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ソムリエの追言「ワインと空気の関係 デカンタージュって? スワリングって?」




ソムリエの追言
「ワインと空気の関係 デカンタージュって? スワリングって?」

デカンタージュ



デカンタージュ ボトルから流れ落ちるワインが紅い絹糸のように、1mも下のデカンタに吸い込まれていく。 誰が付けたか、 その名も「スーパー・デカンタージュ」?

某マンガとドラマで有名になった、デカンタージュのシーンですが。 確かに、デカンタージュとしての効能、演出効果は満点!
でも、実際のところプロのソムリエは、そこまでやりません。

ところで、デカンタージュ Decantage とは?
「〜から、下へ」という意味のラテン語のde 「カップの縁」を意味するcanthusに由来するものです。 日本語で言うと、なんといったらいいでしょうか。 「ワインの移し変え」「上澄(うわず)みを移し注ぐ」なんてかんじでしょうか。

2つの効果
何故、デカンタージュなんてするのでしょうか。

最初は、澱(おり)を取り除くためでした。 20年、30年以上の瓶熟した古いワインには、ボトル底に澱 【ワインの色素や酒質成分が合わさって沈殿(ちんでん)したもの】がたまってます。
そのオリは、苦く雑味がすごいので、飲まないようにするため、 澄んだワイン部分とオリとをわけるためにデカンタージュが行なわれます。

実は、デカンタージュしたほうがいいワインかどうかは、それぞれ。
一般的には、ボルドーは行なって、ブルゴーニュは行なわないといわれています。
ブルゴーニュワインの澱は、細かくて軽く、ワイン中で舞いやすいのと、
あまり気にならないものだからといわれているためです。

ボルドー・ブルゴーニュに関わらず、特に40年以上の古酒の場合は、 コンクールなどに出場するトップソムリエでも、迷うほど。 何故、迷うかはデカンタージュのもう一つの効能のためです。

ワインが「開く」
ソムリエ もうひとつの効能は、 ワインが非常に若い場合に、 空気に触れさせて、香りを発()たせ、味わいを柔らかくする効果があるといわれています。

長期熟成できるワインが、市場に出て間もない段階で飲まれる場面も多くなっています。 そのワインの味わいは、時に、強すぎるものが多いです。 タンニンが暴れているなんて表現することもあります。
その味わいを柔らかくするために、デカンタージュを行ないます。

一方で、ボトル内での熟成は、 酸素が少ない「還元(かんげん)」と呼ばれる状態での熟成。 ワインが息苦しい状態でいるので、 人工呼吸をしてあげるイメージでしょうか。 こうして、 香りが空気に触れて広がるのと、 味わいもタンニンが酸素によって、まろやかになります。

これらのことを、ワイン業界用語的にいえば「開く」といいます。
化学的には 香りの「開く」は ワインのニオイ成分であるエステルやアルデヒト、アルコール、 脂肪酸(しぼうさん)などの揮発性(きはつせい)物質が空気により多く触れることで、 気化するため、一緒に香りがあがってくるというわけです。

味わいの「開く」は 「重合(じゅうごう)」と呼ばれる一種の化学反応のようなものです。
香りと同じように、この部分もまろやかになる、タンニンがこなれる状態をさします。

そう、古酒をデカンタージュした場合、急激な酸化によって、 味の強さが落ちて「へタレて」しまう場合があるのです。 そのワインの「力」の強さは、ワインによってまちまちです。
だから、判断が難しいのです。

生産者独特のデカンタージュ
「開かせる」点だけを、重視するなら、 「ダブル・デカンタージュ」というものが、ボルドーのシャトーをはじめ、 生産者の間で流行っているそうです。 デカンタージュしたものを、また、元のボトルに戻すものです。 要は、2回デカンタージュするというものです。

「開いた」あとにまた、味を「締める」要素もあるらしく、 テイスティング会などで行なわれているようです。 レストランでは、時間の関係もあることから、 今後も行われないと思われるので、我々が、なかなか目にする機会はないでしょう。 一度試してみたいと思っています。

ところで、 気になるデカンタージュのやり方をここで説明はしません。
わざわざ、デカンタの容器も用意しなければなりませんし、
気軽に飲むがモットーの MICHIGAMI流に合わない気がしますので。

