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バックナンバー( 最新5話分)

■コルクを抜くまでの保存方法や温度管理は?

ワインセラーは保存に適していない?
窮屈すぎるワインセラーの空間、その理由は・・・。

■ワインの上手な購入方法を教えて!

よくある質問の一つ、ワインはどんなお店で買うのが良いのか。
コストパフォーマンスの良い仕入れとは?
沢山種類を置いてあるお店のワインは高い?その理由とは・・・。

■ワインはご飯のようなもの?

フランス人は多くの日本人が毎回違ったワインを首をかしげながら飲む姿を見てびっくりしています。
日本人は毎回毎回違うお米を買うでしょうか?多くの方はお好みのお米があります。
同じようにワインも同じものを飲み続けることでワインに対する基準ができるようになります。

■ボルドーとブルゴーニュ

日本ではボルドーとブルゴーニュはフランスの2大生産地として、ワインの双璧のように言われていますが、実際のところは?ヨーロッパでのブルゴーニュの赤ワインの評価は?

■ワインは栓を開けてからどのくらいの時間美味しく飲める?

ワインや好みによりますが、一般に売られているワインなら30分位といったところでしょうか。しかし、カベルネソーヴィニョンの割合が高いものは2時間位経ったほうが美味しい場合が多く、何と開けてから翌日の方が美味しくなっているワインも??

■ボルドーの赤ワインは他と何が違うのでしょう?

ワインの歴史、生産量、どれをとってもボルドーは世界を圧倒しています。
フランスにとってそしてヨーロッパの歴史においてボルドーは大変重要な都市です。
フランス史上2度もボルドーに首都が置かれたことをご存知ですか?

ソムリエの追言「再発掘!スパークリングワインの魅力」



ソムリエの追言
「再発掘!スパークリングワインの魅力」



シュワワー・・ピチピチパチ・・・
スパークリングワインをフルートグラスに注ぐたびに、 グラスの中に泡の奏でる音楽が流れます。 スパークリングワインは耳でも楽しめるワインです。

スパークリング泡スパークリングワインのコルクを抜く時のシューっとガスの抜ける音を「天使のため息」と言うのに対し、このグラスの中で泡の弾ける音は「天使の囁き」と呼ばれているそうです。

スパークリングワイン、 その特徴でもある”泡”の感触は、 味覚というよりも口の中で感じる心地良い刺激に近く この感覚が長く、そして柔らかく続くものは良いスパークリングワインだと思います。 そこにフレッシュな果実の酸味や甘み、コクが重なってきて味わいを形作る。

スパークリングワインといえば すぐにシャンパーニュを連想しがちですが、 1.000円台で気軽に楽しめるのは、 シャンパーニュ以外のスパークリングワインの大きな魅力の一つです。 少し値段は上がりますが、シャンパーニュと同じ製法で作られるスパークリングワインは、 フランスではクレマンと呼ばれています。

私たちは安くて美味しいスパークリングワインを見つけようと フランス、イタリア、スペイン、ニュージーランド、南アフリカ・・・色々と探しました。
しかし、今のところブルゴーニュに敵う生産地は見つかっていません。

「カバ」は数年前までコスト・パフォーマンスが良かったのですが、 人気が出て随分値上がりしてしまいました。 美味しいカバは、味は以前と同じでも値段が高過ぎてとても扱えません。

以前、南アフリカまでワインを探しに行った時、 50種類以上の南ア産スパークリングを試飲しましたが どれも炭酸が強すぎて口の中に重曹を入れられたように刺激が強く、 柔らかい泡を味わえるものではありませんでした。

現地の方に話を聞くと 南アフリカの方はサイダーやコーラが大好きで みんな小さい頃から強い炭酸を飲みなれているから これくらい刺激が強くないと物足りないのだとか。 育ってきた国や環境が違えば、味覚や好みも異なって当然ですが 日本人には中々受け入れられない泡の感覚だと思いました。

