2010年6月度頒布会レポート 2/3「これがワインテイスティングの奥義!?頒布会ワインで実践」

2010年6月度頒布会ワイン・レポート 2/3
シャルルマーニュ白(スパークリング)
シャトー・ラ・ジョンカード黒ラベル1991年
シャトー・デ・ジュージュ1998年(白ワイン)


MICHIGAMIワイン頒布会に加入して頂いているお客様へお届けするワインを、テイスティングで紹介していきます。

当店、頒布会でお送りしているワイン3本についてのテイスティングリポートです。
実況リポート風でお送りします!

【シャルルマーニュ白 スパークリングワイン】

しっかりと冷やした、例えば、3時間くらい通常の冷蔵庫(大抵5℃設定)に入れておいたものを静かに開けてください。

グラスになるべく静かに静かに注ぎます。レストランではグラスを持ちませんが、どうぞここはグラスを持って、ボトルの口につけて静かに注いで見てください。

パーっと広がる、炭酸ガスが造りあげる、白い泡。
スパークリングワインの特徴はなんと言っても、この泡。

大きな泡が消えた後、しばらくすると、泡が綺麗(きれい)に連なって 立ち昇っていきます。まるで小さな真珠のようですね。

この泡にも実は名前があって、液面中央に集まっているものを ムースと呼び、グラスの縁(ふち)に集まっているものをコルドンと呼んでいます。

グラスの中央に、ムースが出来てるのがわかりますか。

ムースが長くとどまっている、出来ては消えて又新しいムースが出来る。この状態が見受けられるスパークリングワインは高品質の印です。

あ、高品質といっても、泡に限ったことですから。味わいはまた別の話です。

このムースができるスパークリングワインは、その製法がシャンパーニュと同じ方法なんです。

ボトルを見てください。ラベルの上部に Methode Traditionnelleとあります。

メトード・トラディショネル 伝統方式 つまり 瓶の中で 炭酸ガスを発生させたもので、炭酸ガスの逃げが少なく、キメが細かく持続性もあるものになるのです。

さて色合いを見てみたいと思います。
グラスを少し傾けてみて下さい。できるならその際、テーブルクロスのように白地のものがあると色をしっかりと見ることができます。

黄色です。でも濃さの割合は、淡い色合いです。透明感も感じられると思います。

そこに、ほんのかすかですが、オレンジ色があわさった感があるのがわかるでしょうか。

次は、テイスティングコメントの真骨頂(しんこっちょう)香りをみていきましょう。

注いだ瞬間からですが、何かこもった様な感じがしませんか。

表現的には難しいのですが、パンの白い生地の部分とヨーグルトの香りがあわさった感じとでもいいましょうか。

この香りがあると、バターを使った料理にあわせやすいですね。ソテーなどです。

その後、すぐに、柑橘系(かんきつけい)の果実レモン、グレープフルーツなどの香りがしてきます。

ときおり、ハーブの香り、やや爽やかなレモングラスの香りでしょうか。

ミントなどのすっきりとしたものではなく、タイム・ローズマリーなどの強い風味のハーブの中間です。

さらに、甘い香りも立ってきました。キャンディーの香りとアルコールが混ざったような。この香りは独特ですね。

香りの要素は、時間と共に変わっていきますし、どの香りを採るか意識(いしき)することによっても変わって来ます。

注いでから2分くらいたつと、スパイスの香りが採れます。白コショーあたりですね。
うん、時間がったせいか、先ほどの果実が キャンディーの要素とあわさって、黄リンゴの果肉の蜜(みつ)、パイナップルの香りも感じられます。

では、味わいです。飲んでみましょう。 とは言っても、テイスティングはすぐに飲み込まないで下さいね。

口当たりはどうですか。ふくよかですね。何か立体的に感じられます。というのは、通常ワインには酸味がつきもので、この酸味、たいてい口の中の両端(りょうはし)で感じられます。