その、デカンタージュの効果 に近いものがあります。

スワリング
赤ワイングラス それが、「スワリング」です。 テイスティング動画でも、香りを採るときにやっているアレです。 グラスの脚(ステム)を持ち、ぐるぐるとワインを渦を巻かせるように、グラスを軽く回します。

中のワインが、空気と触れることによって、香りを、そして味わいが開いてくるようになります。 テイスティングで、香りを嗅()ぐ際にに行なう必須(?)動作。 あまりぐるぐる回しすぎも、おかしいですが、 どうしても、覚えたては、回したくなるもの。クセになってしまうんですよね。

それと、いつのまにか、このスワリング、マナーみたいなものが出来ているそうで。 右手でグラスを回す場合には、反時計回りに回すらしいです。 万一、ワインが勢いよく飛び出しても 自分側に飛ぶようにして、他人に迷惑をかけないためだとか。 そんな勢いよく回さなくてもいいのではないかと思います。

そうそう、肝心のデカンタージュの代わりの方法ですが、スワリングに、一つ手を加えます。
このスワリングのあと、グラスから、別のグラスに移し替えるのです。
簡易式デカンタージュの出来上がりです。
これで、十分にグラスの中で、香りと味わいが変わってきます! お試し下さい!


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ソムリエの追言「ボディって?コクって? ワインの表現」


ソムリエの追言
「ボディって?コクって? ワインの表現」

緊急事態発生か?
ワインあれこれ ブルゴーニュ地方 【モレ・サン・ドニ】
コート・ド・ニュイの中でも、エレガントなワインを生み出す産地。 ある造り手のワインの説明をみると、「フル・ボディ」とある。

しかし、別の販売店の、同じワインの説明を見ると、 「ミディアム・フル・ボディ」との表記が!

これって、どういうことなんでしょうか?

実は、造り手からの情報で、この「ボディ」表記があるのではなく、飲んだ人が判断しているのです。 人それぞれ「ボディ」の感じ方が違うから、ズレがあるのです。

では、「ボディ」の感じ方って、どんなものなんでしょうか。 それに、渋味の少ないピノ・ノワールからできるブルゴーニュが 「フル・ボディ」と思う人もいるのではないでしょうか。

ボディとは?
しかし、ワインの味わいを表す言葉は難しい。

普段何気なく使っている「ボディ」。 正面きって聞かれると、具体的に説明しにくい言葉。 実は、明確な定義があるのか、どうかわかりません。 「ライト・ボディ」「ミディアム・ボディ」「フル・ボディ」 ワインの説明で耳にしたり、目にしたりしたことがあると思います。

「フル・ボディ」というと、渋味がある、重いといった意味にも捉えられています。

超大手のワイン販売会社などでは、「ボディ」=「コク」と簡単に説明してます。
また、アルコール度数で判断する所もあります。

〜11.9%   ライト・ボディ
12.0〜12.9% ミディアム
13.0%〜    フル・ボディ

でも、そんな単純ではない説もあります。

ライト・ボディ?ミディアム?
当店のヴィュ・シャトー・ラモットの白
単純に判断するなら、ライト・ボディなんです。

でも、味わいの後半に、主張ともワインの味わい骨格ともいうべき 「コク」をしっかり感じるのです。 ですので、中間の表現にしました。 「ミディアム・ボディ」とまではいかないので、 私も、微妙に、「ライト・ミディアム・ボディ」なんて、表現してます。

さて、 【ボディ】は、味わい全体を表現するときに、つかいます。 ワインの味わいの形を、段階的にイメージしたといいますか。

最初の口当たり
中間の広がり
余韻の長さ

までの、 味の広がりかたを立体的に表現したものが「ボディ」ともいわれています。
標準的な、ワインのボディのイメージはこんな形でしょうか。



水滴(すいてき)を逆さまにした感じです。

上から 最初の口当たり
中間への広がりがあって、
余韻が徐々に小さくなっていく。

一方、 口当たりがふくよかで、余韻が短ければこんな感じになります。

ボディの密度が「コク」
また、口の中に含んだワインは そのアルコールにもよると思うのですが、 否が応でも、質感を感じるはずです。 すっと口の中で消える「薄っぺらい」なのか、 詰まったような「厚み」なのか、ふわっとした「ふくらみ」なのか、立体的なイメージがおぼろげに見えてきます。

