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2010年2月度頒布会レポート「運命を切り拓け!シャブリ 頒布会ワイン・レポート VOL13-2」




ソムリエの追言
「運命を切り拓け!シャブリ 頒布会ワイン・レポート VOL13-2」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。


シャブリ 2008

詳しいコメントは動画にて



外観
淡い麦わら色
黄色がすこしあわさった。
透明感もあります。
ワイン外観

香り
白い花 ハーブのすがすがしい香り
酵母(こうぼ)などの磯(いそ)のような香り
複雑さが出ています。

時間が立つとリンゴキャンディーの甘さを感じさせる香りも

味わい
優しい口当たり。
果実味と酸味と塩味がバランスよい

フレッシュさも残す柔らかな酸味。
シャープなリンゴ酸とまろやかな乳酸(にゅうさん)そのどちらも持っているタイプです。

塩味とかすかな苦味を感じるミネラル。
その間に果実味が入り込むニュアンス。

2つの酸味とミネラル感がこのシャブリの特徴です。
ワイン外観

5月のストーブとシャワー
寒い。靴の中のつま先が痛くなる。遅霜(おそじも)予報が出てから、数時間。どんどん、気温が下がっていく。この夜中から、早朝にかけて、気の抜けない時間が続く。 温度計は、0度より低いところを指している。氷点下(ひょうてんか)。

5月にもなろうというのに、この気温。この時期のシャブリ地区を悩ます遅霜(おそじも)。それだけ、シャブリという地区が北にある寒い地区でもあること。 シャトー写真イメージ 遠く暗闇の中に、灯がともり、やがて一定の間で連なっていく。畑に、ストーブをもちこんで焚いているのだ。

こちらは、畑全体にシャワーのように水をまく。先に凍らせて、氷の膜でくるみ新芽が中から凍ってしまうことを防いでいる。

昔は、この遅霜によって、大きな被害をうける年も多かったそう。 1979年の生産量が114,227 ヘクトリットルなのに対し 1981年は 43,022ヘクトリットルと激減。 しかし、今は、工夫をこらして、生産量を安定させてきています。

自然との闘い・共存の歴史がシャブリの歴史でもあります。

リンゴとヨーグルト
そんな栽培の工夫もさることながら、醸造(じょうぞう)技術の発展も。 コメントで述べた、酸味。時間が経って、ヨーグルトの香りがするのは、乳酸からです なんていっています。

実は乳酸は、ワインの中のリンゴ酸が、乳酸菌(にゅうさんきん)による発酵(はっこう)で、変化したものです。成分的には、酸の量が減るので、柔らかな風味に感じます。イメージ的にも、リンゴの酸味よりヨーグルトの酸味方が柔らかいですし・・・。ですから、まろやかな酸味なんて表現になるのです。 シャトー写真イメージ
昔は、春の暖かさで、樽の温度が上がって自然に起こっていたこの変化をコントロールして上手に仕上げたのが、現代のシャブリです。

樽を使って、乳酸を多くするのか樽を使わず、温度管理して、リンゴ酸を多く残すのか・・・。

樽の風味と柔らかな乳酸の酸味を活かしたタイプ、果実味とミネラル、キリッとしたリンゴ酸の酸味のタイプ、そして、その双方を活かしたタイプ。 シャブリの様々な味わいは、技術の歴史でもあります。

シャブリを造る人々は、時間をかけて、その運命を変えていっていることがよく判ります。
だからこそ、シャブリは、世界に知れ渡っていったのかも知れません。



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頒布会

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