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ソムリエの追言「セカンド畑」



ソムリエの追言
「セカンド畑 」



道上の独り言
11年前フランス人の友人に、コルシカ島の別荘に招待されました。
プライベート・ビーチを持つ、まるでお洒落なホテルのような建物です。

そんな場所での昼食中の朗報でした。
それはその別荘のオーナー(友人)がクラブ・デ・サンへの入会が決定したというものでした。
彼はフランス最大の出版社の社長であり、れっきとした侯爵であり、
南仏のシャトーで生まれ育ったエナ(高等大学)卒のエリート。

「クラブ・デ・サン」とはフランスの歴史のある100人限定の会であり、友人は5大シャトーの社外取締役でもある。 100人の会とは一人退会又は他界しない限り、 新しいメンバーの入会はないのです。 月に一度の食事会は欠席不可、 仕事の話も不可と大変厳しい会です。

その入会条件たるや、数人の紹介の元で全員の承認と面接が必要。
その際には15人から質問責めである。 その一つを披露すると・・・

「あるお宅から招待を受けました。 出てきた物はフォアグラに1964年のシャトー・イケム、ジビエにシャトー・マルゴー1965年。その時、貴方は如何思いましたか?」

(友人)「という質問があったよ!」

(僕)「何と答えたの!??!」

(友人)「そりゃあ困ったよね! シャトーイケムは1964年は生産されていないし マルゴーもその年は不作で、単一ヴィンテージとして販売しなかったから・・・。」

かなり意地悪な質問だ。

昔はシャトーによってはこのように生産しない年もありました。
シャトーイケムのオーナーであるアレクサンドル・ド・リュル・サリュース伯爵は時にキ●ガイと言われる程のマニアで、納得いかない年には、一切販売しないほどの徹底振り。 1968年に叔父から譲り受けた広大な土地を1997年には借金がかさみ、手放す羽目になってしまった。
それを個人的に買いとったのがモエ・ドヘネシー・グループのベルナール・アルノです。

この様に、昔は自社のブランドとして売るに値しないと判断した場合、
有数シャトーには存在しないミレズィム(生産年)が有りました。

今はどうでしょう?!全てが販売されています。 ましてやセカンドは最初から似ても似つかない別物です。 日本人は悪い年にセカンドへ横流しするという間違った解釈をしている人もいます。

最近では格付けワインを、ボトリングされる前に先物として樽状態で売られ、 その後はネゴシアン(問屋)が値段を吊り上げていくわけです。 仲間内で売ったり買ったり、又はファンドでの売り買いが行われるわけです。

そんな中 シャトー・ラ・ジョンカードは 未だに赤ラベルの販売されない年が有ります。

赤ラベルは一般に樹齢45~55年のメルロ20%、カベルネソービニオン80%でつくられていますが、 年によってはメルロ15%~25%、カベルネソービニオン75%~85%になったり、 年によっては赤ラベルが紅白ラベルに落とされ、紅白ラベルは黒ラベルに、 黒ラベルは白ラベルにとなるわけです。

多くの投資家の餌食になっていない無名のおいしいワインが有り難いのです。


ソムリエの追言
「本当に買得?セカンド・ワイン」

セカンド・ワインまたはセカンド・ラベルとは、 フランスの5大シャトーを筆頭に、知名度の高いシャトーが「自社のブランドとして売るには値しない」と判断した場合に、格を落として安く販売しているワインだと一般的には言われていますが、 私の調べてみたところによると、ここ最近60年間の間でぶどうの出来が悪いなどの理由から、5大シャトーが格付けワインを販売しなかったという事実は、唯一シャトー・マルゴーの1965年を除いてありませんでした。

出来が良くても悪くても、毎年ファースト・ワインは販売されているのです。
逆に奇跡のビッグビンテージで葡萄の出来が良過ぎたからと言って、今までセカンド・ワインを販売していたシャトーが、 その年だけはセカンドを販売しないという事もありません。 どちらかの生産量が激減・激増するという事もないのです。
いったいどういう事でしょうか・・・。

商業的なセカンドワイン
格付けシャトーが、自社のブランドを冠したファースト・ワインであれば、プリムール(先物)で高く販売出来る事は確定していますが、シャトー側がもっと生産量を増やして儲けたいと思った場合、手っ取り早く近くの他の畑を買い取ったり、樽ごと買い取って自分のシャトーでブレンドして、セカンドとして販売しているのです。

葡萄木例えばシャトー・ラトゥールのセカンド、「レ・フォール・ド・ラトゥール」は、ラトゥールが作られている畑から少し離れた場所にセカンド専用の畑があり、そこで樹齢の高い葡萄木を中心に生産されています。(その畑の若木から造られるワインはサード・ワイン「ポイヤック・ド・ラトゥール」として生産されています)

実際には、セカンドもサードも、シャトー銘柄のファースト・ワインとはまったく別物と考えた方が良さそうです。 そうであるなら、セカンドがファーストの味わいを抜く事もあるかもしれません。

何しろ、名前、客、お金、が出来れば、それを更に生かそうというのが世の常
さすがボルドー商人というところでしょうか?



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