サン・テミリオン・ラブ・ストーリー? エコロジーなワイン造り?
クロ・サン・ヴァンサン訪問記2
「サン・テミリオン・ラブ・ストーリー? エコロジーなワイン造り?」
畑の説明をひとまず聞き終え、オフィスへ。
なんと、この地は、リオネル氏と奥様カリーヌ氏との出会いの地
ラトゥース家がこの畑を買い
その後、若き二人にワインつくりを託したのです。
♪あの日~、あの時~ この場所で~
若き日の、二人の姿が目に浮かんで来ませんか。
詳しい馴れ初めは、教えてもらってませんが、 素敵な話じゃないですか!
そして、
今では、二人の子供達と暮らしながら、
ワイン造りを楽しんでいる様子がうかがえます。
見知らぬ土地に来ての、ワイン造りは、結構、大変だったのではと 尋ねてみると、 「周りの人々皆、それぞれリスペクトしてくれた」と。
名前の クロ・サン・ヴァンサンは その名の通り、 ワインの「守護聖」から来ています。 昔からの名前を、引き継ぎ名乗っています。
クロ・サン・ヴァンサン および、スィ二アチュール もちろん、現地販売してます!
経営が変わってからは、自分の納得してない昔のワインは、全て売り払った。 だから、古いワインが、存在しない。 2009年や、2010年はいい年なので、ストックしていくようです。
シャトー見学も、最近では、中国人が多いらしいとのこと。
そして、オフィスのすぐ横にある醸造所へ。やはり、ヒンヤリとした室内。
今度は、ワイン造りについて、説明してくれます。
「サン・テミリオン」のワインは、それだけで高級なイメージがありますが、 実は大体、機械で収穫してるのだとか。
しかし、ここ、クロ・サン・ヴァンサンは 手積み。
手積みのメリットは、ブドウを成熟度合いによって選んでつめること、 高い樹齢を傷つけないことです。
かなり重くなる20リットルのバケツに入れて、すぐにここへ持ってくる。
テーブルを広げ、更に選果し、 除梗・破砕と、 すすめて、このセメント式の発酵槽へ。
小さくて使いやすいキュヴェ。
他の2つのシャトーに比べてもかなり小さめです。
50ヘクトリットル=5000リットルの槽が並んでいます。
厚みのあるセメント層のため、夏・冬の温度差が少ない。
さらに、発酵槽の中は、「エポックス」樹脂でコーティングされています。
これで、バクテリアからも、守られ、安心、安心。
中に入れてからも実をつぶしていく。また、重みで、自然に潰れて「フリーラン・ジュース」
が、たっぷりと出てくる。
これに、皮についた酵母が、反応し、発酵が始まる。 発酵すれば、熱が出る。
この熱をコントロールしなければ、いいワインを造るのは難しい。
ところで、酵母は微生物。
生物にとっての活動しやすい適温は22~27℃
あまりに、高温になれば、活動も鈍くなり、やがては死んでしまう。
人間と同じです。
さらには、 温度が高ければ、皮からの色素が、濃くワインに着くが、 一方で繊細な香りは飛んでしまう。
だから、28℃を目安にして、コントロールしていく。
おぉ、日本のエアコンの設定温度と同じ!これってエコ?
発酵槽の温度は、こちらで、管理・調節。
発酵槽の上に引かれているパイプ。
水と、お湯が流れるパイプで発酵に適した温度に調節する。
15日間~3週間で発酵が終わります。
サン・テミリオンのブドウ、糖度が高いから、アルコール度数高いワインができる。
皮の色素や、種の苦味・渋味成分を、より出すため、15日間漬け込みを行ないます。
その後、ワインとなる液体を抜き出す。
さらに、中の、果皮・種子についている残った果肉部分を、取り出します。
この残った部分からも、アルコールができるので、通常は、
製薬会社や、化粧品会社へ、アルコールの原料として、使われる。
リサイクルです。このあたりは、本当にエコ!
ただし、2009年や、10年などの非常にいい年のいいブドウのときは、 残った果肉部分をもう一度潰した「プレス・ジュース」を、使っていきます。
「プレス・ジュース」は、圧をかけるので、ホントにいいブドウでないと、 雑味がでてしまう訳です。
良い年の良いものだけを使うがコンセプト。
ブドウ品種ごとに発酵が終わったワインは、樽で12~18ヶ月寝かせます。
その後、澱引きなどをしてボトリングへ。
ボトリングされたワインの貯蔵所。
全体的に醸造所兼セラーは、天井も低く、大きくはない。
この地、サン・テミリオンやポムロールに多くある、小さな醸造所は 一部のワイン通の間で、「ガレージ(車庫)・シャトー」なんて呼ばれたりしています。
それはともかく 夫婦二人で、手作りによる、自分達の手が行き届く範囲のワイン造り。
まさしく、愛情のこもったワインであります!
動画 「樹齢70年~75年の植替えは?
」
(再生時間01分31秒)
動画 「ブドウ品種とテロワール<土地の個性>」
(再生時間03分14秒)