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外交官 第7話 私のフランス勉強法

【小川 郷太郎】
東大柔道部OB
丸の内柔道倶楽部
外交官

第7話 私のフランス勉強法

私の最初のフランス滞在は1969年から73年までの4年間、年齢的には26歳から30歳のときであった。当時の写真を眺めると、「俺も随分若かったなぁ」と懐かしくも熱い思い出が蘇ってくる。

最初の2年の大部分を外務省の研修生としてボルドーで過ごし、後の2年はパリの大使館で駆け出しの三等書記官(途中から2等書記官に昇進)として勤務した。

外交官としての研修の目的は、フランスのことを出来るだけ深く知ることだと考えた。外交では、あらゆる状況に対応できる能力が必要だと認識していたからだ。

フランス語を覚えることは重要な要素だが、それだけでなくフランスの歴史や文化を知りフランス人をよく理解することが不可欠だと考えた。机の上の勉強だけを必死にやるのではなく、フランスの全体像をつかむために多角的な方法で取り組もうと心掛けた。

Blois 城からの風景(2010.8.15.)
Blois 城からの風景(2010年8月)

ボルドー大学の「政治学研究所」に登録してフランスの政治や歴史、国際関係の講義を選択し、ゼミにも出た。
幸い当時の外務省からは修士などの学位取得は義務付けられていなかったので、文学部の授業にも顔を出した。あまり理解する能力はなくても、フランス文学の雰囲気にも触れたいと思ったからだ。

余談になるが、前年の1968年にフランス全土で大規模な学生運動が起こって以来、大学の民主化が進み始めた時代で、キャンパスには女子学生も顕著に増え、社会科学系の政治学研究所とは雰囲気が違っていた。

中学生の時からNHKのラジオ講座などでフランス語をやっていたが、やはり現地の生活に入ると言葉はなかなか難しい。大学の先生の格式のあるフランス語は比較的わかりやすく、何か月かたつと概ね理解できるようになった。

しかし、学生の友達と話すとスピードは速いし、学生言葉や俗語が多く、また世の中で流行している事柄も知らないので、数人の輪の中での会話はほとんどわからない。
ずっとそんな状態から脱せられないので自己嫌悪に陥りそうだったが、我慢してじっと耳をそばだてて、ちょっとわかるようなときには勝手に言葉をはさんだ。

フランス人は大勢で話すときには我先に自分の考えをまくしたてるし、他人が話していても、それを押しのけて大声を上げて自己主張をする傾向がある。

おずおずと話しても無視されるので、日本的謙虚さを投げ捨てて声を張り上げ図々しく話すようにしたが、それでもフランス人の方が声の勢いやスピードに勝り、はじき飛ばされてしまう。

あるとき、その時の話題に関連して日本のことを言ってみたら、こちらを向いて興味を示してくれた。異国についての好奇心が強いことがわかったので、ときどき「あのー、それは日本ではねえ」と大きな声を出すと聞いてくれるようになった。

外交では格調の高い文章が必要なので、毎日ル・モンド紙を読んで、興味ある記事や社説を選んで、それを何十回と音読する訓練を行った。

英語の勉強もそうだったが、半ば暗記するくらいまで音読を繰り返すと、それが口調になって、最初の一語を発するとそのあとの文章がスラスラと続けて出てくるようになる。なるというか、なるまで反復音読をするのである。

そうなると、あまり文法などを意識せずに正しい文章が口をついて出てくる。
高校時代の英語の試験問題で、よく文章の一部が括弧で空白になっていて、そこに入る前置詞は何か、などと聞かれる。文章を暗記するくらいに覚えていれば文法を考えずに自然に口調で括弧に入るべき正しい語句が出てくる。

これは私の語学勉強法であるが、ペーパーテストで威力を発揮するだけでなく、会話や作文でも日本語を考えずに滑らかに話したり書けるようになる。英語を勉強した時の経験でこの方法でフランス語も取り組んだが、効果は抜群である。

フランス人学生との会話の輪に入っていくことや、柔道の練習の後の酒を飲みながらの気楽なおしゃべりにもできるだけ加わったが、最後までこの種の会話は難しかった。
きれいな文章を書くことも練習しなければと思っていたが、あるとき思いがけない事が起こった。

文学部の講義を聴きに行って休み時間にブラブラしていたら、一人の小柄な女子学生が「ボンジュール」とニコニコしながら私に話しかけてきた。
忘れっぽい私が怪訝な顔をしていると、「先日道場でお会いしましたね」と言う。まだ思い出さないでいると、先方は道場の名前を言って、先週そこで一緒に練習しましたという。

漸く思い出して、「ああ、あの時の」と私が答えると、「ええ、名前はシャンタルです」と名前も忘れている私を慮って名乗ってくれた。記憶がやっと蘇ってきた。小柄ながら黒帯で身のこなしがよく、私はなかなか投げられなかった相手だ。

会話が進み、シャンタルが仏文学専攻の教員志望者と知ってお願いをした。私が書くフランス語の作文を添削してほしいと頼むとすぐ快諾してくれた。それ以降私は、日本のことなどいろいろなテーマで文章を書き、それを添削してもらい、間違っているところなどを解説してもらった。
彼女も日本のことについて関心を持って聞いてきたりした。

こうして彼女がフランス語作文の個人教授になってくれた。柔道のお蔭である。「芸は身を扶く」である。

次回は、フランス語だけでなくフランス人やフランス社会を全体的に知ろうとした私なりの努力について話してみたい。

セーヌ河畔のパリ (1983年8月)
セーヌ河畔のパリ (1983年8月)


筆者近影

【小川 郷太郎】
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