

【こちらは、シャトー 屋上からの眺め 一面、ブドウ畑が広がっています。】

シャトー屋上からの眺め

【奥の丘陵手前の集落まで伸びるジョンカードの畑】

シャトー・ラ・ジョンカードが並ぶ

シャトー・ラ・ジョンカード黒ラベル

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歴史!地理!生物! シャトーの課外授業

シャトー・ラ・ジョンカード訪問記2
「歴史!地理!生物! シャトーの課外授業 シャトー・ラ・ジョンカード訪問-2」


マダム・サテュルニーから、ジョンカードの歴史秘話が・・・。

100年戦争当時(1337-1453:日本は、室町時代。銀閣寺で有名な足利義政将軍の時代)このジョンカードの地が歴史的にも重要な場所だったなんて!それにしても、この美しい景色にも、キレイだけではすまされない話しがあるのですね。

裏庭を後にして、シャトーを通りぬけ、シャトー横手のこちらの建物へ。

シャトー横手にある建物

通されたのはテイスティングルーム!
石の壁が、樽を意識したカウンターなどいい雰囲気です。

石の壁のテイスティングルーム

「涼しい」
入った瞬間に、ひんやりとした室内。
道上が言うワインが美味しく飲める温度と湿度。
それも、そのはず。壁の向こうは、樽が静かに眠るセラー。

樽が静かに眠るセラー

後で判るのですが、テイスティングルームの奥がこのセラーと醸造所。
石の壁でしっかりと外の気温から守られています。

世界各地へ輸出されているジョンカード

ジョンカードのワインで世界征服を企むマダム?

ではなく、ヨーロッパ・アフリカ・アジア・アメリカと世界各地へ輸出され愛飲されていることの説明です。 世界地図の上にピンが刺されているところが、征服、いや取り扱いがあるところです。

さぁ、テーブルに座って、蔵出しの赤ワインをそろそろ試飲。

と、思いきや、そのまま、部屋から出て、シャトー正面の畑へ向います。

緑が眩しいシャトー正面のブドウ畑へ。

シャトー正面のブドウ畑

樹齢30年のメルロー種が、すでに実をつけて、気持ち良さそうにぶら下がっています。

【撮影は6月21日。当時日本のブドウ畑では、ようやく小さな実がついたところと聞きました。】

今ごろは、こんな感じで色づきはじめているはず。

色づいたブドウ

ブドウ栽培に関しては、マダムに替わりご子息が、説明してくれます。

ジョンカードご子息

それにしても、ヴィニョーブル・ラトゥースの畑とは、何か感じが違います。

目に映る色鮮やかなバラ!

畑の周りを囲むバラ

こっちにも、あっちにも、畑の周りをバラが囲んでます。
門から続く、正面の通り。

花壇のバラ

それにしても、花壇にしては、バラだけですし・・・。

その、理由を訊いてみると、・・・その内容は動画でどうぞ。

いよいよ、向かうは、醸造所。

シャトーならではの、様々なボトルが我々を出迎えてくれました

一番手前はなんと18リットル! 750mlで24本分。

別名を「メルヒオール」と呼ぶらしく、聖書の三賢者の1人の名前から付けられています。

当店取り扱いの、アンペリアル 6リットル (左から3番目)よりも遥かに大きい!

シャトーならではの様々なボトル

数々のボトル達が静かに見守る中、ついに我々は、遂にジョンカードの心臓部・醸造所へ足を踏み入れます。 

果たして、ジョンカードを飲むことができるのか?

まさか、この18リットルが振舞われる?



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日本初公開!?シャトー・ラ・ジョンカードのワイン造りに迫れ!」

シャトー・ラ・ジョンカード訪問記3
「日本初公開!?シャトー・ラ・ジョンカード のワイン造りに迫れ!」


~除梗(じょこう)から 発酵~

ジョンカードのブドウがワインになるまでの旅のはじまり。

写ってませんが、イマジネーション豊かなあなたには、きっとブドウが見えてくるはず・・・。


動画 「ブドウの収穫 」(再生時間2分22秒)

醸造所

何もしらず、醸造所に運び込まれた房のままのブドウたち。

まだ母なる樹の分身?の柄【果梗と呼びます】にしがみついてます。

ここから、ブドウを入れて、「除梗(じょこう)」という完全な親離れをします。

ブドウの実と柄【果梗】に分けていきます。

ブドウの実の選別

さらに、ベルトの上でブドウの実を選別!