この、「水滴型」が厚みがあっても、中身がそれこそ水のようであれば 「コク」はなく、 逆に、果実味や渋味が詰まったエキス分であれば、「コク」があるわけです。

私は、コクとは、質感の濃度と捉えています。 成分的には、アルコールとワインのエキス分のことでしょう。 「ボディ」=「コク」でもありますが、ボディの一部分が、「コク」と捉えています。

つまりは、渋味自体は少ないけど、果実味の濃度が濃ければ、フルボディとも言えるのです。 「ピノ・ノワール」のフル・ボディもあるわけですし、 後半部分に、「コク」を感じるというのもあるわけです。

上記の「水滴型」の図、 同じワインでもその感じ方は様々なのです。 似ている形にはなるかもしれませんが、 大きさまで一致することなないはずです。

だから、冒頭の【モレ・サン・ドニ】のように 「ボディ」の表現がズレるのです。

本当に、ワインは表現するのが、難しい!
だから、はまるとのめりこむのでしょうね。


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ソムリエの追言「開けたワインが酸っぱい!これってアリ?」




ソムリエの追言
「開けたワインが酸っぱい!これってアリ?」

緊急事態発生か?
ワイン試飲 「これも・・・酸味が強い」

我々スタッフの表情に不安が募(つの)る。 いつもは、味の異変があるボトルは2本と続かない。 返品のきっかけとなった1本と合わせて3本目。 6本中、3本が酸味のバランスが悪い。
バランスどころか、顔をしかめてしまうほど 刺すように鋭い。

明らかに、ワインに異変が起こっている。 この箱のワインだけならいいのだが・・・。

誰もがそう思った瞬間。
社長の道上が決断した。

「大至急、倉庫のワインを確認して来い!」

翌朝、ワインを保管してある配送倉庫へ向かいます。 そこで、倉庫担当者I氏と共に、ワインのチェックを行っていきます。 無作為に箱の中のワインを選び、その場で、テイスティング。 「これは、大丈夫・・」 1本、また1本と開けては、テイスティングを繰り返す。

そして、出た結論は。
「在庫のワインについては異常なしです!!」

酸味について
あってはならないのですが、 ワインには、時に不良品が存在します。
「ブショネ」の次に多いとされている欠陥が 「酸味の異常」です。

ワインの成分中の主な酸は、
リンゴ酸
酒石(しゅせき)酸
乳酸

があります。

リンゴ酸はその名の通り、爽やかな酸味で 青リンゴの果汁を思わせます。
酒石酸は、苦味を伴うもので、ミネラルとともに 結晶化することがあります。
乳酸は、ヨーグルトのような柔らかな酸味です。

この部分の酸味を、ワインを飲むときに感じますが、 全体のバランスが取れるようになっています。 涼しい地方のワインは、どうしても酸味が強くなります。 また、ブドウが熟しきっていない場合も、酸味が強くなります。 ただし、その分、香りに「ハーブ」や「ピーマン」などの 【青さ】を感じるものが採れるはずです。

コンディションの悪いワイン
濁りのあるワイン 冒頭の話しの中にもあがっていますが、 酸味が突出して、舌を刺すような刺激の場合は 要注意です。 主な欠陥として 「酸化」と「酸敗」があります。

その酸味が欠陥としてのものかどうか、 初めてのワインで判断が微妙なときは、 色や香りとともに判断していきます。

「酸化」の場合は 外観に茶色のニュアンスが強くなり、 白は濃く、赤は薄くなります。 香りも本来のフレッシュでフルーティな香りが薄れていて やがて、かび臭さも。味わいは、気が抜けたような味わいで、その中で酸味が目立つ。 原因は、コルクの不良や輸送過程の取り扱いなどがあげられています。

「酸敗」の場合は、 ワインに濁(にご)りが発生します。 香りはマニキュアの除光液のような、ツンとする刺激臭があります。 原因は、酢酸菌の微生物(びせいぶつ)汚染と考えられています。

以上のような場合と考えられる時は、 購入店にすぐに相談した方がいいでしょう。
何らかの対応を取ってくれるはずです。

大事な酸味
ワインボトル こうしてみると酸味は、ワインにとって邪魔な存在?

