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ノムリエの戯言「日本は残暑なのに、フランスは収穫(しゅうかく)!」



ノムリエの戯言
「日本は残暑なのに、フランスは収穫(しゅうかく)!」

もう50年以上も前のことでしょうか。

私の住んでいた村はDouances 縦横10Kmの中に人口100人。
ボルドー市内から33Km のところでした。

この時期になると小学生も学校を休みがち。
今日はお隣、明日は向こう隣と、皆さんの所有ブドウ畑のぶどう狩り。

そうです皆さん自分の飲み扶ち(のみぶち)は自分の畑で。
そのぶどう狩りに大人子供村全員駆り出されるのです。
その代わり、畑を持っていない人も多少分けてもらえるのです。

総勢80名が花切バサミの様な剪定(せんてい)ばさみで房の根っこを切り、
背中に背負ってるかごに ポンポン入れていくわけです。
腰が痛く結構きついのですが、その後のことを考えると我慢我慢。
あとはデッカイ樽(たる)に歯車でつぶしながら葡萄(ぶどう)を入れていく。

おそらく南のぺサック・レオニオンなどはもう既に収穫は終わっている所もあるでしょう。
逆に、サンテミリオンなどは10月の第2週からでしょうか?
目安としては葡萄の色が緑から赤に半分変わってから数えて40日です。

もう一つのポイントは、春にいかに雨が降ったかです。
葡萄の芽がどの樹齢も同時に出てくれないと秋の収穫時にばらつきが出てしまいます。
当然、白ワインは酸味を(5〜6度)必要としますし、 フルーティーを求めると収穫が赤ワインよりも2〜4週間早くなります。

ボルドーではシャトーは、ブドウ畑のことをあらわしますが、
私の住んでいた所から5kmの所に本物のお城、シャトーが在って
葡萄畑から建物までバラ並木になっていました。

そのバラを見て最初は、「金持ちは凄い」と思いましたが、実は6月7月、雨、湿気が多いと
葡萄がoidium(うどん粉病というバクテリア)になってしまう恐れがあり、 バラは枝が短く、oidiumが 先にバラに付き、葉っぱにその症状が現れるため一つの目安にしていたようです。
葡萄狩りの時期の目安にもしてたようです。

ヨーロッパは春は、天気が良く 秋は、雨が多い所が多い所です。
日本は冬の梅雨で6月ですが、ヨーロッパは夏の梅雨で10月〜11月。
ヨーロッパへの観光旅行は5〜6月をお勧めします。
日本は秋を勧めたいですね!
しかし食べ物飲み物は違います。日本もヨーロッパも秋が美味しい!

つらいぶどう狩りの後はGueuleton (宴会)が待っている。
この時期のchevreuil (ノロジカの雄) sanglier(いのしし)の美味しい事!
このために遣っていた訳です。
初釜の為に10年無茶(お茶)をやっていました。
基本は肉です。料理名は何であろうとも「肉」です。
しかも丸焼きです。
日本に比べて、肉は少々硬めだが、噛()めば噛むほど味わい深く、
その脂身がブドウ酒の渋味を甘味に変えてしまう。

8人掛けの木のテーブルを10卓。
結婚式と収穫打ち上げはこのようにして夜を明かします。
テーブルには今日の葡萄汁と昨年のぶどう酒。
そうです小学生も飲むのです。しかも毎晩!

ではワイン生産者は如何でしょう?

55年前はイタリア人労働者、45年前はスペイン人労働者、35年前はポルトガル人労働者、25年前は北アフリカ人労働者 が数十人から数百人で葡萄狩りをするわけです。その後最終日には決まって給料とFéte de la Gerbebaude (収穫後の豪華な食事) が待っているわけです。
今は如何でしょう? 10人ぐらいで機械で遣ってる所が殆(ほとん)どです。
しかもFéte de la Gerbebaude と言う言葉さえ忘れ去られてきています。

そうです 以前のように食べなくなりました。飲まなくなりました。
昔アステリックス・オベリックスと言う漫画が有りましたが、最後は必ず宴会で終わっていました。

あ〜あ〜! 昨日も中華なべを2人前ワインを2本、家に帰って1本飲んでしまった!
気を付けなければ もう若くない と言いながら 美味しい秋の到来です!!


【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。

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