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2011年1月度頒布会レポート「シャトー・タランス白ラベル1999年」



ソムリエの追言
「ボルドー世紀末ワイン 頒布会ワイン・テイスティング・リポート VOL.8-1」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。

今回の頒布会は、赤ワイン シャトー・タランス 1999年の比較です。 白・黒・赤ラベルでブドウの割合が異なっているのですが、 その差が味わいにどんな変化をもたらしているでしょうか。





まずは、白ラベルから見ていきます。

外観
黒の割合がまだまだ多い赤紫(むらさき)と黒をあわせたような色あい
宝石のガーネットなんて例えられます。

エッジ<ワインの液面外側グラスのすぐ縁(ふち)>部分はオレンジがかっています。

ワイン好きにはたまらない色合い。
そう、飲み頃を迎えている!
思わず、手が伸び、いつの間にかグラスを回して口に運んでしまいました。

この色合いだけでも、いろんなことがわかってしまうんです。
実は、オレンジ色は、熟成(じゅくせい)を示す証拠。

ワインの色も、ちょうど、紅葉の色の変化やリンゴをカットして時間がたつと 色が褐変(かっぺん)していくように、紫から赤へ、赤からオレンジ・茶色へと変化していきます。 時間がワインの色を変化させているんです。 オレンジや茶色の色合いは、何故かそこに温かみや安らぎを感じさせます。ひいては、食の経験から旨味を思い起こさせます。

黒の割合が多いといいましたが、 スーパーや、コンビニなどでも売られている、 ボルドーワインのほとんどは、大げさに言うと真っ黒です。こちらは濃いルビー色なんて例えます。 ほんのすこし、エッジにピンク色を帯びた紫があって、色の変化グラデーションがほとんどありません。

なぜグラデーションが出来るのかというと、 熟成の時間とともにワインの液体の小さな色素成分がくっついて やがてオリと呼ばれる固まりになって、底へ沈んでいくからです。 このことで、液体に透明感がでて、グラデーションが生まれます。

10年以上の熟成を経たワインとしては、グラデーションの割合とオレンジのエッジは、 元気よく過ごしてきた証であると同時に、中心が黒味が多いことは、この先 まだまだ熟成という成長ができることを示しているわけです。

この白ラベルは、熟成に時間がかかるカベルネ・ソーヴィニヨンが12.5%と割合が少ないことと、 カベルネソーヴィニヨンよりも熟成が比較的早いメルロが75%と多いことから 他の黒・赤ラベルよりもグラデーションの割合が多く、オレンジの色が強いかと思われます。

こうした熟成がやや進んでいることは、渋味成分のタンニンも落ち着いて、 穏やかで、酸味も丸みを帯びていることが予想されます。 渋すぎて飲めないや、酸がきついということなく、飲みやすさを感じるワインになっていて、 料理にこだわりすぎることなく楽しめるワインでもあります。

よって、あわせる料理も、脂分やスパイスが多い、ペッパーステーキなどのアクセントの強い肉料理よりも 野菜に肉を巻きつけて焼いた牛肉のソテーや、デミグラスソースで煮込んだビーフシチューなど 野菜やソースを合わせたりしていくと合うのではないでしょうか。
タランス白ラベル

味わい
口にふくむと、「ふわっ」としたふくらみを感じます。 やはり、酸味を強く感じません。もちろん、酸味はしっかりとあるのですが。 コクと果実味のボリューム感で、風味を優しくしています。 タンニンの渋味成分が、熟成によって、強く感じない点も、その柔らかさを 造り上げています。

これは、いけないです。飲みすぎてしまう恐れがあります。 スムーズに入っていてしまいます。誰か止めてください。 テイスティングにならなくなります。

おっと、タンニン落ち着いているものの、口の中でちょっと暴れている? イガイガ・ザラザラしますね。 10年以上も経って柔らかな風味なので、もうこなれているかなと思いきや やっぱり、ボルドーの赤ワイン。 この渋味も、気持ちの良いものです。 渋味があるなら、脂肪や油分に負けない味わいであること、 スパイスを効かせた料理にも合うので、 ペッパーステーキなど牛肉を焼き上げただけのものでも十分あわせて 美味しく飲めます。

果実の味わいが濃いことが予想されていましたが、 強すぎず、やや濃い目で、果実の味わいは、ほんのりと甘味を感じます。 ちょっと、口にワインをとどめて、口先をすぼめて空気を吸い込むと 口の中いっぱいに、果実の甘味と渋味が広がります。 こうすると、鼻の奥にも、ワインの香りが通り、口先や舌だけでなく、 上あごでもワインを感じて、どっぷりとその味わいに浸れます。 この甘味と渋味があわさったコクは、デミグラスソースのコクにピッタリです。 ステーキにデミグラスソースで、この上ない幸せに出会えます。

ほかの味わいを探してみると、 ありました!舌先に残る苦味。意識しないとわかりづらいのですが、 フォークやスプーンを口にくわえておくと感じる、味ともいえない 苦味に近いものが感じられます。これがワインにおける鉄分です。 この苦味に近いものが、肉の血にもあるんです。 そう、まさに、肉の血が滴(したた)る風味に合うはずです。

ただし、柔らかな風味があるので、ステーキのレアよりも、 ほのかにロゼ色が残る温かな、ロースト・ビーフを幅1cmくらいに やや薄切りしたものが、肉質の柔らかさとともに、相乗効果で、旨みが溢れてくるはずです。
ローストビーフ

こうして味わいを見てくると、飲み頃を迎えていることが分かります。

そう、他の黒・赤ラベルよりも、飲み頃を早く迎えるブドウ品種のブレンドに 仕上げているはずです。 柔らかな風味、白ラベルのメルロ種が多い特徴がはっきりとでていている。 だからこそ、今、この時期に飲みたいワインです。飲むべきワインです!

飲み頃を迎えているワインの色や香り・味わいはどれをとっても、 食欲をかきたててくれます。

お薦めしてきた料理はもちろんのこと、このワインであれば、 牛肉や、コクのあるソースを使った肉料理 (焼肉・すき焼き・バーベキュー・ビーフストロガノフ・中華風肉団子) に合いますので、気軽に飲んで頂きたいです。

私?私なら、ちょっと贅沢(ぜいたく)にこのワインを200ml使って、デミグラスソースを仕上げて オーストラリア産の牛ロース肉を焼き上げてから軽くソテーして頂きます! 飲み頃のワインと、そのワインを使ったソース、きっと至福(しふく)の時間が待っている! 決断と勇気?も必要ですけど・・・。

今回の白ラベルをはじめ、ほかの黒・赤ラベルも熟成によって、オリがありますので、 到着後、しばらくした後、飲む前4日〜1週間位はボトルを立てて落ち着かせて、オリをボトル底に沈めると より一層美味しく召し上がれます。 黒ラベル・赤ラベルは、できれば今月中、長くてもこの冬のうちに 召し上がることをお薦めします。

今月中に召し上がるのであれば、到着後 ボトルを立てて落ち着かせておいておくと、美味しく召し上がれます。

なお、次回は 同じシャトー・タランス 1999年の黒ラベルをリポートします。



頒布会

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