ソムリエの追言「人にシャトーに歴史あり、名前に意味ありあり」
ソムリエの追言
「人にシャトーに歴史あり、名前に意味ありあり」
※外国の方の読者も多くいらっしゃるので、漢字にふりがなをつけてお送りしております。
ある日のMICHIGAMI展示販売での出来事。
「おっ、シャルルマーニュだ!」
POPに書かれた文字をみたのでしょう。
え、知っているの、このレアなスパークリングワインを?
「あれ、これ、普通の白ワインでなかったけ?」
そう、その方は、仏ブルゴーニュの
「コルトン・シャルルマーニュ」のつもりだったようです。
ワインの名前って、結構複雑(ふくざつ)。
シャトーがあったり、産地名だったり、畑があったり、歴史上の人物の名前だったり・・・
フランスワインの名前って難しい。
その仕組みを話すと、大変なことになりますから・・・
今回は、
シャトーの名前についてちょっとした、お話を。
フランス を代表するワイン産地ボルドーの象徴(しょうちょう)
シャトーの名前って、実はいろいろあるんです。
【昔の名前で出ています・・・】
1855年の格付けで有名なメドックのシャトー。日本人にとっては、なじみにくい名前も。
というより発音しづらいし、その前に原語では読めない・・・
そんな名前にも由来はあり、 個性的な由来もいくつかあります。
シャトーの前身が、中世の「要塞(ようさい)」」であることをそのまま残したものや 海軍の表敬(ひょうけい)の掛け声からきたものなど。 しかし、メドックの格付けシャトーのほとんどは、やはりというか、人や名家の名前です。 創設者(そうせつしゃ)の名前や、後に変わった所有者の名前を くっつけたりなど。もうパズル状態。
日本の今の大手銀行・保険会社・製薬会社の感じです。
シャトーを持てるというステータスを前面に押し出している感じでしょうか。
【単なる名前だけでは・・・】
ただし、いくつかのシャトーは、奥ゆかしくも? 産地に敬意を払っている事実が!共通するのは、土地
ピンクの花に染まる山の色合いを表した モンローズ Montrose

小石を表す ボーカイユ Beaucaillouなど。
また 名前に「丘」が付いているシャトーの多いこと。
「丘」といっても、その表記は時に 小高い丘を意味する ラフィット Lafite

小石の多い丘(坂)を意味する コス Cos
その土地の丘の名前 ピュイ Puy

などなど、 山にしろ、小石にしろ、丘にしろ。
こ、これは、水はけの良さをアピール、
ひいては、ブドウの出来が良いことをアピールしてるんではないだろうか。
結局は 自分のところのワインは良いぞ!
と言っているのかも知れません。
名前で差をつけるなんてのは、熾烈(しれつ)な競争社会では当然です。
【後ろ盾は・・・】
名前に特徴があると言えば、ポムロール。シャトーの名前はキリスト教にちなむ名前が多いんです。
聖堂のレグリーズや十字架のクロワなどが含まれています。
そうこれは、この地がかつて巡礼地だったことの影響が強く出ている 証です。
実際ラベルにも 十字が描かれているのを良く見かけます。
メドックのシャトーと違い、小さなシャトーが多いので、
実際にそのころから キリスト教と関係があったかは判りませんが。
【昔々、その昔・・・】
となりのサンテミリオンはさらに興味深い名前の由来に出くわします。この地の2大シャトーは、双方偶然にも逸話から名前が 付いています。
アンリ4世の白い馬の伝説や ローマ帝政末期の詩人アウソニウスからとったものなど たいそうな、いやロマンチックな名前が目につきます。 そこまではいかないまでも、日本語にすると「威勢(いせい)のいいおばあちゃん」というシャトーもあります。
こんな名前やその由来のほうが、
私たちにとってはシャトーをより親しみやすくするのかもしれません。
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何にしても、名前には意味や歴史があるものです。
それをすこしづつ何かの機会で知ることができると、
またフランスワインの楽しみが 増えると思います。
え、当店の主力ワインのシャトー・ラ・ジョンカードについてですか?
それは、また別の機会に!
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