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名人のこだわり「魚の『熟成』について」

FOND

名人のこだわり
「魚の 『 熟成 』 について」


肉の熟成、という部分では前回簡単に触れましたが
マグロの熟成については何とも言えないところがあります。

「熟成が良い」という話ですが、
これはある料理屋さんで、たまたまあるフードライターさんが来た時に
日は経っているものの、丁寧に管理されていたマグロを食べた。
すると、期せずしてまた違った旨みが出ていたんですね。
そしてそれをそのライターさんが 「美味しい!」との評価をしたんです。

と、そこまではいいのですが、
その後、なんだか「熟成が良い」という言葉だけが
先に立って独り歩きしてしまったんです。

この「熟成」という事については
知り合いのすし職人にも何人か聞いてみました。
「本当はどう?」と。
すると皆さん「嫌だ!」と。

マグロは「食べ頃」と言える所から3日間くらいが美味しいです。
3日目までが一番良い状態、という意味ですね。
ただその「食べ頃」なんですが、
マグロの種類、大きさや獲り方(定置網、延縄など)で
いろいろと違ってきますので、一概には言うのは難しいですね。

「シビ」、本マグロの事をそう言います。
キハダ、メバチなど他のマグロに比べて
匂いというか、癖があります。

そういう魚でも微妙な変化があるんです。
置いておくと、ある時、身から水が出るんですね。
そのちょっと手前が美味しいんです。

水が出たからと言って、
もちろん「痛む」という訳ではありません。
ただ、それまでの魚と比べると、
間違いなく旨み、味が落ちてしまうのです。

ただ、この部分に関しては本当にいい魚の、
本当に繊細な差の部分でもあります。
ですので全般に言える事では無い、という事も申し添えておきます。

もちろん独り歩きしてしまって良いような話でもありませんね。

城ヶ島の伊勢海老

伊勢海老にも旬はあります。今の時期が甘くて美味しいです。
城ケ島産の伊勢海老は、なんと1kg。頭の部分の半身だけでこの大きさ。 蟹のように、ヒゲにも脚にも身が詰まっていました!



「FONDの歩み③ 最初に勤めた店」

最初に勤めた店は
柴田書店のそばで順天堂大学の先生たちもいらっしゃいました。
ウェイティングのバーで満足されて奥の客席まで行かない方も多かったですね。

その店は最近の店よりもやることが面白かったですよ。
仔牛を骨付きで丸々一頭買ってきてフォン・ド・ヴォーを取って・・・
ダシだけでも3種類とって。
毎日、鶏肉でも「ツメ」と呼ばれる肉、大きくなり過ぎてしまった鶏で
ダシをとって、それはもう水代わりに贅沢に使っていました。
ピクルスも大きなものを3本分作っては 使いきれないので余った物を頂いたりして。

ただ、思っていたより客が入らなかった。
残業は月100時間以上でも残業代は1万円程度。
これじゃ「時給100円程度だ!」と
親方と2番目の方は辞めてしまった。
新人だけ3人が残った。

すると、これまで頼んでもやらせてもらえなかったような事も、
今度は逆にやらないといけなくなってしまった。
そのあとはもう大変でしたが、その分何でも好きにやれた。
自分で高いサーモンを買ってきては調理したり・・・
色々な事を試せましたね。

ただ、オーナーが店の奥に麻雀部屋を作りまして。
雀卓を置いてそちらの客を、お店のお客より優先させてしまうんです。
そしてあれを作れ、これを作れ、とやるわけです。
仲買からでは無く、寿司屋から丸々ヒラメを一匹買ってきてしまったり。
寿司屋からですよ!

そこでは週に3日は泊まり込みで・・・もう帰れない。
だんだんと、もうどうにもならなくなってしまって。
そこでは3年勤めましたね。

次回は「魚について〜寿司と刺身の違い」
「FONDの歩み④ 日本の『フレンチ』の苦労」です。


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