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2010年9月度頒布会レポート「これがワインテイスティングの奥義!?頒布会ワインで実践」VOL.4



「これがワインテイスティングの奥義!?頒布会ワインで実践」VOL.4
●外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。

今回は、同じ作り手のシャンパーニュ2本を比べてみましょう。

A ディオジェーヌ・ティスィエ・エ・フィス・サヴール・ド・ジュリエット

ディオジェーヌ・ティスィエ・エ・フィス・サヴール・ド・ジュリエット



B ディオジェーヌ・ティスィエ・エ・フィス・キュヴェ・ド・レゼルヴ

ディオジェーヌ・ティスィエ・エ・フィス・キュヴェ・ド・レゼルヴ

いつもの様に、しっかりと冷やした、シャンパーニュを静かに開けてください。

グラスになるべく静かに静かに注ぎます。
今回は特に静かに注いで見てください。2本ともシャンパーニュですので、泡の持続性を見てみましょう。

パーっと広がる、炭酸ガスが造りあげる、白い泡の層、心なしか厚みを感じます。 この厚みをもった、泡の層がそのまま、グラスの縁に連なる泡、「コルドン 」の塊(かたまり)になっています。

特にB キュヴェ・ド・レゼルヴが厚み、持続性ともにありますね。
一方、Aのサヴール・ド・ジュリエットは、細かな粒の立ち昇りの勢いがあります。両方とも、液面中央で、泡の集まり、「ムース」が、何度も造られは、消えたり、くっついたりとシャンパーニュの気泡の流れの美しさを見せています。


中央に「ムース」ができている様子

整ったきめ細かな気泡の美しさにもぜひ目を向けてくださいね。

さて、色合いです。

グラスを少し傾けてみてください。
ABともに、麦わら色ですこし、黄色がかっているといった印象ですか。
そんなに、2つの差はないように見られますね。
ちょっと待ってください。
今度は、真横からグラスを見てみましょう。
色素が重なってより色がわかりやすくなります。
どうですか。
全然違いますね。
明らかに、Aの色合いが濃いです。
使っているブドウの差によるものでしょう。



右 A サヴール・ド・ジュリエット
左 B キュヴェ・ド・レゼルヴ

続いては、香りです。
まずは、グラスを回さずでしたね。

AB共通の香りは、イースト、酵母(こうぼ)のような香りがしますね。
あえて、違いを見つけるとするならば、ABともに、イーストから磯(いそ)のような香りに変わっていくなかで、Bキュヴェ・ド・レゼルヴは潮の爽(さわ)やかさを感じませんか。
グラスを行き来するとそのニュアンスがわかってもらえると思います。

では、軽〜く、グラスを回してみてください。
酵母や磯の香りが、少しとんで、A からは、こげ臭が Bからはトーストのような香りがしてきました。Aのこげ臭はやや強めですね。ただ、この風味が何故か、香ばしさに繋がってくるから不思議です。

さて、フルーツの香りはありますか。
Aは、カリン、リンゴの蜜(みつ)のような香りがあります。
甘味感じさせる一方で、煮詰まったような感じです。

Bは潮の風味からか、回した後は、爽やかなハーブのような香りがしますね。
うーん、なかなかはっきりとフルーツの香りが採れません。
すこし、時間をおいてみましょうか。

(1分後、泡立ちも落ち着きだしてきて)
また、グラスを回してみてください。
すぐに嗅いで見ると、一瞬鼻先にツンと来る香りありませんか。
意識を集中してみてください。
チェリーのように、甘酸っぱさを感じるような、皮の色は、下半分が白っぽいときのような。
おそらく、この後、このフルーツの香りが変わってくると思いますが、その時にまた。



さぁ、お待たせしました。まずは、Aから口にしてみましょう。
炭酸もすこし落ち着き始めてますので、口当たりは、強すぎない程度のふくよかさを感じますね。
そのためか、酸味も穏やかに感じます。
空気を吸い込んで、ワインを攪拌(かくはん)してみてください。
全体的に味の中心は、心地よい苦味ですね。
炭酸ガスも手伝って、やや鋭い苦味が口の中を刺激します。

果実味というと、、やはり、リンゴの甘味を連想させるもの、ほんの少し苦味が舌に残ります。ただ、この果実味、苦味とあわさるような感じですね。いつもどおり、余韻を見ましょう。1.2.3.・・・11.12。やはり、シャンパーニュは、余韻も長いですね。

