2010年12月頒布会レポート「フランス スパークリング2種&サン・テミリオン グラン・クリュ 」

2010年12月度 頒布会ワイン・レポート
「フランス スパークリング2種&赤ワイン サン・テミリオン・グラン・クリュ 2007」

MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。

今週はその中から、

シャルルマーニュ・白
シャルルマーニュ・ロゼ
スィ二アチュール・ドュ・クロ・サンヴァンサン2007年

のテイスティングレポートをお届けいたします。


今回はスパークリングワインを2種類比べてみましょう。

タイプが違うコニャックを加えた白 と ロゼで比べてみます。

今回のスパークリングはこちらの2本

シャルルマーニュ・白
シャルルマーニュ・白

シャルルマーニュ・ロゼ
シャルルマーニュ・ロゼ

【外観】
スパークリングの場合、大事なポイントは、泡。 この泡がきめ細かく、持続性が長ければ、より上質と呼ばれています。

2つを比べると違いますね。 ロゼは、液面中央でできるムース(泡のあつまり)がほとんどありません。グラスの縁にそってできるコルドン(泡の連なり)も少ないです。

一方コニャック加えたものはムース・コルドンともにできていて、泡の粒もロゼより細かくしかも 持続性がある。ここからすると、はるかにコニャックを加えたタイプのほうが質が良いことになります。

スパークリングってどうやってつくるのか。 カンタンに説明すると、アルコール発酵するときにできる炭酸ガスを閉じ込めてつくる。

その方法もいくつかあって、代表的なのは、シャンパーニュと同じ造り方 トラディショナル方式。

一度ワインをつくりボトルに詰めたあと酵母と糖分を加えて、ボトルの中で2回目の発酵をさせて出来上がった炭酸ガスをそのまま閉じ込めておく方式です。今回のシャルルマーニュ 両方ともそのタイプなんです。

が、随分と泡の立ち方が違うので気にかかります。ロゼが、この泡では、せっかく手間をかけて造る方法も残念な結果です。

気を取り直して、次。色合いは、ロゼは、サーモンオレンジとでもいいましょうか。普通サーモン・ピンクというのですが。オレンジ色が中心でそこにほんのりとピンクの感じが残っている。

あと、非常に透明感がありますね。その部分だけを意識してみると、玉ねぎの皮の茶色の部分をすかしたような感じにも思えます。透明のボトルだけに、熟成が進んでいると思われます。

一方、コニャック添加したものは、やはり透明感がある黄金色。麦わら色とでもいえますね。この色の違いは、使っているブドウの違いです。

ロゼは黒ブドウのカベルネやメルローと白ブドウのシャルドネを使っているのに対して、コニャック添加したものは、ほとんどが白ブドウのシャルドネだけです。

ブドウを潰して色づきを与えるために漬け込んでつくられたのがこのロゼ色です。

長い時間しっかりと漬け込めば、このロゼ・ピンクがどんどん濃くなって赤ワインになっていくんです。

この色の違いから、つまりはブドウの違いから、香りとそして味わいも全く異なるものになります。

【香り】
では、グラスを回さずに香りをかいでみましょう。 どちらも、香りが強いです。ロゼは最初に、こげたような香りがあります。樽の風味が他の香りとあわさらず目立ってしまうのかもしれません。この手のロゼ・スパークリングによくあります。

他は赤いフルーツ、ラズベリーではない草いちごやスグリのような香り、それに赤ピーマンなどでしょうか。コニャック添加したものは香ばしい香りです。焦げの香りもありますが、目立ちすぎません。あとは、ヴァニラの香りです。

以前はここで、酵母臭 イースト香がしたのですが、今回のは、クリームやバターのような、香りが強く出ています。

グラスを軽く回してみてください。ロゼは、より甘さを感じますね。イチゴのグミ、ゼリーのような。先ほどより爽やかになりました。イースト香などはあまり感じられません。

一方、コニャックは、黄色のリンゴの蜜やカリン、パイナップルといった濃いイメージの香り。かすかに、ホワイトペッパーの香りもあります。 だんだん、美味しさを連想させるものになってきました。

【味わい】

口に含んで味わいをみます。 まずはロゼから。口当たりで、口先の部分、ポッとほのかな甘味の果実味を優しく感じます。 ボリュームはやや控えめで心地よい酸味と苦味が広がっていきます。 その後軽やかな渋味へ繋がっていきます。