またワインが”振動”に弱いというのは有名な話ですが、 特に移動などの振動に対してデリケートなのがスパークリングワインです。

当店では海外から届いたスパークリングワインは、 倉庫で3ヶ月ほど休ませて炭酸が落ち着くのを待ってから出荷しています。

お店で買ってきた、もしくは届いたばかりのスパークリングワインも なるべく2日ぐらい置いてから召し上がる事をお勧めします。

ただし寝かせておけば美味しくなるのかと言えば、そうとも限りません。
一部のシャンパーニュを除いて、スパークリングワインは基本的に早く飲んだ方が美味しく感じます。日本に入荷して半年から1年がピークです、2年以上経つとスパークリングワインは徐々に気が抜けて味わいは落ちてきてしまうのです。
この辺りが在庫管理の難しいところでもあります。


【飲み方のバリエーション】
飲み方のバリエーションスパークリングワインはカクテルとしても幅広く使えます。

冬はグラスに注いだスパークリングワインに生姜のリキュールをすこし加えると 体もぽかぽかのスパークリング・カクテルが簡単に作れます。

私は生姜リキュールがない時には、生の生姜をささっと擦って絞り汁を入れていますが、 これも生姜の香りが立って美味しいです。

道上は、スパークリングワインの上にオレンジジュースをついで、 そこにグレナディン・シロップを垂らし、最後にブランデーを少し加える・・・ というカクテルを振る舞った事もあるそうです。 昔はドン・ペリとクワントロでやっていましたが、 一度デュック・ダンリでやってみたところ意外と美味しかったとか。

料理との相性も幅広く、洋食はもちろんですが 和食、特にお寿司とスパークリングワインの相性を好む方は多いようです。 当店でもワインを卸しているお寿司屋さんからは、 毎日のようにスパークリングワインの注文が入ります。

寿司のシャリに感じるふわっとした甘みと スパークリングワインのほのかな甘さ、 一見甘いもの同士を合わせるようで、 結果として甘ったるくないすっきりとした味わいになるから不思議です。

デザートとの相性もなかなかのもので、 以前紹介した、フルーツとワインの組合せの時にもスパークリングワインは ほとんどのフルーツと相性が良く、その万能ぶりを発揮してくれました。 バニラアイスと辛口のスパークリングワインを合わせると、 バニラの甘い香りがワインの泡と共に口に広がり上品な食後を演出します。

食前酒のイメージが強いスパークリングワインですが、 食中はもちろん、デザートまで幅広く活躍してくれるのです。 ひょっとしたら泡のあるスパークリングワインに ”アワない”食事はないのかもしれません。

これから年末にかけて仲間や家族で お酒を楽しむ機会も増えてくるかと思います。 そんな時にはぜひ、スパークリングワインの魅力を再発掘してみてください。 多くの場でスパークリングワインが活躍する事を思うと非常に楽しみです。


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ソムリエの追言「凍ったワインの方が美味?ワインの温度について」




ソムリエの追言
「凍ったワインの方が美味?ワインの温度について」

【忘れ去られたロゼワイン】

飛び出したコルク「あぁ、やってしまった!・・・」

事務所の冷凍庫の扉を開けると、 何か、かぐわしきベリーの香り。 狭い庫内に横たわるラーム・ドゥ・ローズ。

白い霜の世界に、キレイなピンク色のシャーベットが飛び散り、鮮やかに映える。 開けてもないのに、コルクは、キャップシールを突き破り、 外に飛び出している。

そして、ボトルの中は、完全にシャーベット状に凍っている・・・。
先日、スタッフで試飲していた際に、ロゼが、足りなくなると思い、
急遽冷やしたのを忘れていたのです。

【理想的な温度】

「赤は室温 白は冷やして」というのが一般的に言われていること。

でもって、赤の室温って つまりは、軽く冷やすと捉えていいと思います。
何しろ、ワインの本、どれを漁っても、 14~18℃とか、載ってます。
(本によって、誤差があります。)

18℃でも、普段の我々の生活温度じゃないですよね。
ということは、冷やすしかないわけです。
しかし、どうやって14℃~18℃を判断するの?
ワインセラーがあればいい?
また、ワイン専用の温度計を【ボトルの外側を測るタイプ】使えば判る?

