MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。
今回のワインはChateau La Joncarde
(シャトー・ラ・ジョンカード)
赤ラベルの90年代ヴィンテージ違いの3本セットです。
1994年、1996年、1998年とその年毎に表情を変える
ワインの奥深い味わいをお楽しみいただけます。
豪華な木箱からも優れた品格が漂ってきます。
パーティーに持ち寄って盛り上がるもよし、
家でじっくりと味わいの違いを楽しむもよし。
それでは、熟成の風味をテイスティングで紹介していきます!
左) 1994年 中) 1996年 右) 1998年
カベルネ・ソーヴィニヨン75%
メルロー20%
カベルネ・フラン5%
(セパージュは3本とも同じ)
Chateau La Joncarde Red Label 1998
シャトー・ラ・ジョンカード
赤ラベル 1998年
外観
つややかでハリのある外観。中心は赤と黒を3:7で混ぜ合わせたような濃い色合い。透明感はなくグラスの向こう側はまったく見えません。
中心からエッジにかけて、赤の割合がだんだんと強くなり、 最終的にはこげ茶色へときれいなグラデーションを形成しています。
このこげ茶色がレンガ色になり、やがてオレンジがかってくると、良い熟成を経た、古さの証しです。
香り
コルクを開けてすぐは香りが閉じています。黒こしょうとすみれの花の香り。複雑な香りはあまり感じられず、 若干インパクトが弱いと感じさせます。
グラスを回していくと徐々に木樽の香りが目立ちはじめ、更に30分から1時間程置いておくと杉の香り、バラのドライフラワーのような香りが豊かに感じられます。
赤ラベルに共通して感じられるべっこう飴のような独特の甘い香りは、このヴィンテージからは強く感じられません。
味わい
口当たりはなめらか。タンニンがきめ細かく溶け込んでいます。
味の特徴はコクのある酸味。
程よくフルーティーさを残しながらも
フレッシュな酸味とは違う、梅干のような熟成感をもった酸味です。
アルコールがしっかり乗ったパワフルな感じを受けますが、それがこの酸味と合わさって違和感なく喉まですっと入ってくる。
後味に苦味がほどよく存在感を主張して心地良いバランスが取れています。
口に含んでから飲み込むまでが
流れるようにスムーズで余韻は7秒。他のヴィンテージと比べると
果実感は一番強く感じるのですが、熟成の甘味をあまり感じません。
本当の飲み頃は2~4年後、ピークを過ぎるのは5年後ぐらいでしょうか。液面には透明な層もしっかりと厚く、力強いアルコール感が予想できます。
ワインだけを飲んでいるとすこし飲み疲れしてまうかもしれません。
まさにペッパーステーキが食べたくなる味です。
牛肉の赤身の旨味、脂に感じる甘味、
肉と合わせるならやっぱりボルドーだと強く思わせる味わいです。スペアリブや子羊など脂の乗った肉料理との相性は絶品です。
また梅肉ソースを使った豚肉料理や鳥肉の香草グリルなど、
臭みを消してさっぱりと食べられる料理にも合わせられます。
Chateau La Joncarde Red Label 1996
シャトー・ラ・ジョンカード
赤ラベル 1996年
外観
(1998年とほぼ同じ)
つややかでハリのある外観。中心は赤黒く濃い色合い。
1998年との差はほとんどありません。
敢えて違いを言うなら中心の色合い、
赤と黒の比率が若干、黒味の方が強いといった感じでしょうか。
熟成年数を考えるとグラデーションは少ないように思います。
香り
スパイスの香りが支配的です。
香りの強さは96年の方がずっと強く
始めから開いている印象があります。
カシスやプラムの香り、かつお節のような燻製香に加え、
土のようなニュアンスもあります。
さらに時間が経つと独特のべっこう飴のような甘く香ばしい魅惑的な香りを感じる事が出来ます。
味わい
なめらかな口当たりに、
とろりとした質感も感じられます。果実が熟成した甘さが出てきています。
味の中盤には渋味と苦味が合わさったスパイシーなコク、パンチの効いた味わいのあとに、熟成したまろやかな旨味、果実の甘さとが渾然一体となっていていつまでも口の中で味わっていたくなります。
1998年と比べると、少しタンニンが強い印象を受けました。
この収斂味がこなれてくると、
更に美味しくなると期待できます。
出汁のようなたっぷりと凝縮した旨味、重厚感を感じる余韻は8秒、長いです。
飲み頃は4~6年、ピークはまだまだ先・・・
8年後ぐらいでしょうか。
合わせる料理は煮込み料理やレバー料理など肉の臭みが少し残るような、すこし濃い目の料理。チーズと合わせるなら、カマンベールよりも熟成が進んでコクのあるブリー。少しクセの強いウォッシュタイプを合わせるのも面白いです。
Chateau La Joncarde Red Label 1994
シャトー・ラ・ジョンカード
赤ラベル 1994年
外観
他の2本と比べると
全体的に茶色味が出ていてグラスの中心は濃いガーネット色。
本来であれば「若さ」を示す色ですが、エッジ(縁)にかけてのグラデーションは一番きれいに出ています。他の2本と比べてピークが早いのかもしれません。
香り
最初、カシスの華やかでフルーティーな香りと青みを残した香りが混在しています。
カベルネ・フラン特有のピーマンの香りが特徴的です。
グラスを回していくと葡萄のストレートな果実香よりも、熟成香が強く出ています。腐葉土の香り、ドライフラワーの香りが印象的です。
コルクを開けて15分程で香りが強く、開いてきます。
味わい
口当たりが濃厚でしっとりとした質感があります。凝縮しているのに、角がなくなめらか。
ヴィンテージの古さもありますが、3本の中では一番熟成が進んで
飲み頃のピークを迎え始めています。
渋味はおとなしく、果実の熟成した甘みとハリのある酸味が、味わいに深みをもたせています。
最初、この「甘み」と「酸味」がそれぞれ強く、
別々の主張しているような印象を受けましたが、30分程経つと この2つが1つにまとまって、筋の通った力強い味わいに変化していく。
味にふくらみがあります。ミネラルからくる苦味も良いアクセントを添えています。
ガツンとくる感じではなくて、喉を優しくすっと通り抜ける古酒の趣き。余韻は7秒、樽のふくよかな香りが残ります。
ただ、3時間ぐらいをピークに、苦味が少し強くなってくる印象を受けました。1994年に関しては、出来れば開けたその日に飲みきった方が、美味しく飲めるのではないかと思います。
個人的には今回の3本の中で、”今飲んで”一番美味しいと思えるのは1994年でした。
まさに飲み頃を迎えているワインです。
ピークを過ぎるのは1年半後か2年後か・・・。
フォアグラ、脂の乗った牛肉、鶉など、素材に存在感ある肉料理とあいます。
燻製香のあるソーセージや厚切りベーコンにも。
熟成した風味を活かせば肉・魚・野菜と素材を問わず合わせていけます。