これに比べて、コニャック添加のほうは。 しっかりとした口当たり。酸はあるのですが、その強さを感じさせません。

果実味と樽からの苦味がうまくあわさっています。 ただ、果実味自体にボリュームがあって、中心にドンと座っているような感じです。

それぞれ、空気で攪拌してみましょう。 おっと、香りが変わってます、別の香りがロゼにでてきてます。

野菜が入った箱の中のような、香り ゆでた小豆のような香り。 華やかでかぐわしい香りではないですね。

攪拌して口の中にとどめると、ロゼもきちんと果実味があるのが判りますね。あとは、塩味ですね、ミネラル分としての。一方コニャックは、果実味の強さも最初に感じますが、苦味がより感じます。それがそのままコクになっていく。

今度は飲み込んで余韻を見ましょう。 まずはロゼ。1.2.3....6.7 中くらいの長さです。風味にコクが残ります。あと、渋味というか苦さも飲み込むとさらにハッキリします。

そして、コニャック。 1.2.3......8.9 ロゼより長いですね。それに風味が、熱いです。のど越しから伝わるこの感じ。さすが13.5%のアルコール。 コニャックを加えている風味です。

どちらも、コクはあるのですが、一回り以上コニャックが大きく感じます。 ロゼはラベルに書いてあるとおり、エレガンス そのままです。

こうして交互に飲み比べると、酸の強さやコクの大きさ、渋味の存在がわかってきます。

【お薦め料理】
2つのスパークリングの味わいは、通常のワインよりも様々な料理に合わせられると思います。

万能のロゼですが、メイン料理として、あわせるなら、この時期旬のアンコウなど面白いかもしれません。洋風にローストなど焼き上げたもの。

身の柔らかさの食感がスパークリングと合いますし、ソースに、赤ピーマンのピューレのソースを用いれば、ピッタリだと思います。手軽にアンコウ鍋でもいいですね。

後は、この時期パーティが多いと思いますが、簡単なオードブルのスモーク・サーモンや生ハムなどの相性もいいので、お薦めです。

一方、コニャックです。もう、そのしっかりとした味わいはそこらのシャンパーニュを越えています。ボリューム感ある味わいですから、オードブルからあわせていくなら、テリーヌ。でもすこしクセがある鴨とうさぎ肉を合わせたテリーヌなどいいと思います。

もっとしっかりした料理であれば、鶏のレバーのムースにオマールエビを使ったソース・アメリケーヌなんてのも良さそうです。

手軽なパーティのオードブルには、フライド・チキンがお薦めです。鶏の皮の脂の風味がこのワインのコクのある風味にマッチします。

また、脂であわすなら、スペイン産の生ハムもいいと思います。ただし、このシャルルマーニュのコニャックを添加した方は、シャンパーニュ好きな方でも、アルコールの強さや、コクの味わいで1人で1本飲むのは、厳しいかと思います。何人かでの乾杯からの1本、食後の変化をつける締めの1本にお薦めです。

こうして見ますと、このシャルルマーニュという造り手が、スタンダードのスパークリングをはじめエレガントな味わいのロゼやその地域の特産であるコニャックを加えたパワフルのものまで様々なスパークリングの可能性を求め続けているだといういことを実感できます。

ちなみに、コニャックを愛してやまなかったナポレオン3世にちなんで、ブランデーの熟成表示に「ナポレオン」が使われたとか。そして彼はシャンパーニュをもよく飲んだようです。 コニャックが入ったスパークリング・ワイン、ナポレオン3世が愛した飲み物の、まさに双方いいとこどりの飲みものですね。


赤ワイン サン・テミリオン・グラン・クリュ 2007

続いて赤ワインは スィ二アチュール・ドュ・クロ・サンヴァンサン2007年です。
新しく入荷したワインです。

今回の赤ワインはこちら
スィニアテュール・ドュ・クロ・サン・ヴァンサン 2007年

スィニアテュール・ドュ・クロ・サン・ヴァンサン 2007年

このワインの2005年が以前から、当店の主力ワインとしてありましたが、この頒布会でも、今年の3月に皆様にお届けしてます。

召し上がった方は、そのしっかりとした濃厚な味わいながらも、まろやかな味わいに驚かれたことと思います。 さて、今日の2007は、どんな姿をみせてくれますでしょうか。