でも、そんな面倒なことしたくないじゃないですか!
14~18℃じゃなければ美味しく飲めないとか、そんなわけでもない。
でも、より美味しく飲めるなら、
その理想の温度に近づけたいですよね。
ならば、冷蔵庫で冷やしましょう。

【冷蔵庫の対応で十分】

冷蔵庫の温度は5℃、野菜室が10℃です。

軽い白やスパークリングなどは、冷蔵庫で3時間以上しっかり冷やす。
当店のワインで言うと
ラモット白デュック・ダンリ

白のコクのあるタイプ10℃~12℃ 野菜室で冷やして2時間くらいでしょうか。
樽の風味があるキュヴェ・スペシャル Lなどです。

赤の16℃~18℃あたりを目安にするには 
野菜室で1時間弱冷やせばいいでしょう。
ジョンカード白ラベルに、スィ二アテュールなど。

もう30分ほど冷やせば、14℃~16℃の
軽いタイプの赤ワインの適温になると思います。
ブルゴーニュの赤など。

冷蔵庫や、最初の温度によって、もちろん誤差はあると思いますが。
飲む少し前に、部屋に出して、温度を上げて調整するのもいいです。

それに、 栓をあけて、グラスに注げば、その時点で1℃から2℃上昇します。
とにかく、時間がたてば、グラスの中も、ボトルの中も温度は上がっていきます。
ですので、 「少し冷たいかな」と感じるくらいから、飲み始めて、
味わいが変わっていくのを楽しむことをお薦めします。

まだ、冷たいと思うなら、 グラスを回して、空気に触れさせるもいいですし、
別のグラスに移し変えるもよし、 ワインが入ったグラスごと両手で、温めるのもアリです!

【温度と味覚の関係】

氷水をいれたアイスクーラー よくやってしまうことは、ワインの冷やしすぎ。 氷水をいれたアイスクーラーに入れっぱなしで、キンキンに冷えてしまうなんてことも。

5℃を下回れば、繊細な味わいはほとんど感知できません! 白ワインや、スパークリングなど、冷やしすぎに注意です。 ある程度、冷えたら、クーラーから外すことも 必要なんです。

その点で、もう一言。

温度が変わると味わいの感じ方が変わります。
赤ワインを冷たくすると 渋味を強く感じます。
白ワインを冷たくすると、酸味と苦味を強く感じます。
白・赤ともに温度が上がれば、甘味を強く感じ、酸味が目立たなくなります。

飲み頃温度一覧この点を利用して、軽いタイプのワインを冷やし気味にすると、 しっかりとしたワインのような感じに。 温度をちょっと高めにして出せば、酸味や苦味が目立たなくなります。 味わいを、温度で変えて、より自分好みのワインにすることなんて、出来るんです。

あとは、目安となる、飲み頃の温度一覧を用意しました。(拡大図はこちら

あくまで、参考としてのもので、
細かく気にする必要はありませんので・・・。



【凍ったワインは・・・】

ワインが凍る温度はマイナス3~4℃。やっぱり、冷凍庫で冷やすのはダメ!
なにしろ、ボトルが割れる危険があります。

そうそう、 国際コンクール日本代表の有名ソムリエも、
うっかりあのシャトー・ディケムを凍らせてしまったことがあるらしいです。
プライベートで。 その後は自然解凍して、冷蔵庫で冷やして飲んだら、全然大丈夫だったとか。

かのロゼ・ワインも同様に、解凍したものを飲んでみたら、
意外にも、より果実味がイチゴのようにフレッシュに感じました!
凍って飛び出た部分で、雑味が取れたような・・・

あ、真似しないで下さいね。ただの偶然だと思いますので。


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ソムリエの追言 「安心の先の 確かな未来へ ボルドー」



ソムリエの追言
「安心の先の 確かな未来へ ボルドー」

【ボルドーのイメージ】

とあるホテルの一室。
恵比寿で買ったパンとチーズ、
初めて買ったボルドーのシャトーワイン。
「シャトー・ラ・ラギューヌ 1989」と「シャトー・ポンテ・カネ1991」
1996年の秋のこと。