このワインはそれがないです。もちろん酸はありますよ、でも酸っぱいと感じないのです。口の中の横への酸の広がりがないので、ボリューム感を感じられるわけです。

そのまま口の中にワインを留(とど)めてみてください。ワインの味わいの中心、果実味が感じられる筈(はず)です。

そして、すぐに焦げたようなやや苦味の味わいが口の中に広がっていきます。
樽(たる)の風味からくるものですね。先ほどの説明どおり、このワインは炭酸ガスを発生させる発酵(はっこう)を瓶(びん)の中で行なうので、樽で熟成(じゅくせい)はしません。

つまり最初のワインを造る発酵を樽で行なっていることがわかります。

この心地よい風味が、先ほどの果実味とあわさり、ワインにコクを与えています。この調和がワインの美味しさになってくるわけです。

人によっては、白ワイン・シャンパーニュなどこの風味がないと物足りないと考える人もいるようですが。

このワインは酸味を感じさせない、つまりうまく溶け込んでいて、果実味(かじつみ)とコク、心地よい苦味(にがみ)が段階的に味わえるわけです。

こういった味わいの構成要素(こうせいようそ)がこの状態が一体となった時、誰がのんでも美味しいワインとなるような気がします。

ワインによっては、熟成によってその変化が現れるものもありますが、全てのワインがそうなるとは限りません。

また、今回のような年号なしのスパークリングワインの場合は、リリース後なるべく早く飲まれるように造られているんです。

お待たせいたしました。飲み込んでみてください!先ほどの心地よい苦味が余韻(よいん)に残りますね。

その余韻の秒数を数えてみてください。もう一度飲んでみて、どうぞ。1、2、3、4、5、6、7、8。
このあたりまで、ワインの風味が口中に残っているのを感じ取れるでしょうか。

この秒数が長いほど、高品質なワインの証、将来性のある(熟成できる)ワインであることを判断する基準になります。

なかなか 品質のよいワインであることが、余韻から判断できます。
と、ノド越しにワインらしからぬ熱く抜けるアルコールの風味があります。そう、このワインラベルにもありますとおり、ブランデーのコニャックがブレンドされているのです。
ご存知ブランデーは、特別に造ったワインを蒸留(じょうりゅう)して、樽で熟成し風味をつけたもので、アルコール度数は最低40度あるものです。

実は、このワインの全体のボリューム感の正体、このアルコールによるものなんです。他のスパークリングとは、異なる圧倒的(あっとうてき)なアルコール度数13.5度!普通11~12度くらいです。

では、アルコールを意識してみましょう!もう一度口に含んでみてください。ワインを口先に留めてみてください。

ちょっと時間をおいてみましょう。5秒ほど。上あごや舌先など、熱さととろりとした感じがありませんか。この感じがアルコール度数が高いワインの特徴です。

そうこうしているうちに、味わいの変化に気づきませんか。温度が上昇して アルコール感が際立ってきました。

最初の雰囲気(ふんいき)とは全然変わっていますね。なにかリッチな飲み物に変わってます。コクのある風味アルコールの感じが好きならばよいのですが、私は最初の頃の風味が好きですね。

ですから、しっかりと冷やして果実の風味を活かした味わいで楽しむ、やや高めの温度10℃前後でリッチなブランデー風味を感じながら楽しむ 2通りの楽しみ方ができるワインです。

そうそう、香りのところでスパイスを出しましたが、うまく嗅(か)ぎ取れない方、飲み終わったグラスを嗅いで見てください。
どうでしょう。ワインが入っているときより、格段スパイスの風味が嗅ぎ取れるのではないでしょうか。

【シャトー・ラ・ジョンカード 黒ラベル プレミアム 91年 赤ワイン】

熟成(じゅくせい)しているワインですね。リリースして20年近いです。
当然、澱(おり)が発生しているはずです。飲む前最低1日できるなら1週間程度
ボトルを立たせておくとより美味しく飲めます。