いえいえ、 ワインの張りを支えているのは、この「酸味」。 そして、急激な酸化や、バクテリアの汚染からも守っている役目を 持っているのです。 そして、この酸があるからこそ、長期熟成のワインが楽しめるといったことも 忘れてはなりません。

とはいえ、「酸味の異常」の見極めも、 ワインを数多く飲むことによってしか判断できない欠陥といえますね。

私事ですが、初めて飲んだ白ワインの「酸っぱさ」といったら、 「これが、人間が飲むものなのか?」と思ったほどです。 その後、しばらく白ワインを、飲む気になりませんでした。

もしかしたら、そのワインも・・・。


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ソムリエの追言「5億本の【ブショネ】と共に・・・」




ソムリエの追言
「5億本の【ブショネ】と共に・・・」

ブショネとは? コルクイメージカビのような刺激を伴う香りのワインに
出くわしたことはありませんか?

これが、「コルク臭」
「Bouchonne ブショネ」と呼ばれるものです。
【Bouchon ブション 仏語で「栓」の意味から転じた言葉】

この「ブショネ」
厄介なのは、外観上、全くわかりません。
ワインの色などに変化はまるっきり起こりません。
開けてみて初めて感知できるものです。

ワインらしい香りの中に、どこか、木の香りが強く出すぎているような、
「生木」っぽいという、カビくさいような。

言葉で表現するのは、これまた難しい。

そして、また、難しいのは、完全な異臭ではないということ。
この香りを知らない人にとっては、
それ自体が、そのワインの香りと間違えて、飲んでしまうレベルもあるほど。

味わいとしては、飲めなくはないんです。
ただし、その木のような、かび臭い刺激のある香りが、
味わいにも移っていて、後味・余韻にその苦味が残ります。

出会うには?見極めるには? コルクを抜いて、香りを嗅いだ時点で、「ブショネ」と判断できることもあれば、
ワインを飲んだ時点で初めて判る「ブショネ」と、その状態も様々です。
ソムリエでも、判断に迷う時もあるのです。

この「ブショネ」を感知できるようになるには、
とにかく、数多くワインを開けて飲むか、 「ブショネ」のワインを教えてもらうほかないです。

幸運にも、私は、ワインを飲み始めてから、随分後に出会ったと記憶してます。
「あぁ、これが ブショネ だろうな」と 半信半疑でしたが。

そういう意味でもレストランなり、ワインショップなり、ワインを提供する場は、 もっと、「ブショネ」を知らしめる必要があると強く思います。 (当店では、ワイン会では、「ブショネ」が出たら、「おめでとう御座います!どうぞ、「ブショネ」を確認してください!なんてやってます。)

鶏肉に「ブショネ」、リンゴに「ブショネ」? ワイン日本語では、「ブショネ」を「コルク臭」と訳されていますが、
フランス語の意味からすると、「コルク的、コルクのような」。
つまり、コルクそれ自体の香りではないんです。

以前、「ブショネ」の原因を化学反応と説明してますが、突き詰めていくと、発生状況は様々なようで、しかも、しかも!コルクを使ってなくても、「ブショネ」が発生するとか!

TCA(トリクロロアニソール)という成分の発生が、「ブショネ」なのです。 さらに、このTCAは、色々な経由で発生するみたいです。

なんと、鶏肉に「ブショネ」、リンゴにまで「ブショネ」なんて報告もあります。
コルクを使ってないのに何で?

真犯人は、クロロフェノール。
木材の殺菌・殺虫に使われていた成分。(仏では使用禁止になってます) それが、カビによって、TCA(トリクロロアニソール)に変化! 鶏は、木片チップの上で飼育されていたし、リンゴは木箱に入っていた。

そう、コルクがなくても、木材があれば、「ブショネ」が発生する。 恐ろしや。

その他にも、TCA(トリクロロアニソール)を発生させる物質は塩素系殺菌漂白剤、水道水(塩素が入っている)、建材、木製パレット、樽、木箱、 ダンボール箱、輸送用コンテナ・パレット・・・。

塩素と木製素材に関連するものは、とにかく危険。 上に挙げたものなど、ワイナリーにいけば、醸造所内で見かけるものばかり。その上、コルクとワインは、TCA(トリクロロアニソール)を吸着しやすい!