用意してきた、使い慣れたソムリエナイフで、抜栓し
これまた、持ち込んだグラスに注ぐ。
部屋の中に、香りが広がっていく。

持ち込みの罪悪感を感じながら、飲んだその味わい。
ラギューヌの柔らかな味わい、ポンテ・カネの渋味のしっかりとした味わい
今でも、はっきりと覚えています。
当時よく飲んでいた、イタリアワインとの、何か言い表せない、
はっきりとした「違い」を感じながら。

「安心感」
これが、自分のワインを飲み始めたときに感じた
ボルドーワインに対するイメージです。

初めて飲んだボルドーワインは、残念ながら覚えていないです。
恐らく試飲会か何かでしょうが。

【他の産地・他の国】

様々なワイン その後、様々なワインを飲んでいくのですが、 ある一定のランクを超えれば、ボルドーはハズレがないなと イメージが出来上がっていました。なにしろ、ボルドーは 多様な種類のワインを産する、フランスいや世界の一大ワイン産地です。

特に、シャトーが、造り出す赤ワインは エレガントさと力強さのバランスに加え、 複雑な香りと風味をもち、 最初の頑(かたく)なな姿から、熟成の時間を経ると これが飲み物かと思うような芳香と質感の液体に変わる。 この熟成ワインこそ、ボルドーワインの魅力、 人が造ることを超える天からの賜りもののように思える。

これを知ってしまうと・・・。 あぁ、他のワインは適わないなと思ってしまいました。
イタリアン・レストランのサービスをしてた時から、フレンチレストランへ移ったとき、 特に実感しました。

もちろん、フランスの他の産地、又他国でも、
ワインそのものの風味や熟成した時の素晴らしさに出会えます。

赤ワインに限って、他の産地を見てみると。

いつも、ライバル視される、ブルゴーニュ。
こちらも、素晴らしいワインを造ります。
しかし、その生産量が少ないためか、高価。
単一品種であることや特性からも、非常に気難しく、デリケートな面も。

馴染みのある、イタリア。
各州でカベルネやメルロー種を使ったボルドータイプのワインがあります。
でも、どこか、果実の甘味を強く感じてしまう。
ボルドーのような感じではないんです。

ヨーロッパ以外のワイン新興国。
ブドウ品種を意識したワイン造りが盛んな、アメリカやチリ、アルゼンチン。
ボルドーと同じタイプを目指したようなワインが数多くあります。
しかし、ボリューム感がありすぎます。
酸味も少ないため、飲み疲れする時も。

それに対して、ボルドーの引き締まったボディ。
適度なバランスのコク。

ボルドータイプの各国のワイン、有名ワインもありますが、
熟成については、圧倒的にボルドーだと、今までの経験上、勝手に信じています。
そもそも、あまり、新興国の熟成ワインに出会う機会が少ないですね。

【女王と王様】

威厳(いげん)と優雅さをもつワイン。
熟成の芳醇(ほうじゅん)な香りと味わいの「優雅」さと その、優しい味わいのなかにも、ピンと張り詰めた酸味と、余韻を造り出すタンニンの威厳。 ボルドーが「ワインの女王」 という言葉に納得できます。

ちょっと、余談です。
実は、社長の道上は、この点、異議を唱えております。

「ボルドーがしっかりとした威厳のある味わい、ブルゴーニュの方が優しい味わいじゃないか。 であれば、ボルドーが王様、ブルゴーニュが女王だ! 特に、ブルゴーニュの品質が安定しない「気まぐれ」なところは、より女性的なんだから・・。」

このあたりについては、ご当地でも、議論がつきないようなので、結論は控えます。

一説には、ブルゴーニュの味わいは、さっぱりとしていて、しつこくない。
ボルドーの味わいは、単細胞的な男心ではわからない深さとしつこさ(余韻?)が あるということらしいのですが。

