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名人のこだわり「パンについて」


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名人のこだわり
「パンについて」

フォンでは料理に合わせて、
パン・ド・カンパーニュをお出ししています。

フランス産の小麦を、石臼で挽き
温度など季節の変化にも対応しやすくなるよう
どの過程でも機械を使わず、手作業で焼いています。

パンもやはり温度の変化など四季によって違いがあります。
しかしそこは無理やり、均一の味にするのではなく、
季節ごとの味で良いのではないかと思っています。
大きく違ってしまうのであれば問題ですが、
一緒に食べる肉や魚、野菜も、その季節によって味が違ってくるからです。

そして1次発酵では18時間ほど寝かせ、
お客様のいらっしゃる1時間ほど前に焼き上げるようにしています。

パン作りは、菓子作りより、製麺に似ています。
綺麗な製麺にしようと思うと、よく捏ねた方が良いのですが、
捏ね過ぎると甘みが抜けてしまいます。
パンも同じで、綺麗に膨らませようと思うと長く捏ねた方がいいのですが、
やはり捏ねすぎない方が甘みが残るのです。

パン・ド・カンパーニュ
パン・ド・カンパーニュ

パンの位置付けとして、ご飯と比べられる場合もありますが、
まるで違う物です。
大きな違いは、「発酵」です。ご飯に発酵はありません。
また、パンが発酵する際に「酸」が出ます。この2つが大きな違いになります。

料理とワインがちょっと相性が悪い時でもその間にパンがあれば、
パンもワインも両方発酵しており同じベースがある為、相性が良くなります。
そういった「仲立ち」をしてくれます。
パンとワインの相性が良いとされるのはそこです。

一方、ご飯は「匂い消し」になります。
色々な味のおかずがあっても、間にご飯を食べると、
口の中に違和感がありません。
前に食べた味が、ご飯を口にすると一旦そこで全部終わりになるんです。
パンにはそういった機能はありませんので、
その意味では軽い発酵のパンでは意味が無いと思っています。

勿論、同等の話としてはできませんが、
強いてパンに近い物を、というなら「寿司の酢飯」が近いです。
シャリに塩も入りますし、酢が入るので酸があるからです。

お寿司の酢飯で美味しい物と、ご飯で美味しい物は違います。
ご飯に酸がある物として作ったものか、そうでない物かで違ってくるのです。

良いお寿司屋さんのシャリは「ネタ」が美味しい、「シャリ」が美味しい、と
別々に感じるようなものでは無く、「一体の物」として美味しく感じられます。
おにぎりであっても上手く作ったものは、中の具だけが目立つ事はありません。
サンドイッチも同じで、反対に良くないパンを使いますと
中の具の味ばかりが目立ってしまいます。

しっかりとしたパンは、
料理とワイン全体のバランスを取ってくれる大切な存在です。
ワインをも含めた料理全体を「一体の物」として
美味しく感じさせてくれるのです。



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