だから、たとえ、コルクに気を使っていても、他からの原因で「ブショネ」になる場合もあるし、 プラスチックの樹脂コルクやスクリューキャップでも、ブショネになる場合もあるのです。 これまた、ビックリです。

コルク自体の漂白を塩素から、過酸化水素や高圧水蒸気に変えたり、 電子レンジやオゾンを使っての洗浄もおこなわれてきていて、 醸造所に置く木材などにも気をつけてなど、対策が行なわれています。 確かに、「ブショネ」は減ってきています。 ただ、完全な撲滅は、難しいようです。

そう考えると、実は、最近のワインより、 古いヴィンテージワインのほうが、「ブショネ」が多い。 熟成して、どんどん美味しくなっているはずなのに・・・・。 これまた、悲しいです。

ブショネと共に・・・ 世界に流通しているワインの数は150億本。
その3〜5%が、いまだ「ブショネ」だと推測されているわけです。

なんと、5億本以上が「ブショネ」!?

ワイン業界が努力をしても、すぐにはなくらならい 「ブショネ」。
それなのに、誰も教えてくれない 「ブショネ」。

ソムリエ協会の会報誌に連載を持つ、有名ワイン・ライター (高級ワインや有名ワインをものすごい機会で飲んでいるはずの人です)でさえ、「自分はブショネがわからない」と公言?してます。

初めて、出会ったら、ラッキーと思うか。 (これで、覚えられる!とか 5%の確率に当った!) いや、一度も出会ったことがないという人こそ、ラッキーなんですが。

「ブショネ」を、正しく知ること。
それが、「ブショネとワインと生きる道」です。



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ソムリエの追言「「大丈夫かな?」 ボトルの個体差 その2 保管によるもの」



ソムリエの追言
「大丈夫かな?」 ボトルの個体差 その2 保管によるもの
ラベルがワインで汚れている。 ボトルの先端部分やキャップシールがワインでべたつく。
そんなワインに出会ったことはないでしょうか。

これが、液漏(えきも)れ。俗に「ワインが噴()いている」なんて呼びます。
ワインを取り扱っているプロは、納品されたワインが、液漏れしていないか、
コルクが 飛び出したり、へっこんでたりしてないか、必ずチェックします。
キャップシールが、手で廻せるかどうかで、液漏れしてないかもチェックします。

余談ですが、フランス産ワインは、キャップシールが廻るのですが、イタリア産ワインは 液漏れしてなくても、廻らないことが多いです。そういえば、コルクも全体的に固くて抜きづらいですね。

なぜ、液漏れなんてことが起こるのでしょう。

ボルケーノ (火山:VOLCANO)
コルクの寿命(じゅみょう)もありますが、主な原因は急激な温度変化によるものです。
夏の暑さで、人間が熱中症にかかるように、 暑いということはやっぱりワイン自体にも影響があります。

特に厄介なのは、コルクが持ち上がるポップアップと呼ばれるものです。 温度が上がるとボトルの中の空気やワインの体積が膨張してコルクが押し上げられてしまうんです。

ほんの2〜3mmのコルクが持ち上がることによって、隙間ができワインがゆっくりと漏れていきます。 その動きを観察したことはないですけど、考えてみると、まさに、火山の噴火のようです。 コルクのポップアップが山頂の隆起、流れ出るワインが溶岩でしょうか。

火山

ダメージ
こうした状態が長く続くと、隙間から酸素が入り込み急激に酸化が進みます。 一方で、ボトルの中からは、酸化防止剤の二酸化硫黄が抜けていき、酸化に対する抵抗力がなくなります。

すると、余韻にバランスの悪い苦味が残ったり、突出した酸味が目立ちます。 こうしたダメージの味わいが残るリスクがあるので、噴いたワインは、基本的に避けられます。

特に白ワインや軽い赤ワインなどは、そのダメージをもろに受けることが多いようです。

ボディ・カード
ただ、噴いたワインだからといって、全てのワインが飲めないわけではありません。 あらためて実感したのが、前回もお話した、シャトー・ラ・ジョンカード 赤ラベル 1985年 でした。
33年経っていて、コルクの状態も悪く、液もれをしているワインでした。

コルク

でも・・・。美味しい。確かに2本を同時に比べて飲むと、それぞれの味わいは似てはいますが、違います。 それでも、1985年のグレート・ヴィンテージとして飲めるのです。
いや、グレート・ヴィンテージだからこそ飲めるのです。

