2010年7月度 頒布会レポート「ワインテイスティングの奥義!? 第2弾」

2010年7月度頒布会ワイン・レポート
シャルルマーニュ・シャルドネ・オーガニック / シャトー・ドゥ・ブラーグ 2004年 / シャトー・クロ・デ・プランス2003年


MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。



シャルルマーニュ・シャルドネ・オーガニック

はりのある透明感、エッジに緑色を残した淡い麦わら色。炭酸の存在感を主張する力強い泡立ち。

ただ、スパイスの香りは、採りづらいですね。ハーブのような香りにペッパーが少しだけあわさった、つまりペパーミントがちょうど当てはまると思います。嗅(か)ぎ採れるでしょうか。

注いでから3分くらいすると、キャンディの香りになってきました。ここにもハーブが加わったような感じです。ただ、香りの多様性は前回のものに比べて少なく感じます。これは、今回のワインがシャルドネ単一の品種のみで作られているせいかもしれません。または、雑味(ざつみ)が少なくなる有機農法によるせいかもしれないですね。ヨーグルトの香りもしてきました。発酵の香りです。

さあ、少し口に含んで見てください。

ややふくらみのある口当たりですね。ふわっとふくらんだ後に酸が整える感じです。酸味のバランスが良いです。出すぎず、引っこますぎず、押さえるところででてきて、味の流れを作っている。口の中でとどめて果実味を感じてみてください。リンゴの果汁(かじゅう)のような果実の甘さと心地よいほろ苦さがあわさった味わいを感じます。すぐその後に別の苦味をかんじますね。樽の風味でしょうか。

では、飲み込んで余韻(よいん)をみてみましょう。前回同様、秒数をはかって長さを測ります。1、2・・・6.、7。やや長めですね。また、樽の苦味の風味が余韻にも残りますね。 

香ばしさをそそるこげた風味をもつ料理とあわすことによって、その風味を活かすことができますね。例えばソーセージなどをポテトとペッパーでソテーして味付けしたジャーマンポテトなど、ビールの定番おつまみが、このワインと合わせることによって、余韻に肉とペッパーの風味が広がる味わいをもつ「料理」に変身します。

また、もう一度口に含んでみてください。おっと、香りに少し変化がありますね。10分位したら、オレンジの皮のような香りが感じられました。

さて、もう一つの特徴(とくちょう)を見たいので、特に口先に意識(いしき)を集中して見て下さい。ミネラル分を感じてもらいたいのです。舌先にある苦味、果実の苦味、樽の苦味と違う苦味を感じませんか。イメージですが、焦(こ)げた苦味がばらつきのあるざらざらした感じとすれば、この苦味はキリッとしつつ、平たく固(かた)い苦味とでもいいましょうか。ワインでは、この苦味をミネラルと捉え、特に「石灰(せっかい)」と表現してます。

この風味があると魚介類 甲殻類とも合います。その身に含まれるかすかな苦味の風味と、マッチするんです。ですので、この時期のさっぱりとした料理として、ボイルしたエビに野菜をたっぷり添えたサラダなどと合わせるなんてこともできます。

肉料理にも、魚介(ぎょかい)類にも合わせることができる風味をもっているのが、樽発酵でミネラルの風味をもつスパークリングの特徴といえますでしょうか。

続いて赤ワイン2種を比べながらテイスティングしてみましょう。

B:シャトー・ドゥ・ブラーグ 2004年

C:シャトー・クロ・デ・プランス2003年

色合いは2つとも、赤と黒を中心とした濃い色合いですね。 どちらも、エッジ(グラスの縁、液体の外側部分)の部分は赤色、紅色が見えます。かすかにピンクが見える程度でしょうか。

前回どおり、宝石で例えるなら、ガーネット(赤、黒、オレンジがあわさった感じ)ですか。ボルドーのワインは、出来た当初は濃い紫、黒で、次に濃いルビー色(ピンクの色あいがはいってくる)そして徐々にガーネットの色合いに進むわけです。

もう一度よーく、エッジの部分を見てください。グラデーションの割合です。 Cシャトー・クロ・デ・プランス2003は、縁の手前まで、色の濃い部分が続いています。 Bシャトー・ドゥ・ブラーグ 2004は、少し手前ですね。この意味するところは、前回の熟成を説明した部分と異なり、そのワインの持つ質の部分をあらわしています。

ですから、今回は年号が1年古い Cシャトー・クロ・デ・プランス2003が色の濃い部分が多いことから、凝縮した味わいを持つことが予想されます。 香りに進みます。どちらも、濃厚、濃密です。