どうやら、その謂れには、歴史の話しが関わっているようにも。

ブルゴーニュ公国として、王とのつながりを持っていた、ブルゴーニュワインは 「王様のワイン」がやがて、「ワインの王様」へと変わったのではないか。威厳と優雅さをもつワインその後、一躍発展したボルドーが、宮廷文化に取り込まれるようになって ブルゴーニュの「ワインの王様」に対して、「ワインの女王」がボルドーに付けられたのでは・・・

なんにしても、ボルドーの安定した味わいに、安心を感じてました。 レストランでも、ボルドーワインを頼むことが多かったように思います。

【ボルドーワインの未来】

ただし、マイナスのイメージも、実はありました。
「安いボルドーワインは、美味しくない」。
1997年以降の赤ワインブームで、大量に日本に入ってきたとき、 試飲会などで、出会ったボルドーワインのいくつかは、 カベルネソーヴィニヨンが主体で、若いヴィンテージのため 渋味や、果実味、コクのバランスがとれていないものが目立ちました。

現在では、その反省からなのか、メルロー主体のボルドーワインが 非常に多くなった気がします。 メルロー種の柔らかなコクのあるボルドーワインは、 市場に出回った時から、美味しく飲め、カベルネ主体のものより早めに熟成して、旨味を楽しませてくれます。

有名シャトーのセカンド・ラベル さらにはサードラベルといった格落ちながら、今飲むのに適した味わいのワインが数多く造られてきてもいます。 (出始めた当初は、安かったのですが、今ではブランドとして、結構高額になってしまってますが)

ボルドーそれだけ、市場を意識した造りが出来るのも、 ボルドーの強みなのかも知れません。2011年、ボルドー委員会は、そのボルドーの評価を高めるためよりボルドーのワイン造りに対する規制強化を目指すと発表しました。

味わいのタイプの同一化や、価格の高騰なども懸念されてはいます。 しかし、ボルドーは、ワイン界のリーダーであり続けようとしています。


道上の追言
60年前~30年前、ブルゴーニュがワインの王様、ボルドーがワインの女王とは聞いた事が有りません。 ヨーロッパではワインと言うとボルドーです。それは赤ワインの場合ボジョレを除くと生産量が30倍です。 しかも身体に良いとの通説があります。ブルゴーニュが美味しいとは聞きません。 香りは良く表現されます。

おそらく日本では和食あるいは食事なしで飲む場合ブルゴーニュの方が 飲みやすい事では無いでしょうか? この30年飲酒運転が出来なくなり、お酒を飲む量がフランスでも減りました。 そして何もつままないでワインを飲む人が増えました。これは世界的な傾向です。 ボルドーのしっかりした、長期熟成したワインを飲めば、つまみ無しでも飲めます。 日本では長期熟成したワインを飲む機会が少ないのが残念です。

ちなみに良いワインとは長期熟成できるワインの事を言います。 この事を御存じない方が多いのは残念です。

我々も最も熟成されたワインという誇りをもって活動させていただいております。


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ソムリエの追言「フランスワインたらしめるコンセプト テロワールについて」


ソムリエの追言
「フランスワインたらしめるコンセプト テロワールについて」 

【特殊な貴腐(きふ)ワイン】

茂った樹木の間から、朝日が差し込む。
肌寒さを感じさせるシンとした空気の中に、聞こえる静かなせせらぎ。
シロンの小川が奏でる軽やかなさざなみの上に、この季節独特の朝もやが立ち上り始めた。

10月~11月にかけて、ここソーテルヌは、ゆっくりと辺り一帯がもやに包まれる。
ひんやりとした、湿度と冷気を頬に感じる。
畑のブドウが朝日に照らされ、輝いている、まるで黄金のブドウのように。
いつの間にか、ブドウの実に水滴がついているからだ。

この湿度が、ブドウに「貴腐菌(きふきん)」となるカビを付け、
濃縮するため果皮に穴を空けていく。

ゆるやかな時が流れて、 陽が高く上る、秋の午後の暖かさを感じる頃には、
ブドウ畑ではもやが晴れ、あちらこちらのブドウ実から 果汁の水分が目に見えぬ水蒸気となって昇っていく・・・

