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愚息の独り言「フランスでの生活 第31話 ボルドーでの生活 2」



愚息の独り言
「フランスでの生活 第31話 ボルドーでの生活 2」

2016年4月15 日



ロベールさん宅は(Robert ) ドアンス(Douence) という人口約100人の村にありました。 広さが縦5キロ以上 横5キロ以上の広大な村でその殆どが農家だった。
自動車でボルドー市からドアンスまで33km。多くの葡萄畑が目に入ってくる。
ただ有名なシャトーは無く大半は自分たちで飲むための物だった。

10月、ハーベストの時期になると、ドアンスでは 今日はだれそれさん家、
明日はだれそれさん家と 言う風に村中100人総出で葡萄狩りを手伝う。
背中に大きなかごを背負って 葡萄の房を背中のかごに入れて行く。
これが結構しんどい。屈んで作業するために子供の僕には結構大変だった。

そのかごに入ってる葡萄の房を歯車の様な( fouloir ) フルワ―に入れ それをまわしながら潰れた物を、大きな樽、又セメントで出来たプールのような所へ投げ込む。
昔は皆さんパンツ一丁になって足で葡萄を潰していたが、この頃はフルワーを使っていた。

( fouloir ) フルワ―

約1週間もすれば葡萄の皮、枝などが完全に浮き上がって来るがそれをさらにかき混ぜると、 2週間後に醗酵していく。その頃に枝、皮、種を取り除く。

赤ワインの色は葡萄の皮、種がつぶれる事によってできる。 昔の作り方のほうが荒っぽいが、身体には良い物だったと思う。 果物の一番の栄養分は皮際と種にあることを昔の人は知っていた。


素人ほど防腐剤が云々言うがボルドー赤ワインは原則防腐剤を使わない。
作業で一番大変なのが葡萄狩りだ。 その夜は村中が集まって採れたての葡萄ジュース、昨年の樽出し葡萄酒を皆で飲む。 村中の食料品ウサギ、鶏、豚、野菜などを皆が持ち寄って食べる、飲む(ギョルトン)、まるでお祭り騒ぎだ。 このハーベストが3週間ほど続く。子供達も学校へ行く暇はない。

このギョルトンは夜7時ごろから朝の1時まで延々と飲んで食べる。
小学生の女の子も葡萄酒を飲んでいる。僕も飲む。 木のテーブルをくっ付け合わせ 周りには鶏そして牛の首輪の鐘がなる。 豪勢な料理をピクニック気分で味わう。 日本人と違って酔っ払っている人は居ない。皆酒も強く またよく食べる。 肉は少々硬いが味が有って食べごたえが有る。

2chevaux 車陸の孤島の様な所で遊ぶところが無い。 バスが一日1台猛スピードで通るだけでパン屋は毎朝近所の村から 2chevaux 車のバンタイプの車が届けに来る。

他は肉野菜の自動車が週に3回通るだけ。
だからこの葡萄狩りは一大イベントである。

しんどいが、それ以上の喜びが有る。子供も年寄も女も男も皆で手伝い皆で楽しむ。
日本人として人種差別を唯一受けなかったのがこの村だ。

最近イタリア、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド、カリフオルニア、チリ、アルゼンチン とどこでもここでも ワインを作っているが フランス人の様に葡萄酒が生活に密着した国はない。
アメリカ人もワインを飲みだしたのは最近であり、フランス人の様に庶民の飲み物ではなかった。
フランスは長年に渡って自給自足の出来る数少ない国の1つだった。

フランスは最近ワインを飲む量が減った。 むかしは1人一日に1本以上だったが現在は4日に1本の量らしい。当然飲まない人達も含めてである。 その代わりビールとウイスキーの消費が増え、ワインもやたらと格付けがどうのとか 訳の分からない事を言って値段を吊り上げている。

食は地方にあり。真にフランスの食生活は贅沢だった。
国も豊かだが何千年もの食文化が成し得る事である。



【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。





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