ソムリエの追言「続・ボルドーとブルゴーニュ 」
ソムリエの追言
「続・ボルドーとブルゴーニュ
」
先週に引き続き、ボルドーとブルゴーニュの違いを見ていきましょう。
【ボトルやグラスの違い】

一方でブルゴーニュはピノ・ノワールに含まれるタンニンが少なく、長く熟成させた場合でも澱はあまり生じないので「なで肩」に作られています。ボトルは重心が低く倒れにくいように、太めに出来ています。
家庭用のコンパクトなワインセラーで、よく「最大〇〇本収納!!」とありますが、実はこれはボルドーのボトルを基準としたものなので、ブルゴーニュやシャンパーニュのボトルでは、そんなに入らない事があります。
ボルドー基準と言えば、「2000年は最高の当たり年!!」というようなフレーズがよく聞かれますが、フランス国内でも場所によって気候や降水量は違うのです。およそ500km離れ、栽培しているぶどう品種もまったく違うボルドーとブルゴーニュでは、良作年・不作年は異なる場合が多々あります。
同じボルドーであっても、カベルネ・ソーヴィニヨンが主体のジロンド河右岸(メドック・グラーブ)とメルローを主体とするドルドーニュ河(サンテミリオン・ポムロール)では、当たり年が違う事もあります。例えばメドックでオフヴィンテージだと言われる1971年は、シャトー・ラ・ジョンカードのあるコート・ド・ブールでは完熟した素晴らしいワインが作られました。
しかしなぜか世間では、ボルドーのプリムール試飲会(ワイン評論家達によるビン詰め前の樽からの試飲)の評価をもって「この年は素晴らしい!!」と一概に言ってしまうところがあるようです。 ワインを購入する際にはその国の、その地方での気候が重要なのです。

リーデル社が初めて考案したものですが、ぶどう品種の名前をそのまま付けた大きなワイングラスが世間に広まりました。
一般に縦長の楕円形のものをボルドー型、少し横広の丸形をブルゴーニュ型と呼んで使い分けています。
ボルドー型はタンニンが強いワインでもスムーズに飲めるよう、ワインが舌の奥の方に直接流れ込むようなシルエットに、逆にブルゴーニュ型は華やかな香りを最大限に引き出せるよう、ワインが口の前で一度滞留してから舌の手前に落ちるように計算して作られていると言われています。
確かにグラスが大きければワインの美しい外観を観察しやすく香りも感じやすい、なによりも雰囲気が良い!!3割増しぐらいにぐっと盛り上がりますね。 しかし口の中でワインをぐるぐる転がして飲んだ場合、一口目は最初に舌に触れる場所が変わるので受ける印象も違ってきますが、二口目からはグラスの形状で味わいにそれ程大きな違いは生まれないように感じます。
家ではグラスを洗うのも割らないように緊張しますし、少なくとも家で飲む時にはそこまでこだわらなくても良いように思います。 なにより2,000円のワインを飲むのに、3,000円のグラスを使う事にどうも違和感を感じてしまうのです。
【マーケットや生産量による違い】
数字から見れば、生産量やマーケットはボルドーの方が圧倒的に多く、 生産量ではブルゴーニュ(ボージョレー地区を除く)に対しておよそ10倍、 畑の面積では20倍の開きがあります。
ブルゴーニュは世界のマーケットから見れば、輸出量はわずか0.3%。
道上が「ブルゴーニュの赤なんて、フランスには存在しない!」とよく言っていますが生産量がボルドーの10分の1、しかも作っているワインの7割が白ワインとスパークリングワインだという事を考えると、なるほどと納得してしまう部分もあります。実態は赤だけで言うと30分の1になってしまいます。
その一方でブルゴーニュの辛口白ワインは、洋ナシ、白桃、バター、ナッツ・・・アロマの豊かさや果実味に富んだタイプ、コクのあるタイプ、すっきりとシャープなタイプと幅広い味わいのワインが作られ、中には2,000円代で素晴らしいワインに巡り合う事もあります。
【道上の独り言】
あまり美味しいワインを飲まないオーストリア人が勝手に決めたグラスであり、ボルドーには昔から丸型も細長も全部ありました。外国人が知ったかぶりをして、いろいろ言われるので、僕はついていけません。
ヨーロッパではブルゴーニュの赤の方が好きだと言う人は稀です。
それは、そもそも飲む機会が少ないからです。
食生活の貧しいパリジェンヌに供給してきたのがブルゴーニュです。
食生活の豊かな地方で飲まれてきたのがボルドーワインです、しかも全世界で!
ボルドーの赤が身体に良いと言うのはヨーロッパの常識です。
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