「テロワール」の恩恵を受け、ここソーテルヌ地区のカビが生えたブドウは 貴腐ブドウへ、そして貴腐ワインへと転生(てんしょう)していく。
朝日の差し込む畑

【偶然の自然的要因】

「テロワール」
カッコイイ響きです。

ワイン通の間では、ごく当然の言葉で使われますが、
一言で表せない、言葉でもあります。

辞書で引くと、 【耕地、農産地、産地】 と出ています。

しかし、ワイン通の言う「テロワール」は、
その土地の様々な要因で作られた土地の個性 と解されています。

その要因は

【気候】  
気温
日照量
緯度(いど
降雨量



【土壌】
含有成分(がんゆうせいぶん
地層の構成
水捌(みずは)け
PH(酸度・アルカリ度)
肥沃(ひよく
きめ

【地勢】
傾斜
標高
畑の向き・方角

と、様々です。

ワインの元は、ブドウ。
ブドウは農産物で、植物。
植物が、よりよく育つための、要因です。
大地からの水と養分、 空からの日光をうけて
病虫害を避けるべく、風をうけて育っていくのです。

日本の中でも、北海道と沖縄が異なるように、
場所が違えば、気候が異なります。

そして、同じ地域でも、川の存在や、 斜面の微妙な傾斜の違いや向きの違いによって変わる 日当たりや風の量でも異なるという 「ミクロ・クリマ(微気候)」が、存在するとか。

その代表例が最初に挙げたソーテルヌ。
この地区だけ、特別な偶然の「ミクロ・クリマ」「テロワール」によって
特別な「貴腐ワイン」ができるのです。

また、同じ畑の中でも、 「ミクロ・クリマ」が、存在すると考えられています。

このためか、 まことしやかに言われているのは、 同じ地区でも、隣の畑とこの畑では、自然的な要因が違うので、 出来るブドウ・ワインが違うといわれます。

【偉大なる人の「力」】

確かに、そうかも知れません。

でも、実際、先日のサン・テミリオンのクロ・サン・ヴァンサン一帯で 見たとおり、
畑が違えば、所有者の手入れの仕方も違います。

ですから、出来るブドウ、ひいてはワインも異なります。

自然的な要因だけではなく、
実際に携わる、人の要因も大きいのです。

また、土壌も、ボルドー・グラーヴの畑のピレネー山脈からの小石を活かした畑や、
小石を活かした畑
【グラーヴ地区の畑】


南フランス・ローヌ渓谷のアルプスからの丸い大きな石がある畑など、
南ローヌの畑
【南ローヌ の 畑】

普通の土だけの畑とことなり、
蓄熱(ちくねつ)を活かす「テロワール」として有名です。

しかし、これを活かす判断をしたのは、結局、人なわけです。

人の力があって初めて真の「テロワール」が、ワインに現われるわけです。

最近の日本のワイン生産者の目覚しい成長。
ここ、日本にだって、多湿の「テロワール」があるわけです。
その「テロワール」を徐々に、人の知恵や技術で克服していって
よりワイン造りに活かすようにしているわけです。
高棚式栽培
【日本の湿度を避ける、高棚式栽培】

【遥かなる「テロワール」】

フランスの長い歴史の中で、見つけ育てられた「テロワール」
フランス・ワインを象徴するコンセプト。

これから、世界各地でその新しい「テロワール」が生み出されてくるはずです。

一時、フランスの、「カベルネ」「シャルドネ」が、世界中に行渡りました。
その後、やはり、その地にはその地にあったブドウがあるはずという回帰的な
土着【品種】主義に戻ってきたところもあります。

フランス以外の産地が、その地の「テロワール」にあったブドウを見つけ、育んでいけば、 新しい「テロワール」と新しいワインの世界が開けてくるように思えます。
ただし、100年後、いや、1,000年後になるかもしれませんが。

それだけ、ワイン造りにおける成果が、根付くには、時間というものがかかるんです。



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ソムリエ「自然が生み出す偶然の偉大なる恵み 貴腐ワインについて」