傷んでいる実や熟していない実はワインにはなれない

ここでも、人知れないブドウ同士の別れのドラマが

ローラーにて破砕

ワインになるための試練その1【破砕】

ブドウの実が、ローラーの隙間に挟まれ、ほんのすこしだけ、皮が破ける

酵母と接触し発酵をしやすくするために行なわれます。

破砕機と呼ばれる部分

パイプを通して大移動

皮を破られたブドウは、あふれ出る果汁と一緒に下のパイプを通して大移動
発酵´プール´【槽(そう)】という第2の試練へ

コンクリートの発酵槽

ずらっと並ぶコンクリート式タンクの発酵槽 
その量 19000リットル! そこからできるワインは11000リットル。

ブドウの皮などがカスになって、たくさんこの発酵槽の下1/3にたまります。

その高さは、1mくらいに積もります。

ここに、ブドウジュースを19000リットル、1日で満たしてしまうというわけです。

動画 「発酵について1」(再生時間2分34秒)

動画 発酵とセパージュ(ブドウ品種) (再生時間2分4秒)

発酵はコンクリートタンクでしか行なわない。この木の大樽は一時保存用のもの。

これが、ジョンカード流の醸造スタイル。

大ダル

天井の上

ところで、発酵槽のブドウジュースの投入口は、ここにはなく、天井の上、つまり2階。
パイプを通してブドウジュースが2階から投入されます。

ステンレスタンクと大ダル

階段で2階へ移動すると、ステンレスタンク、木の大樽が下の階から突き抜けてるのが判ります。

コンクリートの発酵槽も突き抜けています

コンクリートの発酵槽も突き抜けています。

パイプを通しておくりこまれる

この場所へ、除梗、破砕を終えたブドウジュースがパイプを通して送り込まれてくるわけです。

投入口のフタをはずします

投入口のフタを外してもらいます。

投入口から除いた発酵槽の中

投入口から覗いた発酵槽の中。

1階から少し長めの階段、4m上がった天井の上、さらにその上1m30cm。

つまり、発酵槽の底まではおよそ5m30cm!
その高さから覗いてカメラを入れてみました。

今は何も入ってませんが、想像してください!
この中に、ぎっしりと詰めこまれた、ブドウが、発酵して、温度があがり、まるで沸き立つような場面を。

そして、実から果汁が出、果汁がアルコールという「パワー」を帯びていくと・・・

2月頃には、発酵の温度上昇によって、体積が膨張してきます。
ワインが吹きこぼれないように、ワインを取り除かなければなりません。

役立つフタ

そこで、役立つのがこのフタ。

フタには、ワインの高さがわかるようになっていて、指している所まで、ワインが入っているようにします。

逆に8月からは、温度が下がっていくので、体積が減っていくので、ワインを足していかなければなりません。 常に発酵槽をブドウ果汁(ワイン)で一杯にしておかないと、酸化やバクテリアに被害にあってしまうのです。

こうして、常に細心の注意をもって、見守られながら、ジョンカードのブドウたちはワインへと生まれ変わるのです。

動画 「天井上2階の発酵槽 投入口」(再生時間5分39秒)

後編へ続きます!