このワインも静かに開けてください。できるなら、グラスをボトルの口につけて注いでください。

こうすることで、澱を攪拌(かくはん)するのを防ぐことができ、雑味(ざつみ)が混ざらなくなります。

見て下さい!この綺麗(きれい)な色合い。黒、赤(というより紅)、そして茶のグラデーションとグラスの縁(ふち)の色合いの透明感の美しさ。赤ワインの外観の美しさは、この熟成の段階から魅力を発揮することが判ります。

赤ワインの色合い表現は、何故か宝石で表現します。
ルビーとガーネットです。ワインの世界では、同じ赤でもルビーには紫や紺が、ガーネットには茶色や黒が混じった印象でしょうか。
このワインの色を例えるならガーネットですね。

では、グラスを傾けて見て下さい。このワインは、赤はもちろん、中心の黒味の部分から徐々にグラデーション色の変化が見て取れると思います。

黒の周りに赤、そこには、紫(むらさき)を感じさせません。つやがある黒ではなく少しくすんだ色合いに感じられます。外側、グラスの淵に近づくにつれて徐々に茶色、レンガ色、オレンジと変わっていきます。

そしてグラスのすぐ縁は透明感あふれる液体。熟成をあらわす部分です。

若いワイン、つまりリリース後すぐのボルドーの赤ワインは、色合いが紫 や紺(こん)に黒を混ぜた感じで、かすかにグラスのすぐ際の外側だけ紫とピンクの色合いが見て取れます。今回のワインのように段階的に色が異なっているワインは熟成をしていることの証です。

こうしているうちにも、香りが漂(ただよ)ってきます。よく熟成の狭間にある途中のワインに、「閉じている」という表現を使います。

この閉じている状態、味もさることながら香りも、弱く特徴がつかみづらい状態になっています。不思議なのは、この状態で開けずに時期をずらすと、香りが花開き味わいもより美味しくなっているときがあるのです。熟成ワインの飲み頃の見極めのむずかしさたるゆえんです。

では、香りをかいでみましょう。まだ、グラスを回さないでください!そのまま、嗅(か)いでみてください。

どうですか、独特の香りがしますね。少し蒸(む)れたような香り、でそこには、爽(さわ)やかな果実(かじつ)の香りはありません。

若い赤ワイン特有のカシスやブルーベリーなどの果実の香りがありません。強いて言うなら、今回のワインには、果実というより、花それもドライフラワーを感じます。
そこに スパイスがあわさったかのような感じです。スパイスもコショーなどではなく、東洋的な風味のつよい、クローブ(丁子)でしょうか。

こもった感じが、風味の強さが特徴の黒コショーとは違う感じがでています。
とにかく熟成したワインの表現はむずかしいです。いろいろな成分が酸化還元(さんかかんげん)によって変化しているわけで、成分が幾重(いくえ)にも織(お)り交ざっているかんじです。

さて、その最初の中心的な香りがとれたら、軽くグラスを回してみてください。香りが変化しました。劇的ですね。蒸れたドライフラワーから、少し爽やかさが加わった、フレーバーティーが感じられませんか。

時折、和食のたれ・だしを思わせる香りもありますね。そんな綺麗な香りもつかの間で、廻ったワインが静かになると、これまた表現がむずかしい、土の香りがします。
園芸用の売っている茶色のきれいな土ではなく、裏庭の日が当ってない、黒っぽい土の香りです。

あんまりこういう判りづらい表現は使いたくないのですが、土はご存知様々な成分から成り立っているので、表現しづらい点もふくめてちょうど当てはまるのではないかと感じますが、どう思いますか。イメージわきますでしょうか。

ふと、気がつくと香りの中心は徐々にスパイスの香りが強くなっています。

では、テイスティングです。
最初の口当たりですが、非常になめらかですね! ややもすると水っぽいと感じてしまうほどです。
でも、明らかに違うのは、丸みを帯びたなめらかさです。アルコールがもたらす質感なんです。