ソムリエの追言
「自然が生み出す偶然の偉大なる恵み 貴腐ワインについて」

貴腐(きふ)ワインと呼ばれるワイン
単なる甘口のワインとはワケが違います
実際にテイスティングで味わいを探っていきます。

ボルドー カディヤック 地区 シャトー・ペイブラン 1998 です。



そうそう、貴腐ワインだからといって、特別なグラスを用意する必要ないです。
飲む時は、なるべく小さいものがいいですけど、
普通の白ワイン用グラスでいいと思います。

どうですか、この色、まさに黄金色。
濃い黄色が、貴腐ワインの共通の特徴ですね。

樽の影響、熟成(じゅくせい)による色の変化もありますが、
まさにブドウのエキスが凝縮(ぎょうしゅく)した色です。
この色だけで、美味しそうにみえる色合いですよね。

ワイン好きなら、もう、これだけで、期待しちゃいます。

香りは強いです。 ソムリエ的表現ですと 「花の蜜(みつ)」なんて感じでしょうか。
あとから、甘さを感じさせる香りが浮かんで来ます。

はちみつ、
カリンのキャンディー
メープルシロップ

グラスを回してみます。
また、違った香りがでてきます。
ケミカルの香り。化学的な、あまり、いい表現ではありませんが、セメダインのような。
すこし、スーとするかおりです。
あ、ちょっとだけ ハーブやスパイス  アニスシードみないな香りが感じられます。
甘いけど少しアクセントが効いてるかな というイメージです。

では、飲んでみますね。

ふくよかで とろりとした口当たり。
中心は、甘ーい果実味。でも、砂糖や甘味料の甘さではない奥深さがある甘さです。

その奥深さをささえているのが、心地よい苦味です。
ミネラル、樽(たる)からくる苦味が甘味を支えて、バランスよく整えています。

甘味が中心なんですが、甘ったるくないんです。
しっかりと酸味があるから、切れ味がある。自然な切れ味です。

とろりとした味わいがコクにつながり、ボディをつくってます。

もう一回、飲みますね。
1.2.3....8.9 余韻(よいん)は、9秒と長いです。
しかも 熱い感じが残りますね。
品質の良いワインであること、まだまだ熟成していくことを示しています。
力強さを感じさせます。長い熟成できるのが、貴腐ワインの証でもあります。

とろりとした感触に心地よい甘さと苦味、酸味のバランスのよさ、そして長く強い余韻、

特にバランスのよさと、長い余韻。
やはりフランスボルドーの貴腐ワインって他の甘口ワインとは違います。


さて、味わいの特徴に合わせて、料理を考えてみますと・・・

甘さとコク ここに焦点をあわせると、定番のフォアグラのテリーヌ、豚肉のリエット など
濃厚な味わいのものが合います。少し塩気があるとさらに合うと思います。
塩といえば、塩味のあるチーズ、青カビのチーズ、ロックフォールもマリアージュの定番です。
塩味と甘さ、コクがこれまたよく合います

もう少し料理的なものは、甘さと苦味にポイントをあてて、考えると、
北京ダックや、スペアリブなどがいいですね。それぞれの焼き目、こげの部分に
苦味がマッチして風味を広げるはずです。
北京ダックの味噌だれ甜麺醤(てんめんじゃん)の代わりとしてや、
スペアリブはハチミツを使って焼き上げたものなど抜群の相性ですね。



ハチミツを使ったソースにも合いますが、
甘味のあるたれを使った焼き鳥なんてのもいいですね。
そうそう、肝心(かんじん)のデザートワインとしては、
やはり甘味と苦味とコクを意識することがポイントですね。

焼き上げたリンゴのタルト、ミルフィーユには、それぞれ焼きの香ばしさに、
栗やサツマイモのピューレを使ったデザートには実の甘さとコクにピッタリと来ると思います。

もちろん、そのほか、食後や寝る前に貴腐ワインだけで、楽しむのもお薦めです。

普通のワインと違い糖度が高いので、飲み残しても、しっかり栓をして冷蔵庫などでしまっておけば、10日から2週間程度は 味もそれほど変わらず飲めます。

そんな特徴を行かして、ぜひ貴腐ワインを気軽に楽しんで頂きたいと思います。




この独特な貴腐ワイン、単なる甘口のワインとは造り方も違うんです。
気候条件と、人間の労力によって出来たまさに結晶のようなワインなんです。
この季節 ボルドー ソーテルヌ地区一帯に広がる、朝もやによる湿度によって、ブドウの実には、カビの一種がつきます。 名前をボトリティス・シネレア ここでは、単に貴腐菌(きふきん)と呼びます。