さらに、言うのであれば、この状態だからこそ、今飲んで美味しい。
もし、完璧な状態なら、飲み頃を迎えるのはまだまだ先のこと。 良いヴィンテージとは、ブドウの出来が良いことを指しています。 それだけ、ブドウが成分的に優れていること。
グレート・ヴィンテージならば、ブドウは計り知れないパワーを持っているわけです。

そう、ボルドーなどのタンニンを多く含むカベルネ・ソーヴィニヨン種が使われているワインは、 もともと、酸化に強い性質をもっています。また、その能力は、時に100年を超える熟成に耐えることができるのです。 そういったワインは、ちょっとやそっとでは、大きな味の変化に至らないようです。 まさに、カベルネ・ソーヴィニョンなどの強めのタンニンや酸といった成分は、ワインを守るものなのです。

逆に、白ワインや、繊細なブルゴーニュなどは非常に影響をうけやすいです。 古酒と呼ばれる40〜50年の熟成したものは、さすがに、ワインの体力、抵抗力も弱くなってきますので、 ワインも熟成のスピードがあがったり、時にはダメージを受けることにもなります。

真実の瞬間
しかし、ワインは、開けてみるまで、飲んでみるまで判らない。
そんなことを1985年のワインで改めて実感させられました。 また、もう一ついえることは、たとえ噴いたワインであっても、その後の保管状態が大事であるということ。

今回のワインは、ご存知、シャトーからの直輸入したものを、当店の倉庫の保管していたものです。
シャトー

人も風邪をひいても、安静にしていれば治るように、 ワインもよりよい状態にすれば、ダメージを回復する可能性があるということです。 そういう意味では、休まる間もなく、仲介業者(ちゅうかいぎょうしゃ)などをはじめとする多くの人達の手から手へ 移り渡るワインは、移動も多く、保管場所の状態も一定しないため、回復は難しいかもしれません。

そればかりか、このような移動の多いワイン(高級ワインにありがちです)は、もともと、生産者の手元にあるものと熟成の進み方が違うので味わいもきっと異なると思います。
また、今回の例は、33年経ったワインです。それでも、しっかりとした味わいを保っていたということは、 若いワインについては、余り気にしなくてもいいのかも知れません。

とかく、保存や、温度など事細かに話をすればするほど、気軽な飲み物ワインが、難しくなってきます。 確かに、20年、それ以上の古酒と呼ばれるワインや、何万もするようなワインには、より美味しく飲むための こだわりがあっていいと思います。

ただ、全てのワインに対して、そのこだわりを当てはめるのはどうかと思います。
スーパーで売っている¥600もしない赤ワインに飲み頃の温度 16〜18度なんて書いてあります。 でも、この温度にするのって難しいですよね。ワインセラーがあるなら別ですが。
12月の東京なら、陽のあたらないベランダなどに2,3時間出しておけばちょうどいい温度になります。

そういった決まりごとを、実行すれば、より美味しくはなりますよ程度に考えてもらえばいいのではないでしょうか。 ですから、逆に「噴いたワイン」であっても、もう飲めないなんて 勝手な思い込みを することも、ワインの本当の力に目を向けていないのです。
ボトルを開けて、グラスに注いだ瞬間から、そのワインの真実の瞬間が始まると思います。

ワインを注ぐ


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ソムリエの追言「こんな味だったけ? ボトルの個体差について その1 」

無題ドキュメント



ソムリエの追言
「こんな味だったけ? ボトルの個体差について その1 」

「うん、何かこの間、飲んだ味と違う・・」
こんな経験ありませんか? 美味しかったワインを、
もう一度と思い、飲んでみると、こんな味だったけ?と、感じること。

先日、我々は、シャトー・ラ・ジョンカード 赤ラベルの1985年 同一ヴィンテージのワインを2本用意し、試飲しました。 なかなか、2本同じワインを飲み比べることって、少ないと思うんです。

その結果は。 色合いは同じ。でも 香りは、ナッツの香りなど成分は似ているけど、強さが違う。 そして味わいも、果実味のボリューム感、余韻(よいん)の長さが違っていました。

これって、どういうことなんでしょう。
これが、いわゆるボトルバリエーションなる、ボトルの個体差です。
樽とブレンド・タンク
今では、ワインつくりには樽(たる)が欠かせなくなりました。 樽も、自然の産物です。  樽職人(たるしょくにん)によって、作られていたとしても 木目の密度(みつど)、焼き目の焦()がし具合など、まったく同じものを作れるわけがありません。

