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「知ってるようで意外と知らない!?ワインにぴったり合う料理 〜焼肉編〜」



ソムリエの追言
「知ってるようで意外と知らない!?ワインにぴったり合う料理 〜焼肉編〜」



焼肉お肉に赤ワインが合うという事は今更言うまでもないのですが、不思議と日本の焼肉店ではそれほどワインが飲まれていません。
日本人にとって、「焼肉」という食事の位置付けは曖昧で、金額的に贅沢な食事でありながら、どこか大衆的なイメージがあります。

「ワイン=優雅に気取って」と思っている方も多く、なかなか焼肉とワインが結びつきにくいのかもしれません。 焼肉と言えば「とりあえずビール!」が圧倒的に多く、ずっとビールを飲み続ける人もいれば、韓国というイメージからか焼酎の人気も高く、チューハイやロックなど好みの飲み方で親しまれています。 ビール

焼肉の脂と、こってりとしたタレの味わいを、焼酎がさらっと流してくれることは事実です。しかし、そこから先の味の広がりはあまり期待できません。

私も数年前までは、焼肉と言えばビールを2,3杯飲んでそれから焼酎を飲んでいました。理由はお店に置いてある手頃なワインが、どれもスーパーで買えるような代物であるにも関わらず、ずいぶんな高値で販売されていたからです。
そこにお金を掛けるのであれば、そのぶん美味しいお肉を食べたいと考えていました。

最近はワインに力を入れているお店も少しずつ増えてきましたが、飲むと頭が痛くなりそうなチリのカベルネ・ソーヴィニヨンやアルゼンチンのマルベックが3,000円台、オーストラリアのシラーが4,000円台、ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンなんて頼もうものなら10,000円近い値段を取られたりします。なぜか焼肉屋さんでは、価格帯ごとに、国も品種も違うワインを一種類ずつ用意して、お客さんに”値段で”ワインを選ばせているお店が多いのです。

焼肉屋さんで安くて美味しい赤ワインを頼みたいと思っても、ほとんどのお店ではワインがすべて冷蔵庫に保管されていて、それをそのまま持ってきます。 ワインによっては少し冷やして飲んだ方が美味しい場合もありますが、冷やし過ぎた赤ワインは渋味と酸味を強く感じ、香りの広がりも小さくなります。

「脂身の強い焼肉には、すこし冷やしてタンニンを強調した方が合う」とブルゴーニュ好きの友人が言っていましたが、そんな事しなくてもタンニンの強いボルドーを飲めば良いじゃないかというのが私の意見です。
10,000円で販売しているような高いワインを、キンキンに冷やして持ってくるなんてありえません。フランス人なら怒りだしてしまいます! やはり赤ワインは18℃前後で飲むのが一番美味しく、本来の華やいだ香りと味わいを楽しめるのです。

道上曰く、「パリにある焼肉店のほとんどは、韓国人が経営しています。東京では江東区にこういうお店が多い。新大久保がコリアンタウンとしてもて囃されるようになったのは最近の事なのです。そして韓国人の経営しているお店の方が、ワインをしっかり扱っています。もしかしたら彼らの方が、ワインと焼肉の相性をきちんと理解しているのかもしれません。」

イメージとしては連想しやすい焼肉と赤ワインですが、実際のところはお店側の提供レベルの低さなども影響して、いまいち浸透していないのが現状です。 具体的にその相性を見てみましょう。

赤ワインに含まれるタンニンは、焼けばしたたるほどの肉の脂味をすっきりと流して中和してくれます。さらにワインのすごいところは果実の甘みが、この脂味を旨みへと昇華してくれるのです。この相乗効果は、ビールや焼酎などの他のお酒には真似出来ません。

複雑な甘味とぴりっとした辛味をもった焼肉のタレには、合わせるワインにも果実由来の甘みと、樽熟成からくるスパイシーさ、ワイン自体の力強さがないと、濃いタレの味に釣り合わないのです。
よく南アフリカや国産ワインで、取ってつけたようなフルーティーな甘さや、 焦がしたキャラメルのような強い甘みを感じる事がありますが、これらの甘さでは、脂っこい肉とタレの風味にはあまり合わないのです。

