RSS

外交官 第12話 韓国で気が付いたこと (その2)私の見た韓国人

【小川 郷太郎】
東大柔道部OB
丸の内柔道倶楽部
外交官

第12話 韓国で気が付いたこと
(その2) 私の見た韓国人

法務省によると、2013年の訪日外国人数(速報値)は初めて
1000万人を超え1125万人となったが、国別では韓国人がトップで231万人だそうだ。日本からもそれ以上の人が韓国に行くので、日韓双方がともに相手国に関心を持っていることになる。それなら、もっと分かり合える土壌はある筈だ。

人間関係も非難し合っていると相手のいいところはわからずに益々相手が悪く見えてきて、気分的にも不愉快になるものだ。そもそも、外国人について自分たちと違うところを探すのは興味深いし、いろいろなことが分かって参考にもなる。だから、いいところや面白いことを探すのが良い。そこで、私が見た韓国人の良いところ、面白いところについていくつか話してみたい。

韓国人について私が好きなところは、率直に物を言い、しかも情が熱い点にある。遠慮せず言ってくるので、ちょっとドキッとするが、言葉をそのまま受けとめれば相手の気持ちがよくわかって安心感がある。あまりウラオモテがない。日本人の場合、相手への思いやりや遠慮があってそれも心地はいいが、本心がわからないことがある。
ひとつのエピソードをお話しする。1990年代の前半、私は在韓国日本大使館で広報文化担当公使をしていた。日本のことを正しく韓国に伝え、相互理解や交流を深める仕事だ。
よくあることだが、ある日、韓国メディアが誤った情報に基づいて大々的に一斉に日本批判をした。日本の原発が危険な廃液を垂れ流しているというのである。ニュースの大きさに驚いて私はすぐ東京に事実関係を照会した。外務省が調査して送ってくれた回答により、通常の原発の廃液で危険なものではないことが確認された。韓国の原発でもやっているとのことである。

私はすぐさまソウルのマスコミ全社に対し通報し、この件で緊急記者会見をする旨伝えた。普段やらないことなので、多くの報道各社が驚いて大使館にやってきた。私は、丁寧に事実関係を説明して韓国マスコミが報じた記事の誤りを指摘した。そして続けて、これまでも幾多の誤った報道で反日記事があったことに触れて、このような根拠ない日本批判の姿勢は日韓関係に有害である旨を主張した。
面と向かって韓国マスコミ批判をしたので、大分叩かれることを覚悟していたが、意外に反論もなく、私の説明の要点は、翌日新聞やテレビ各社が報じてくれた。その素直さに、拍子抜けしたほどだが、事実に基づいてはっきり主張すれば、韓国側は分かってくれるのだということを悟ったのは良い経験だった。
韓国人とのお付き合いは、はっきり言い合うことで親しくなれるし、気持ちのいいものだ。

情が熱いのも、韓国人のいいところである。親しくなると、本当に家族のように相手を思ってくれる。私より年上の女性の中には、「私はあなたの姉だから」と言って、美味しいものを作って持ってきてくれるとか、風邪をひかないようにこれを飲んだらいいよと言って、何かと気にかけてくれる。

親しくしていただいた立派な文化人の御夫妻は、よく韓国国内旅行に誘ってくれた。いろいろなところを案内していただき、各地で美味しいものをたくさん食べ、毎日一緒に酒をたくさん飲んで、車の中でも、カラオケ店でも多くの歌を歌って楽しかった。

韓国・五台山上院寺にて
【韓国・五台山上院寺にて】


日本に帰国して暫くしたあと、父が亡くなった。韓国の友人には知らせなかったのに、多くの人が弔電を送ってくれ、中には「仏壇に飾ってください」とのメッセージをつけて素晴らしく美しい白磁の燭台一対を送ってくれた人もいた。

韓国を離任して数年後、私が還暦を迎えたとき、前述の文化人御夫妻が、還暦をお祝いしたいから是非おいでなさい、と繰り返し誘ってくれた。「仕事があるので」と言ってお断りしていたが、あまりに熱心だったので、お言葉に甘えて休暇をとってソウルに行った。ご家族の伝統衣装を貸してくれ、韓国の伝統に沿った盛大な儀式をして、家族全体でお祝いしてくれた。