湿度がないと、貴腐菌がつかないんですね。
これが、また黒ブドウだと単なるカビとなって、ダメになってしまいます。
ワインにならなくなります。
一部の白ブドウだけが、上手く作用するわけです。
ここから貴腐「高貴(こうき)なる腐敗(ふはい)」という言葉になったのでしょう。

貴腐の恵をうける人間とは別で、ブドウにとっては、
菌がつくということは、ある意味恐怖の始まりです。

何故かというと。まずは、付着した菌から魔の菌糸(きんし)が伸びていきます。
ミクロの世界では鱗(うろこ)状になっている果皮の隙間(すきま)から、入り込み、皮のなかで発達していきます。 黄色い粒の表面に赤紫色の斑点があらわれます。

しばらくすると、これまた不思議、粒全体が紫色になって、黒ブドウみたくなります。
そのうち、どんどん菌が発達して、菌糸が入り込んだ穴から、水分が蒸発していきます。
やがてブドウの水分がほとんどなくなり、最後は皮がしわしわになってつぶれたようになっていきます。 ブドウの実としては大迷惑です。



でも、結果、ブドウの実の糖分などの成分が濃縮されることになります。
この濃縮したブドウのエキスを使ってできるワインが、貴腐ワインなのです。

ただ、気まぐれな菌のこと。ブドウの畑、樹、房、一斉にはつきません。
一房のブドウの実でも、菌がついて貴腐化が進んだものと、まだ菌がついてないものとがあるわけです。 できるだけ、収穫を遅らせ、全体が貴腐化するのを待ち、一房ごとに選んで収穫をしていきます。

高級シャトーものは、房ではなく粒ごと!に収穫していきます。その結果、できあがるワインは、熟成とともに 偉大さをますのですが、コストも増大、したがって価格も偉大、いやものすごい価格になります。

この貴腐ワインでは、何日も、何度も収穫することになり、その期間が2ヶ月に及ぶこともあるのです。 通常のワイン用のブドウの収穫は、短時間で収穫を終わらせることとは対照的です。

また、しなびたブドウからつくるため、1本のブドウ樹木でつくるワインの量は、他の産地に比べて極端(きょくたん)に少ないです。 普通はブドウの樹木 1本から ワイン1本。 メドックの高級シャトーのものは、樹木1本から、ワイン1本の半分。

でも、貴腐ワインの場合はそれよりも少なくなります。グラス1、2杯でしょうか。 貴腐ワインのトップクラスになると、1本の木から グラス半分の量しかワインがつくれないというのです。

期間も長く、手間がかかる、量も少ない。さらに、気まぐれな自然によって、毎年、安定した量を造ることができない。 このへんが、貴腐ワインの高額になってしまう理由です。

高額ゆえに、みんなが飲まなくなると、有名シャトーだけが残って、一般的な貴腐ワインのシャトーがなくなってしまうのではないかと心配です。
かつては王侯貴族(おうこうきぞく)が夢中になっていた甘口の貴腐ワイン。
今では、ワイン愛好者にとってなんとか手が届くまでになっています。

しかし、日本でもなかなか、デザートワイン、貴腐ワインを日常で楽しむ習慣はまだまだです。

貴腐ワインを、もっと手軽に飲みやすくするかは、意外と私達飲む側にもかかっているような気がします。 皆さんは、どう、思いますか。


道上の追言:
僕は貴腐ワインにデザートと言うのは勿体なく感じます。 甘いデザートは辛口の白ワイン又はシャンパーニュの方が僕は好きです。
ただ、豚のリエット、フォアグラ等の脂っこいものを食べる時は貴腐ワインでないと負けてしまいます。合わさるとさらなる旨味が感じられます。



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