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日本での「フランス料理」について

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名人のこだわり
日本での「フランス料理」について

日本での「フランス料理」というくくりには
独特のものがあると思います。

高級なイメージがある一方で
例えば、魚を仕入れようとしたときに
こちらが「フランス料理」の店と言うと、一般的な物が出てきます。
決して悪い物ではありませんが、質にこだわったものではありません。
そういう位置付けでもあるんです。

「フランス料理はソースが命」
というのはどこで言い出したかわかりませんが、
「濃い味付けの、ソースやバターの掛かった、こってりとした料理」
のイメージが付いています。

魚でも野菜でも、
素材の味が活かされる種類の料理とは考えられていないのです。

先日、予約をいただく際に
「最近はちゃんとしたフランス料理を食べていないんです。」
というお客様がいらっしゃいました。
そこでどうしようかと少し迷いました・・・。

大分前の話ですが、フランスからのお客様に
いわゆる「正統派」のフレンチを作ってお出ししたことがありました。

するとその方は
「こういった料理なら、パリでも食べられる」
とおっしゃったんですね。

その事は非常に印象に残っていまして、
「日本で採れて美味しい物を使って作るべきだ」と
考えるようになりました。

そういった事もあってか、最近では
日本の方で「フランス料理」を目当てに来て頂く方より
フランスの方が「フランス料理」を、と来て頂く方が
反応が良い事が多くなりました。
日本的な「フランス料理」という固定化されたイメージが
無い為かもしれません。

という事で先程の、
「しっかりとした「フランス料理」を」というお客様には
それでは、と「フランス料理」らしい料理を出そうかとも
少し考えたのですが
私だってあとどれだけ、好きな物を作れるのか分からない。
やはり自分で一番良いと思える物を、とそういった料理を
お出ししました。

すると、かえってそちらの方が、喜んでいただけました。

ただ、その逆に
「こんなのはフランス料理じゃない」
と言われてしまう事もあります。
「フランス料理」はこう、と決めている方には合わない事もあるようです。

スコットランドの赤雷鳥と松茸

スコットランドの赤雷鳥と松茸


今の、「フランス料理」としてイメージされる料理ですが、
実は100年くらいの歴史では無いでしょうか。
それより前の物では無いのです。

それ以前のフランス料理は、クリームやバターをあまり使わない物が多く昔の京都の料理、それに近い物があります。
そのまま、おばんざいとして出せるのでは?
というような物もあるんです。

そこで「ワイン」なのですが、
「ワイン」という物は長らく変わっていません。
流行の、一時代の物を追うのでは無く、
「ワイン」という変わらないその価値観に寄り添って料理を作る事で、
芯のしっかりとした料理を
作っていけるのではないかと考えています。

「ワイン」に合う料理を、
という事を大事にしているのはそういった面もあるのです。

次週は「野菜について」をお送りします。



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