韓国人と日本人は顔つきも一見似ているが、似て非なるところも結構多い。例えば、ともにご飯を食べ味噌汁も飲むし、箸も使う。しかし、ご飯を食べる時、茶碗でなく金属の器を使い、その器は手に持たず、食卓に置いたまま匙を使って食べるのが普通だ。
日本人から見るとちょっと異様に思えるが、韓国人から見ると、手に茶碗も持ち上げて箸で食べるのは異様に映る。要するに文化が違うのだが、お互いに違いは違いとして批判せずに尊重するのがよいと思う。

先ほども述べたが、日本人は相手のことを気にして遠慮したりするが、韓国人は率直にものを言う。日本人が本心を言わずにいるのを韓国人は歯がゆく思うらしい。
他方、友達だと思っているのにお礼を言われると、とても他人行儀に感じるようだ。友達は兄弟のようなものだから、お礼を言うのは「水臭く」、むしろ人間関係に距離を置かれていると受け止められることになる。親しい者同士の間では遠慮はいらないし、お互いに徹底的に面倒を見るようなところがある。

韓国には、美しいもの、美味しいもの、興味深いものがたくさんある。2年ほど前、私は知人・友人を誘って韓国企画旅行をした。そういうところを日本の人にもっと知ってもらいたいと思ったからだ。

この企画旅行で作った日程のいくつかを紹介すると、世界遺産4か所を見学、国宝級の美術や人間国宝のデモンストレーションを見学、昼と夜は毎回違う料理を食べ歩く(13種類の韓国料理を味わった)、日本統治時代に生きた人々と懇談、高校を訪問し高校生と対話、世界トップの造船所視察などがある。

韓国・儒達山からの風景
【韓国・儒達山からの風景】


1週間の韓国滞在によって、韓国の歴史、美術、食文化、産業の一端を知り、韓国人との接触を通じて、若い人や企業指導者がいつも世界を見ていることもわかり、今日の韓国の勢いを実感した。また、植民地時代に生きた人々の話を聞いて、当時の雰囲気を想像する機会にもなった。

結局、隣の国には面白いものがあり、また親しくなれる人たちがいる。最近の両国の困難な雰囲気のなかで、メディアの報道や一部の政治家の過度の韓国非難に惑わされるべきではない。日本と韓国の間にある現実の全体像は、彼らの言う通りではない。相手を批判したり、現状を嘆いていたりしていても埒があかない。やはり、向こうに行って直接接してみることだ。お互いの良いところを知ることは面白いし、日本人として感じることを率直に言っていい。向こうの言い分を聞くのも参考になる。

韓国に行くのは日本国内旅行より安い場合も多い。人と接することもさほど難しくない。学校の韓国修学旅行がもっとあってもいいし、旅行社が韓国の人々と接する機会をつくることも出来るだろう。隣同士でいがみ合っているのはあまりにももったいない。


筆者近影

【小川 郷太郎】
現在





▲ページ上部へ

コメント

[コメント記入欄はこちら]

■ この企画旅行で作った日・・・

この企画旅行で作った日程のいくつかを紹介すると、世界遺産4か所を見学、国宝級の美術や人間国宝のデモンストレーションを見学、昼と夜は毎回違う料理を食べ歩く(13種類の韓国料理を味わった)、日本統治時代に生きた人々と懇談、高校を訪問し高校生と対話、世界トップの造船所視察などがある。
louboutin outlet | 2016-09-26 23:49 |

■ 韓国に行くのは日本国内・・・

韓国に行くのは日本国内旅行より安い場合も多い。人と接することもさほど難しくない。学校の韓国修学旅行がもっとあってもいいし、旅行社が韓国の人々と接する機会をつくることも出来るだろう。隣同士でいがみ合っているのはあまりにももったいない。
cartier bracelet replica | 2016-09-26 23:48 |
名前:
URL:
コメント:
 

ページトップへ