では、Bをテイスティングして見ましょう。
うわっ、果実味がすごいですね。
こちらは、ボリューム感というより、果実味の強さに圧倒されます。
もう、前面に果実味が来ています。苦味はありますが、小さく下で支えているような感じです。そのため、酸味を少なく感じますね。 Aも、酸は強くなかったのですが、比べてみましょう。

Aを口に含んでください。口先の両端に意識を集中してみてください。
どうですか。Aを、さっきは「穏やかな酸味」と言いましたが、Bの後では、シャープに感じますね。これは、Bに酸が少ないのではなく、それだけ、Bの酸が丸みを帯びて、果実味のボリュームに溶け込んでいることを表しています。

Bに戻って下さい。
フルーツの香りをとってから5、6分経っていますが、香りが変わってきてますね。
アプリコットでしょうか。あと、あまりいい表現でないですけど、フルーツの缶詰のシロップのような香りもありますね。

口に含んで空気を吸い込み攪拌してみてください。
果実味の甘味とそのコクが口の中に広がります。
余韻は、1,2,3・・・10、11。Aと長さでは大きな差はないですが、
Aが苦味が残るのに対し、Bは、果実味が強く残ります。
すこし、口の中がぺタつくような感じですね。
もう一度、Aを飲んでみてください。
うん、苦味を先ほどより強く感じます。しかも、口の中がドライ、乾くようなかんじです。
ドライといえば、今、熟成タイプのシェリーのようなひねた香りも採れますね。

苦味中心のAと果実味中心のBの違いを感じていただけましたでしょうか。

さて、今回の2つのシャンパーニュ、Aは、黒ぶどうのピノ・ノワールとピノ・ムニエから造られたブラン・ド・ノワール と呼ばれるもので、Bはその黒ブドウ2種に白ブドウのシャルドネを加えた3種で、できたものです。

イメージからすれば、Aの方が、黒ブドウからくる、ふくよかさがあるかと思ったのですが、その特徴は苦味の部分に現れたようです。ピノ・ムニエを多く使うことは、まろやかさ果実味を与える一方で、早く熟成(じゅくせい)するようなんです。シェリーのようなひねた香りは、熟成を表す証拠、狙いどおりに熟成が進んでいくかも知れません。

独特の風味を造り出す、ピノ・ムニエ。シャンパーニュで、ヴィンテージものではない、熟成の良さを表そうとした1本なのかもしれません。でも、惜しいかな、まだ熟成の域に達してないですね。独特な苦味だけだと・・・。

これをプラスにもっていくには、やはり料理ですね。

こういった、黒ブドウからつくられるシャンパーニュには、やまうずらなど野鳥のローストのように、肉質が淡白な風味に野性味あるちょっとしたクサミが、間違いなく合うでしょうね。ソースをかけるのもいいですが、シンプルにロースト・グリルなどがオススメです。

熟成してれば、ローストにトリュフを使っったソースで香りとともに、食べたいですね。魚介なら、ホタテを焼き上げ、アンチョビを加えたバターソースなんてのもいいですね。

一方Bは、バランスを狙うタイプかと思えば、なにやら、「一番搾汁(いちばんさくじゅう)」のみを使用とのこと、苦味の少ない素直な果実味が前面にでた味わいとなっていました。世の中の「ドライ」嗜好(しこう)のなかで、「ワインは果実からできているんだよ」ということを表現したかったのかもしれませんね。シャルドネ50%で、この果実味はびっくりです。好きな方は、はまる味わいでしょう。

でも、バランスをとるため、料理をあわせていくと、相乗効果(そうじょうこうか)があると思います。鴨ではなく、血の風味がしない鶏肉を焼き上げオレンジを使ったソース なんて、鶏肉の風味と皮の焼き目の香ばしさと、オレンジの果実味をしっかりと結びつけること間違いないですね。また、オレンジつながりで、鯛、ヒラメなどをカルパッチョにして、爽やかなハーブのディルとオレンジの実をちらして、白コショーの粒、オレンジ風味のオリーブオイルとあわせるのもいいですね。

どちらも、数々のコンクールで、賞を受賞している立派なシャンパーニュです。皆さんは、どちらが好みですか。わたしは、素直にこの2つの中間のタイプが好きです!