つまり、樽が違えば、できあがるワインも異なるということです。

樽

もちろん、この違いを、そのままにしておくわけはありません。 大きなタンクに移し変え、均一にしています。 とはいえ、タンクの大きさにも限界があります。

年間の生産量すべてを均一にする大きさのタンクなんてそうそうありません。
ですから、何度かに分けておこなう。

タンク

あの数が少ない(年間6〜7,000本しか生産しない)ゆえ、高額なロマネ・コンティでさえ、 樽とタンクの関係で3種類の味わいがあるといわれているらしいのです。

一方、ボルドーのトップシャトーは約12万本!一度にタンクには入れられないでしょう。
となると・・・。 さらには、1970年くらいまでは、先のタンクによるブレンドは行なわれてないばかりか、 ビン詰めも一度にではなく、2度、3度に分けて行なわれたとのことなんです。
つまりは、樽で過ごす時間が長いものと、そうでないものがあるわけです。

ワインとしてビンに詰められた段階から、いくつかの微妙な味わいの差が生まれているということです。

元気注入?延命措置?リコルク
以前にもお話したように、コルクにも品質の差があります。 そして、コルクにも寿命(じゅみょう)があります。 品質の良いコルクで、長くて30年くらいでしょうか。

ボトルとコルク

それ以上のコルクは、非常にもろくなっています。
1946年のワインのコルクは、中心が貫通して、開けるときに完全に砕けました。
あと、コルクの質や状態が悪いと、スクリューを挿()すと、コルクが下がっていったりします。 コルク本来の役割になってない状態です。

こうしたコルクの劣化とは、弾力性がなくなり、ただの栓と化し、ほんのわずかな隙間(すきま)ができ、 酸素の急激な進入や、ワインの液漏れの原因にもなります。 実は、生産者のもとにあるビン詰めされた古いワインは、 コルクの寿命を見越して、リコルクといって、コルクを打ち替えます。

長い年月によって、コルクで栓がされていても、ワインはゆっくりと蒸発していきます。
ほんの少し、量が減っているわけです。
ワインボトル

そこで、減った分を補うため、若いビンテージのワインを補充します。 若いワインを補充することによって、酸化に対する元気を注入してるわけです。 そして、新しいコルクで栓をする。 そうなんです。 ですから、蔵元(くらもと)にある古いワインと、そうでないワインの味わいは違います。

世界に一つだけのワイン
「この間と・・・違う」というのは、もしかしたら、料理、季節や気温、パートナー、その場の雰囲気、体調、 そういったもので違う感じなのかも知れません。 人間の味覚なんて、絶対のものではないことは、皆様ご存知のこと。 (たとえば、標高の違いで高度が高くなると、味覚が鈍くなります)

しかし、実際に、ご紹介したように同じワインでも、造る段階から違うということもあるのです。 まさにワインが、工業製品ではなく、農産物であることを表していると思います。
ヴィンテージがあることも、その表れですが、同じ年のワインでも、微妙に違う。
まるで、形や味もそれぞれ違う果物や野菜と同じように。
そして、この微妙な差は、更に年月が経てば経つほど、大きくなってくるのです。

そう考えると、 その時に出会った美味しいワインは、最高のワインであり、唯一無二(ゆいつむに)の存在なのかもしれません。 そこが、ワインの難しさでもあり、魅力でもあると思うのですが、いかがですか?


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ソムリエの追言「心に届け!〜贈答ワイン〜」



ソムリエの追言
「心に届け!〜贈答ワイン〜」



元フランス大統領のジャック・シラク氏は、巧みな外交戦術で知られています。
華やかな歴史の舞台裏では自国のワインを「贈り物」として上手く利用してきました。

シャトー・ムートン・ロートシルト在任当時の2003年、アメリカのブッシュ大統領やイギリスのブレア首相にお気に入りのシャトー・ムートン・ロートシルト1989年を贈って友好関係を保ったのは有名な話です。

※一般的にボルドーでは1990年が当り年だと言われますが、 シャトーによっては1961年に順ずる良い年です。 因みにChateau La Joncard では1989年が一番良く  ブラインドテイスティングでフランス一と言われた年です。(かの有名なペトリュスはその時5位)

「プレゼントにワイン」というのもずいぶん一般的になってきました。
中には、自分で飲むよりも人に贈るほうが多いという方も いらっしゃるのではないでしょうか?


