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外交官 第14話 税金大国なのに超幸せ!(その2) 税金が高くても世界一幸せ デンマーク

【小川 郷太郎】
東大柔道部OB
丸の内柔道倶楽部
外交官

第14話 税金大国なのに超幸せ!
(その2)税金が高くても世界一幸せ デンマーク

教育だけでなく医療も介護も基本的に無料なので、将来に備えてお金を貯める必要は少ない。入ったお金を全部使っても後のことをさほど心配しなくて済むのである。

実際、可処分所得に対する貯蓄の割合を見ると、マイナス0.55という数字がある(OECD調査、2011年)。つまり、その年に税金などを引いて残った金額以上を消費しているということなのだ。
実際お年寄りは、しっかりした年金制度もあるので、退職後はむしろ可処分所得も増え、旅行や余暇活動へお金を使うので消費性向が増えるとのことである。消費して税金も払い、引き続き社会に貢献しているのだ。

デンマーク人の平均寿命(男性78.0歳、女性81.9歳)は日本人より低いが、健康寿命は日本人より高い(男性76.8歳、女性77.8歳)。つまり元気な時期が長く、動けなくなって生活する期間は短い。元気だから薬などの医療関係費も減少するという話も聞いた。60歳台、70歳台で将来の経済的生活に不安を感じるのは0.5%だという。これも驚きだ。
 
コペンハーゲン風景(2006.8.17)
【 コペンハーゲン風景(2006.8.17) 】


この国では介護の問題も日本と大いに違い、別世界みたいな感じだ。日本では介護に従事するのは重労働で、しかも人手不足。お年寄りを抱き起すときに自分の腰を痛めたりすることもよく聞く。給料もけして高くない。
デンマークでは、介護する人は自治体の公務員であるから所得は安定している。介護従事者は女性が大半で、気軽に楽しそうに仕事している。施設が整備されていて、お年寄りを抱き起すときも天井から下がっているベルトの器具などで引き上げるからあまり力はいらない。手を添えるくらいで済む。

もちろん、何でもいいとこずくめというわけではない。例えば、病院は予約制だが、診てもらうまでかなり時間を要するとかの問題点も指摘される。しかし、骨格となる制度ががっちりできていて、基本的に大きな心配はない。

言うまでもなく、こうしたことは高い税金を払うから可能になるのだ。税率は所得税が平均して50%(つまり、収入の半分が税金でとられる!)、消費税が25%である。 5%の消費税に3%上乗せするだけで7年かかった日本。10%にするにもまだ不賛成の国民が過半数を占める。国の制度への信頼感がないからだ。

デンマークでは国や自治体の公共サービスが不十分だと「税金を上げてサ−ビスを向上させろ」という人もいるそうだ。  

残念ながら国民の政治への信頼感が日本には希薄だが、国民ももう少し税金の重要性を考えてデンマークのような「高負担、高福祉」ではなくても、「中負担、中福祉」の制度を構築していくべきで、その点について国民的合意が必要だ。政治や政府に信頼感がないと合意は難しい。それをリードするのが政治であるべきだ。

高齢者の生き方にも目を見張るものがある。この国には日本でよく言われる「老後」だとか「老老介護」と言う言葉や考え方がない。個々のお年寄りが、最後まで自分らしく生きようとして積極的に行動する。家族に助けられて静かに暮らそうとは考えない。
家族関係は親密であっても、お互いに独立している。つまり、親も子供も互いに頼ろうとはしない。子は親の遺産をあてにしないし、親は子に何か残そうとはしない。介護が必要になると、家族を煩わさないで、プロの介護士に面倒を見てもらおうとする。

デンマークでは、幼児の時から自立心が植えつけられる。幼稚園では、幼児が何かしたい、何かが好きだと言うと、先生は、「なぜ?」といって、幼児が自分の頭で考え、説明し、かつ自分の意志で行動することを日常的に教える。

お年寄りになっても、誰かの介護や介助に頼ろうという気持ちはなく、とにかく自分のやりたいことを自分でやろうという意識が自然に身についているみたいだ。言ってみれば、「自立心も揺籠から墓場まで」という感じなのである。  

国連が研究機関を使って調査している「世界幸福度レポート」というものがあり、最近もデンマークが続けて1位になっている。最新の調査ではデンマークが156国中1位であるのに対し、日本は43位だった。
花 (Yellow doffadil)(2005.3.28.)
【 花 (Yellow doffadil)(2005.3.28.) 】



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【小川 郷太郎】
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