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ソムリエの追言 「パンとワインは本当によく合う?」


ソムリエの追言
パンとワインは本当によく合う?



先週はご飯とワインの相性について書かせて頂きましたが、
よくご飯との比較で「パンはワインに合う!」と言われています。
本当でしょうか?

本来、コース料理におけるパンの役割は
次の料理へ進む際に口の中に残った料理の味、
ワインの味を断ち切るというものでした。
ワインテイスティングの際には、
ワインとワインの間に口をリセットするために使われています。

仮に、料理とワインがともに長所を高め合い、
さらなる美味しさへ昇華する事が「マリアージュ」だとすれば、
個人的にはパンはその意味から大きく外れているように思います。

最後の晩餐推測ですが、レオナルド・ダヴィンチの絵画でも有名な「最後の晩餐」で、 キリストが「パンはわが身体、ワインはわが血」という意味の言葉を残し、キリスト教にとって、パンとワインは特別な存在となりました。

ワインの発展に修道士達が大いに貢献してきた事も周知の事実です。
しかしその一方で、日本では「パンとワインはセット」という固定化したイメージが
いつの間にか出来上がっていったのかもしれません。

フランスパン たとえば食パンやフランスパンに何も塗らずに 何も挟まずに焼かずにそのまま食べたとしたら、 私にはそれ程ワインと相性が良い食材だとは思えません。
邪魔をしない、という程度でしょうか。

オリーブ・オイルやバターの油分、 ハムやチーズの塩気があって初めてワインと合ってくるように思います。

ワインとパン また生地の段階でバターや塩を多めに使って味を付けたパン、ナッツやドライフルーツを練りこんだパンは、ワインに合います。
前述のキリストのワインは赤ワインですが、 こうしたパンには、むしろシャンパーニュや シュー・ル・リー(澱の上の意)製法をもちいた コクのある白ワインがオススメです。

シャンパーニュ製法もシュー・ル・リー製法も 熟成の段階で澱とワインを接触させて澱の旨味、 香りをワインに取り込んで作っています。
澱の主成分はアルコール発酵を終えた酵母です。

この製法によって作られたワインには 酵母の香り、ナッツの香り、バターの香り、磯のような香り・・・。 これらの香りを芳醇に感じる事が出来ます。
渋味の少ない軽快な味わいは、パンの甘みを引き出しますし、
ジャムやクリームを塗って甘くしたパンにも シャンパーニュなら合わせる事が出来ます。

また焼かないよりも少し焼いた方が、パンの香ばしさや食感、 焦げた苦味が合わさって、よりワインに合いやすくなるように思います。
辛口の白ワインにはガーリックトーストがぴったりです。

赤ワインとパンの相性ですが、個人的には小麦よりも、ライ麦を使ったパンの強い香りと 独特の酸味を持った味わいの方が赤ワインには合うように思います。 栗やクルミを練り込んだライ麦パンの風味は、 メルロー種を使ったなめらかなボルドーワインとの相性を楽しめます。

そして、前回ご紹介させて頂いたおでんの汁ですが 実はパンを浸して食べても美味しくワインと合わせられます。 すこし和からしを加えるのがオススメです。



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