シャトー・ル・メヌ・マルタン 2005

シャトー・ル・メヌ・マルタン

つづいては、赤ワインですね。

色合いは、濃いですね。
ルビーとガーネットがあわさり、黒味が強いです。
透明感(とうめいかん)がありません。
グラスを傾けてみましょう。
これでも、グラデーション、色の変化がほとんどないですね。
かすかに縁に赤・かすかにオレンジがみえる程度です。
熟したブドウから造られたワインであることが予想できます。



さあ、グラスを回さずに香りを嗅いでください。
むっ、野性的な香り!非常に強い香りです。動物臭なんて表現がいいかもしれません。

グラスを回してみると、すこし爽やかさがでてきて・・・。
モカ、コーヒー、ですね。さらに グラスを回していくと。
その、詰まった強めの香りの中に、フルーツの香りがやっと出てきました。

とはいえ、ブラックベリーのリキュール、を感じます、濃い目の香りです。
ここからも、熟したブドウから造られワインであることがうかがえます。

他には、赤ワインといえばスパイスの香りですね。
どうですか、強い香りの中に、しっかりと、八角、甘草(かんぞう)などの強めのスパイスの香りが採れます。 色、香りからすると、なかなかしっかりとしたワインの味わいが期待されますね。

それでは、味わいを見てみましょう。

ややふくらみのあるしっかりとした口当たりです。ボリューム感があります。
酸味は少なめですね。こなれている感じです。

果実味は十分にあるのですが、凝縮(ぎょうしゅく)した果実味という感じではないですね。

すこし、違和感がありませんか。

それと、味わい全体に、善く言えば整った、悪く言えば、平坦な感じがありませんか。
バランスではなく、赤ワインの酒質が若いワインにしては、でこぼこしてないんです。
とんがっているところがないんです。

また、コクの部分がすこし欠けている様な感じが・・・。

渋味は、2005年の割には、ザラツキ感が少ないですし。
熟成した渋味のように、丸みを帯びた感じでしょうか。

待ってください。渋味は本当にないんでしょうか。
ワインを口先に集めて、留めてください。
どうですか、前歯の表裏の歯茎(はぐき)がしびれてきませんか?

しびれるは大げさでも、キュッと締まる感じが続きますよね。
渋味成分タンニンの仕業(しわざ)です。
つまり、しっかり、タンニンはあるということです。

でも、隠れたような感じなんですね。
その渋味を支える果実味のコクがないんです。

これはどういうことなんでしょうか。
考えられるのは、樽(たる)の使い方ですね。

実は、樽ではなくステンレスタンクで熟成をしたタイプの赤ワインなんです。



樽熟成の赤ワインに慣れ親しんでいるので、色・香りの濃さのため、違和感をかんじたのですが、このヴィンテージでなければ、軽めでしなやかなタイプの赤ワインが出来るはずだったようです。

ところが、2005年のブドウが良い出来で、色の濃さ、タンニン分が強いワインができあがった。そのワインをどう仕上げていくのかとういうことなんです。

樽熟成を行なうと、木目からすこしづつ、水分が蒸発していき、果実味が凝縮しますし、また、樽の焼き目や木材によって、ワイン自体に風味が加わっていくんです。もちろん、タンニンもゆるやかに変化していきます。その、樽熟成をしてないので、凝縮感が物足りなく、タンニンの変化の少なさで、バランスが悪く感じられたということでしょうか。

つまりは、濃いタイプでの美味しさとは違うスタイルを目指しているワインなんですね。同じ味わいを求める時代への一つの問いかけにも思えます。 ですから、このタンニンがさらに、もうすこし落ち着いたころが飲み頃のはずです。そう先のことではないと思いますので、ちょっと、時間をおいてみたいと思います。
ワイン注ぐイメージ

〜2時間後〜

どうでしょう、先ほどより、果実味が口の中に広がりますね。
果実味のあとに旨みも出てきましたね。

気のせいか、コクも先ほどよりあるように感じますね。不思議です。

果実の味わいに凝縮感はありませんが、なにか素直なワインの風味を感じます。 こういった、ワインは、きっと、その土地のブドウの味が、表現されていて、毎年、毎年見せる表情が変わるのではないでしょうか。 造り手の意思を感じるワインとは、まさにこのことでしょうか。

シャトーイメージ

ただ、色が濃いと、どうしても、しっかりとした強い味わいと思ってしまうのでそのあたりのギャップをどうにかできないでしょうか、と思うのが正直なところです。

皆さんはどのように感じましたでしょうか。



頒布会

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