感謝の想いをワインにこめて
ワインは飲み物でありながら長期保存も出来るとあって、 受け取る側にとっても変にプレッシャーを感じる事なく、 送る側も用途や予算に応じて幅広い種類の中から選べます。
普段ワインを飲まない方でも頂くと結構嬉しいものです。

ご存知の方も多いと思いますが、
ワインを贈る場合に気をつけた方が良いポイントは

・予算を決める
・相手の好みをリサーチする
・特別な贈り方を決める

世界中で作られるワインの銘柄は20万種類とも30万種類とも・・・
こんな膨大な中から漠然と探すのは気の遠くなるような作業です。

フランス以外の国で作られるワインもたくさんあり、それらが悪いとは言いません。 しかしボトルデザインなども贈り物にするにはちょっとチープな感じの物が多いので、 選ぶときはフランス産を選んだ方が無難だと思います。
その上で、金額を決めればずいぶん探しやすくなってきます。

次に相手の好みをリサーチしましょう。
とは言っても贈る相手から、 事前にあれこれ細かく聞きだすのは難しいものです。
白が好きなのか赤が好きなのか その程度が分れば十分だと思います。

ちなみにMICHIGAMIワインのホームページから選ぶ場合、
ご質問いただければその時ぴったりのワインをお勧めさせて頂きます。
お気軽にご相談ください!

とは言え、中には答えられない質問もあります。
たまにMICHIGAMIワインをプレゼントされた送り先から 「このワインはいくらするんですか?」とお電話を頂くことがあります。 お返しなどの事情で値段を知りたい気持ちも分かりますが、 こういったご質問にはやんわりとお断りをさせて頂いています。
せっかくご連絡頂いたのに申し訳ないと言う気持ちを伝えながら・・・。

木箱入りワイン ワインの味わいはもちろんですが、贈り物は外観も大切です。
木箱に入ったワインは雰囲気があってとてもお洒落です。


最後に渡し方です。
可能であれば、直接手渡しするのが一番気持ちを伝えやすいと思います。 誰にでもという訳にはいきませんが、直接相手の反応を見られるのも魅力です。 配送するにしても贈る相手があまりワインに詳しくない場合、 特に夏場であれば「冷蔵庫に入れてね」と一言添えた方が良いでしょう。

中にはジュースやコーヒーの詰め合わせと同じ感覚で、 何日も玄関先や棚の中に放置してしまう方もいるようです。 せっかくのワインなので、美味しく飲んで頂きたいですね。

記念年とワインのヴィンテージを合わせるというのも喜ばれます。 バースデーヴィンテージに限らず、結婚した年や仕事を始めた年など、 色々と絡める事も出来ると思います。 過ぎ去りし歳月を含めて味わう事が出来るのはワインの魅力の一つでもあります。

私が23歳の頃、 当時お付き合いをしていた女性に誕生日プレゼントで 生まれ年のワインをプレゼントした事があります。 新宿にある、夜景がきれいなレストランを予約し、あまりお金もなかったので、 ネットで4,000円ぐらいのワインを持ち込みさせてもらったのですが、 飲んでみるととっくにピークを過ぎていて、 彼女には残念な思いをさせたのではないかと 悔しくて今でも後悔しています。 それでも思いが通じれば十分!

※そのレストランの持ち込み料は3,000円でした。ワイン代と合わせると7,000円・・・ それでもレストランで20年物のヴィンテージを飲もうと思えば普通は2万円以上します。

ワインは熟成による品質向上と徐々に市場での本数が減っていくので希少価値が出るという面もありますが、生まれ年のワインを・・・というような場合、20年以上前のワインで美味しく飲めるものはそれなりに造りと保管がしっかりしていないと持ちません。


道上の独り言
ちなみにシラック元大統領はビールしか飲みません。
たまに森伊蔵を飲んでいたようですが・・・。

もう高いレストランにご招待するのは あまり流行りません。
安くて美味しい所をご案内する喜び
ご案内したお客様が早速その店に家族連れで
予約される様子は満足に値します。

ワインも同じです。
高いワインを送るのではなく ”え!?これ美味しいけどいくら位するの?”
と聞かれる位が最高です。

心にも無い名前だけの贈り物より
リーゾナブルで美味しいワインを
プレゼントされたほうが喜ばれますよ!





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