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名人のこだわり「トリュフと松茸 〜「香水」と「虫食い」」

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名人のこだわり
「トリュフと松茸 〜「香水」と「虫食い」」

今の旬と言ったら、なんと言ってもトリュフです。
トリュフは12月から2月にかけてが旬ですね。

白トリュフであればイタリア、黒トリュフであればフランスの物が良いです。とりわけ1月中旬からが寒くなってきて香りがついてきて・・・
と一番いい時期です。

しかし採る側からすれば、トリュフが一番高く売れるシーズンに採って売りたい。すると、クリスマス前に多くのトリュフが収穫されてしまい、
一番の旬の物が出てこなかったりするんです。
そこは「高級品」という事もありますので、買い手の問題もあり、
景気に左右されて出てきたり出てこなかったりという事になります。

また、日本でトリュフを食べるには、どうしても難しい事があります。
収穫からの、「日本に届く日数」です。
向こうでの収穫後、輸出に際しては放射能検査があり、そこで数日掛かります。それを経ての輸入となりますので、日本への輸入には最低一週間程度かかってしまいます。

トリュフの鮮度で一番の差が出るのが「香り」です。
一度知り合いから、収穫後間もないトリュフをいただきました。
決して強い匂いではないものの、食事を食べている所よりも、
何メートルか離れた所に漂ってくる匂いの方が、よりにおいが濃い。
そんな不思議な強さを持った、良い香りでした。

日本で手に入るトリュフが本当に良い状態とは言えなくても、
やはりトリュフは代えのない食材です。
トリュフでしか出せない香りや、相性があるのです。

黒トリュフは相性の良い物は多くあります。
今で言えば、大間のマグロの赤身(時期や獲り方にもよりますが)、スッポン。黒トリュフは、そのものがワインと美味しいです。
似た香りがワインにも含まれる場合がありますよね。

白トリュフはにんにくに近い香りがします。
違う部分は、食べた時の刺激臭が無い事でしょうか。
白トリュフの特性はそれ自身よりも、
一緒になった食材がとても美味しくなるという性質があります。
バターとの相性はいいですね。
玉子麺のパスタがとても良く合います。

白トリュフと手打ち麺のパスタ
白トリュフと手打ち麺のパスタ


日本だからこそ、というのは松茸です。

松茸はそのカサの部分での開き方で味や香りの強さが違ってきます。

良く炊き込みご飯にはカサの開いた物を、と言います。
ですが開いたマツタケですと
きついにおいがするものの、甘い香りが出ません。

一番良いのはカサが半分程度開き、まだカサの内側に膜が残っている状態。「半ビラ」と呼ばれるのですが、この松茸を使った炊き込みご飯は、香りがしっかりたっている上、何もいれていないのに、まるでみりんを入れているような甘みが出るのです。

松茸で言えば、今度は別の国に行ってしまうと
日本にいる様には味わえない。
以前、「それぞれにその地の物で美味しい物を、それぞれに活かす調理で」と申しましたが、そういった事でしょう。

トリュフと松茸、ともに特に「香り」が大事な食材です。

フランス料理は「香水」文化、と例えられる事があります。
「体臭」という香りを、ただそれを消すのではなく、
違った香りの「香水」を混ぜる事で、また別の「良い香り」にする、
と言う考え方です。

一方で日本には、
加賀友禅の特徴に「虫食い」というものがあります。
ただ美しいばかりの物を柄にするのでは無く、
そこに虫食いのある葉までを入れてしまう。
そしてそれを美しいと感じる。
そういった美意識は日本人ならではだと思います。
この感覚は大事にしたいです。

その「香水文化のフランス料理」と「虫食いをも愛でる日本文化」、
両者の感覚を、どこかで上手く合せられるのではないか。
上手く合わせていきたい。そう考えています。

次回は1週お休みをいただきます。



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