共通する香りは、カシスなどの果実を煮詰めたジャムのような香りです。

B ブラーグ  は、加えてすこしくぐもった野菜の香りもします。ナスや赤ピーマンなどでしょうか。スイカの種のような香りも。

C プランスは、共通するジャムの香りよりも先に、カカオやコーヒーの香りが強く感じられます。

アーモンドをローストした香りもあります。これらは、ブドウの香りというより、やはり樽からの香りですね。他にも樽の香りを表現する言葉にコールタールなどありますから、それに比べれば、ワインが持つ香りとしては、かぐわしい香りといえますね。

グラスを回してみましょう。うーん、B ブラーグ  は、香りが採りづらくなりました。先ほどカシスのジャムの香りが、飛んだような感じです。

C プランスは、変化がないですね。カカオなどの香りがそのまま強く感じられます。ジャムの香りも残ってます。スパイスの香り、ブラックペッパーに甘草とういう風邪薬にもつかわれているスパイスの一種の甘苦い香りもありますね。

液面がおちついて、1分くらいすると、B ブラーグ の 香りが出てきました。少し爽やか、華やかな感じですね。果実よりも花、スミレの花の香りでしょうか。すっきりとした香りと艶やかさをもつ香りで、黒ブドウのカベルネ種に顕著な香りです。

お待たせいたしました、口に含んでみてください。まず、B ブラーグ  。しなやかな口当たりです。酸味と果実味のボリューム感のバランスがいいですね。うん、渋味も強すぎないです。酸味につつまれた渋味という感じでしょうか。渋味成分のタンニンが、ざらつきを感じさせません。

次は、C プランス。こちらは、ふくよかさを感じます。アルコールのボリューム感と穏やかな酸味が、さらに口当たりをなめらかにしています。続いて果実の甘味を強く感じます。その果実味に、酸と渋味が一体となって、全体の味わいを作ってます。

さて、もう一度、B ブラーグ  を、口に含んでみてください。どうですか。同じ赤ワインなのに、質感がちがうのわかりますか。 C プランスの後ですと、B ブラーグ は、軽く感じます。 C プランスの方が、色々な成分が密に詰まっている。濃いと感じられると思います。さっきの色合いからの予想通りだったわけです。

それぞれ、別の味わいを見ていきます。B ブラーグ は、徐々に果実の甘さが出てきました。口に留めると、やさしい酸味とほのかな旨味(うまみ)も感じられます。留めている口先に、すこしミネラルも感じます。鉄分と石灰があわさったような、軽い苦味です。こういった味わいがあると、赤ワインでも、魚介類にあわせることも出来ると思います。

C プランス は、2段階の味の流れですね。甘い果実味と後半のスパイシー、かつコクのある渋味。渋味成分がまだ落ち着いてなく、タンニン分も大きく、しっかりとあり、歯茎を痺れさせます。これが収斂性と呼ばれる作用です。 口先をすぼめ、空気を取り込んでワインを口の中で攪拌させてみてください。

C プランス は果実の甘味もありますが、渋味と強い焦げた風味も感じられます。後半のこのコクの強さから、まだまだ、将来的に味わいがよくなっていくことが予想されます。一方、B ブラーグ は、果実味と渋味とが、穏やかな酸味で整えられてます。今飲むべき味わいですね。余韻は、やはり、C プランスのほうが8秒と長いです。ただ、この苦味と渋味の強い余韻好みが分かれそうですね。その点、B ブラーグ はやや長めの6、7秒ですがキレイな果実味が残ります。

 2つの質感、余韻の違いは、サンテミリオン・グラン・クリュという特級 と ボルドー・シュペリウールという格の違いから来るものでもあります。ただ、B ブラーグ の ボルドー・シュペリウールも、一般のAOCボルドーよりも複雑で凝縮していて力強く、タンニンもより硬いです。生産の基準も、良い区画や樹齢の高いぶどうからつくられ、AOCボルドーより厳しい12ヶ月以上の熟成が義務付けられているものなんです。サンテミリオン・グラン・クリュがさらにその上のレベルであったわけで、品質的には、良いものなんです。

今回の2つのワインの、特徴をより感じさせるには、中華料理がおススメですね。 B ブラーグ の酸とミネラルを感じる味わいには、エビチリがお薦めです。トマトの風味と酸と果実味が、エビの身の旨味にミネラルがよく合います。余韻のスパイシーさも広がります。一方、 C プランス の甘さを感じる果実味を活かすには、色合い的にもう少し濃い目の甘酢風味の肉団子)やチンジャオロースなどがオススメです。甘味を伴うコクある風味のソースが果実味に、肉の旨味が渋味とよく合います。

この様にソースも、素材も双方を引き立てることができるのは、やはりワインしかないですね。 同じ地方の赤ワインで、ブドウ品種もそれほどの違いが無いのに、これだけの違いを見せるワイン。これもワインの魅力の一つですね。

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