【外観】
まずは、色合いですね。 やはり、濃い色合いです。黒味が強い。濃い紫と黒、赤があわさったルビー色です。

エッジは、ピンクと紫が見えます。 ワインの若さを示すこの色、頒布会のワインでは、久しぶりに見た気がします。

グラデーションも少なく、グラスのすぐ縁まで、黒味が迫っています。この点も、若いワインであること、まだまだ熟成していくことを、示すものです。この辺り、2005年とそう差はないと思います。

【香り】
さて、香りは、どうでしょう。いつもどおり、まずは回さずです。

お、珍しくフルーツの香がします。2005年は、最初香りが取れなかった印象があります。

赤黒いフルーツ、カシスを煮詰めたような強い香りが採れました。若いワインは、還元香といって、酸素不足による、スミレの花などの香りが最初にでてくることが多いのが特徴なので。このワインには、スミレの花の香りは、あ、ありますね。やっぱり。

他には、スパイス。ペッパーのシンプルな香りよりも甘苦さが加わった八角や甘草:漢方などにも使われるスパイスの一種)です。

グラスを回して香りを発たせてみます。漢方のような香りがでてきます。あとは、生肉のような香りです。フルーツの香りが、大きく出てきません。と、この辺りで、すこし甘さを感じさせる香り。ただ、ハーブのような清涼感もあわさったような。

lそう、チョコミントのような香りです。と、なにか、この香りのイメージですと、私は、シラー種を連想してしまいますが。

【味わい】
お待たせのテイスティングです。しっとりとした口当たりです。ただ、そこには不思議な重量感を感じます。酸味は控えめですね。若さゆえの酸味、軽く引き締める感じだけです。

先ほどの不思議な重量感。感じていただけてますでしょうか。果実味が詰まっている感じがあるのです。

ただし、2005年ほどではありません。軽めのエキスなんて感じでしょうか。その果実味エキスをふわりとした、柔らかみのあるコクが覆っている。それが、不思議な重量感です。

柔らかいといっても、渋味がないわけではなく、むしろ、2007年と新しいのでタンニンもまだ大きいままです。 素直に味わってみてください。果実味から渋味・苦味へ流れがあることがわかりますね。

ここで、ワインを攪拌してみましょう。よりフレッシュな果実味を感じられます。この辺りはとくに、酸味がすこし感じられてさわやかな風味があります。若さの酸味と、2007年のブドウがもつ酸味がここに現れていると思います。

一方、2005年はグレート・ヴィンテージであり、果実が凝縮してるので、酸味をそれほど感じなくなって、よりコクを感じる形ですね。

また、ワインを口に含んでください。今度は、舌先に留めてみてください。果実味がちょうど心地よい加減の甘味になってますね。

その先の手前のところで、苦味を感じます。これがミネラルでいう鉄分です。血のような味わいなんていったりします。

それに、舌先にもタンニンによるしびれるような感覚があります。歯茎もです。しっかりとタンニンがある証拠です。

では、飲み込んでみてください。1.2.3....8.9と、余韻もやや長めです。品質の高さと長期熟成の可能性がはっきりと判ります。

【お薦め料理】
あわせる料理は、やはり、肉類 牛肉や仔羊肉です。生肉の香りという部分やミネラルの鉄分で、やはり、すこし血が滴るくらいに焼き上げた肉とは最高の相性でしょう。

2005年は、その強さからジビエ、たとえば鹿肉や濃い目のソースとの相性を薦めていますが、2007年はすこしシンプルに。

あとは、様々なスパイスをたっぷりと周りにまぶしたロースト・ビーフもいいと思います。果実味の部分から、プラムなどを使った煮込み料理にも、合うと思います。

手の込んだ料理でなければ、簡単に、ベーコンを肉にまきつけて焼き上げるだけでも、肉の風味と燻したベーコンの風味が、このワインがもつスパイスの風味に合います。

こうしてみると、果実味を感じる点に、ワインの飲みやすさがあり、素直なワインの気がします。

2005年は、確かに品質の高さはありますが、すこしまだ、その力を堪能するには早い気がします。もちろん、濃縮タイプのメルロー種がお好みであるかによりますが。高品質のワインを、今、気軽にのむなら断然2007年をお薦めします。

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