名人のこだわり 「塩について ~味の柱」
名人のこだわり
「塩について ~味の柱」
最近、塩についての捉え方が変わってきました。
以前は、料理に対して調整の為に味付けをする「従」の感覚で「塩」を考えていました。
しかし今は、むしろ塩の為にその他の物で肉付けをしているような感覚、
塩を「主」として捉える事こそが料理なのではないかと考えるようになったのです。
「スイーツ」という括りがあります。
そこでは菓子やケーキ、デザートなど様々な物があっても
「甘い」という事、つまりは「砂糖」を中心として考えられています。
素材の香りや風味、酸味などは、全て「甘さ」の為に存在しており、
その点が自覚的に意識され作られています。
塩は身近すぎて意識され難いのかもしれませんが、
「しょっぱい」という事、「塩」に関しても
同じ様に考えて良いのではないでしょうか。
竹岡の真鯛 本ミル貝 庄内あさつき マイクロトマト 塩漬けのケッパー
味というのは、
基本的にこの「塩味」か「甘味」という柱が無いと成り立ちません。
塩味だけの物、砂糖味だけの物の場合、
「しょっぱい」「甘い」とは思うかもしれませんが、不思議と「不味い」とはなりません。
しかし、その他の味だけでは「不味い」と感じるものになってしまいます。
「五味」とは言いますが、「酸味」「辛味」だけでは味が成立しないのです。
酸味や苦みが大きく目立った料理でも、
実際にはその裏で塩味や甘味がしっかりと全体の味を支えているのです。
「旨味」は例外的と言え、「塩味」「甘味」に頼らなくても味が成立する場合があります。
スープを作る時、本当に上手くフォンのとれた時には、
塩味が無くても旨味だけで味が成立します。
ただほとんどの場合、塩を加えた方が美味しいという物ではあります。
このように塩味か甘味かの「味の柱」があり、
そこに他の味や風味という彩りをつけ、味は成り立っています。
その点で、味の構成を考えるとき、
「塩の為に料理を作る」という捉え方が正しいのでは、と思うようになってきたのです。
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