もし赤ワインを飲んでいて、どうしてもタレの風味とワインがしっくりこないと感じる時は、タレに少しだけ赤ワインを混ぜてあげると、タレの風味がぐんとワインに近づいてくるので、より一層お肉との相性も楽しめます!もし可能なら、飲んでいるワインとは別のワインを混ぜれば、より複雑味が増して美味しく感じられます。
ぜひ一度お試しください。

風味をワインに近づけるといえば、韓国焼肉ではお馴染みのサムギョプサルも、味付けにワインが活用されています。焼く前の肉をワインに漬け込んで熟成させたワイン・サムギョプサルは赤ワインの風味を移す事で豚肉の臭みをとると同時に、含まれるアルコールが肉質をやわらかくしてくれるのです。
サムギョプサルでなくても、焼く前の肉を一時間ほどワインに漬けて置くだけで随分と美味しくなります。もちろんワインとの相性も格段に上がります。 家庭で飲み残しのワインなどがあれば、チャレンジしてみてください!

焼肉の話では、どうしても話題が赤ワインばかりに偏ってしまいますが、 はたして白ワインとの相性はどうなのでしょうか?
豊かな樽の風味があり、しかも樽香に負けないしっかりとした果実味を持った白ワインなら、塩ダレやゴマダレで食べる豚肉や鶏肉、海老などの海鮮系とうまく合わせられるでしょう。レモン汁で食べるタン塩には、同じく柑橘系のアロマを持ったフルーティーな白ワインがおすすめです。

脂身の多いカルビやロースでも、サンチェなどの生野菜で包んで食べるなら、野菜のフレッシュなミネラル感と合わせて白ワインやロゼワインも合ってきます。シャルドネ主体でコクのあるタイプのワインがぴったり合います。

しかしその野菜に、コチュジャンのような味噌をつけて食べるなら、やはり赤ワインでないと、ワインが負けてしまうでしょう。味噌には乳酸が含まれていますが、実は赤ワインにもこの乳酸が多く、葡萄ジュースからワインになる過程で果実由来の鋭い酸味(リンゴ酸)をまろやかな乳酸に替えているのです(マロラクティック発酵といいます)。お互いの乳酸が、旨みの相乗効果を引き出します。

味噌と言えばホルモンですが、焼肉の中でも特に脂が多いホルモン(小腸)を食べる時にはなるべく赤ワインを飲んでください、美味しく食べられるうえに赤ワインが脂の消化を助けてくれるので、次の日の胃もたれがなくなります!

キムチ 意外な組合せに思うかもしれませんが、実はサイドメニューのキムチも、ワインととてもよく合います。辛くて唐辛子とにんにくの香りの強い発酵食品ですが、味噌と同じく乳酸を多く含んでいるので、赤ワインと合わせる事によって、キムチの辛さは旨みに、ワインの酸味は鮮烈な甘味となって、見事に調和します。

ただし、長期間寝かせておいて発酵の進みすぎたキムチや塩辛がたくさん入ったものは、乳酸以外の様々な酸味が強く出てくるので、うまく合わない事があります。比較的若くて、辛さと同時に甘さも感じられるようなキムチの方が、ワインとは合うようです。ワインも熟成が進んで複雑なニュアンスが感じられる物よりも、フレッシュな果実味が先行している若いタイプのワインの方が良いでしょう。

最後に、炭火やコンロが近い焼肉店のテーブルでは、一時間ほどで適温の赤ワインが温まってしまう事があります。今回はボトルの温度上昇を防ぐ、とっておきの方法をお教えします! ワインクーラーに水だけ入れてもらい、その中にボトルを漬けておけば余程火の近くに置かない限り最後まで一定の温度で、冷え過ぎる事もなく美味しく飲めます!

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