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~後編~ 日本初公開!?シャトー・ラ・ジョンカード のワイン造りに迫れ!-2

シャトー・ラ・ジョンカード訪問記4
「日本初公開!?シャトー・ラ・ジョンカード のワイン造りに迫れ!-2 」



~樽熟成から瓶詰め・出荷まで~

発酵を終えて晴れてワインとなったら、樽に移し変えて熟成へ。

樽

静かに成長を遂げるワインたち。黒ラベル・赤ラベルの熟成、新樽の小樽が並ぶセラー 16~18ヶ月寝かします。

4ヶ月ごとに大樽へ一旦移し変え、また違う小樽へ。樽ごとに全て味が違うので、均一化していくためです。

大ダル

この1樽 225リットルから300本(750ml)分のワインが。

オークの新樽

オークの新樽の効果は6-8年。
使っていくと樽の香りやこげ具合がだんだん薄らいでいく。その樽のレベルとワインのレベルを合わせて熟成させていくのがポイント。

あまり強くないワインに、香りやこげ目が強い新樽を合わせてしまうと樽の風味がワインに勝ってしまう。

白ラベルはこの大樽で熟成

白ラベルはこの大樽で熟成させます。

香りや焦げ目による渋味がワインに大きく影響しない
つまり、本来のワインらしい味わいや香りに近いのです。

それにしても、大樽のこの大きさ。

動画 「樽とワイン」(再生時間2分37秒)

熟成を経たワインは、旅立ちの支度へ

樽からさらに、温度管理、衛生管理しやすいステンレスタンク【イノックス】へ移して瓶詰めします。

ステンレスタンク

ジョンカードでは、ステンレスタンクはこの瓶詰めの時だけにしか使いません。

コルクを打栓する機械

コルクを打栓する機械 真空状態にして、1.5気圧で打ち付けます。

今は、全自動。でも、その昔は、

昔の打栓樹

彼のおじいさんの時代は、1本1本手動でコルクを打栓していたんです。
1人で何万本もするとなると・・・それは、肩をおかしくしますよ。

ボトルに入ったワインたち

ボトルに入ったワインたち。コンベアで3分かけて1周するうちにコルクが落ち着いていい状態になるのだとか。

出荷待ちのジョンカード

世界への出発をまつジョンカードのワインたち。ひと時の休息。

道上ラベル発見

お馴染みの道上伯のラベルが、

ラベルが貼られる様子

ここで、貼られて彼らワインの新しい顔となり、ボルドーを旅立って行くのです(涙)。

さぁ 行け、ジョンカード!日本の皆が君が来るのを待っている!

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驚愕!伝説の1959年の赤ワインでランチ

シャトー・ラ・ジョンカード訪問記5
「驚愕!伝説の1959年の赤ワインでランチ」


シャトー・ラ・ジョンカードのボトルがズラリ

と、一通りブドウからワインのロードストーリーを、擬似体験したらいよいよ、ジョンカードが。(待ってました\(^o^)/)

ワインの抜栓

ワインの抜栓で、ランチがスタート

テーブルセッティング

期待高まるテーブルセッティング!

メロンの中に甘口ワイン!

メロンの中に甘口のワインが注がれた、前菜

ジョンカード赤ラベル 1959年

出ました!伝説の1959年の ジョンカード赤ラベル!!!
「世紀のビッグ・ヴィンテージ」と称される歴史的ヴィンテージです!

現支配人サテュルニー家が、このシャトーを買い取った年のワインでもあります。

すでに半世紀を経ているのにこの濃い色合い、そして、しっかりとした味わい。

風味に熟成の旨味があるものの、ボディ、渋味、酸味の張り、とても50年を過ぎたとは思えません!

牛のアントルコート

主菜はもちろん、ボルドー名物 牛のアントルコート
この頃には、すでにジョンカードが4種類に
白ラベルの2008、2009、黒ラベル2009と最新のビンテージが並んでいます。

ジョンカード社長とマダム

左から本日の料理を振舞ってくれたジョンカードの社長、
そしてマダムとともにテーブルを囲み、ワイン談義。

食後、シャトー内を、2階、3階、屋上とくまなく案内してもらいました。
そう、それは、いつの日か、、皆様と一緒にシャトー巡りをしたい!

そして、もっと、「ワインを身近に感じ、もっと好きになってもらいたい。」

道上とMICHIGAMIワインの皆様への「ワイン愛」は、とどまることを知りません。

そんな思いを強くしたシャトー・ラ・ジョンカードの訪問でした。



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