丸みといえば、酸味(さんみ)はどのように感じますか。こなれた酸味です。しかし、その酸が、味わいに張りを保たせている点、わかりますか。この酸味が果実味と一体となって、口の中の広がりを造(つく)っているわけです。

そうして果実味がほんの一瞬、ぱっと口の中に広がります!果実味と酸味が溶け合っている感じ、ハーモニーに、旨みをかすかに感じます。しかし、さすがはボルドーの赤ワイン。タンニンによる渋味が感じられ、ワインにコクを与えています。20年近く熟成しているにもかかわらず、タンニンが細かくなっているもののまだざらざらとした感じがありますね。

渋味が苦手(にがて)な人には、キツイ味わいかもしれません。

やっぱり、ワインは果実味ですよね。果実味を増幅してみましょう。

ソムリエなどがやってるアレです。口先をすぼめ、少し開いてそこから空気を吸い込んでみてください。

その時ワインが口の中を、駆け回る感じですね。あまり上品ではないですけど、「ズー」なり「ビュルル」なり音が出ます。

慣れてないと、吸い込む時に鼻からも息をすると、むせますのでご注意を!

どうですか、果実の風味が口の中を駆け巡ってますよね。さらに、鼻の奥にその風味が、強烈に伝わってきています。

では、飲み込んで余韻を見ましょう。 やはり、渋味が残りますね。でも、そんなに風味が残らなくないですか。

もう一度飲んで、数えてみましょう。1,2,3,4,5,6。すっと余韻が消えます。

短いです。もちろん、渋味は口先、歯茎(はぐき)に残ってます。それとは違う、ワインの味わい・風味・コクの部分です。鼻に抜けるワインの香りだったり、ノド越(ご)しから戻るような味わいとでも言いましょうか。
その部分が短いです。

これは、熟成によって様々な成分がボトルの底に落ちていってしまっているからなのです。これが澱なんです。

そう、ワインの強さの部分が少しずつなくなってきているのです。ワインも熟成の最後には水になるという話もうなずけます。

ですから、このワインでコクを楽しむなら、今、遅くとも1年以内に飲んだほうがいいでしょう。

その間にも、グラス内ではワインの味わいは変化してます。

時間がたつと、旨味(うまみ)がでてきてますね。旨味成分なんて表現してますが、イメージ的には、醤油(しょうゆ)をほんの少し味わいを感じる程度に薄(うす)めていった感覚です。

または、醤油を使った出汁(だし)を薄めてるか、味噌汁(みそしる)を作る時の鰹節(かつおぶし)の風味がかすかについた味わいのような感じです。

どうですか、この旨みが熟成ワインの最大の魅力ですなんですが、感じられますか。まるで、香りで表現したフレーバーティのような果実の紅茶(こうちゃ)を飲んでいる感覚です。

果実味に酸味が溶け込み、渋味でワインとしてのコク・強さが現れている中に、旨みがでてきている。

旨みだけでも様々な成分の融合であるのに、この味わいの重なり。熟成ワインだけが出せる風味なのです。

とはいえ、ボルドーの赤ワイン特有のカベルネ・ソーヴィニヨンの渋味、収斂性(しゅうれんせい)も時間とともに目立ってきますね。

若干、バランスが欠けていると感じるかもしれません。その上で、もう少し開けずに置いておくと、渋味もきめ細かなタンニンになり、全体のバランスが取れるかも知れませんね。

さて、もう一つの味わいも探ってみたいと思います。もう一度、口に含んでみて、意識(いしき)を舌先に集中してみてください。

何ともいえない、無味に近い、かすかな苦味を感じませんか。この味わいを 鉄分と 表現したりします。本などでは、釘(くぎ)をなめたようなんて表現されているんですが。

熟成しているワインなので、すこし判りづらいですが、赤ワインによっては、この風味が非常に強くでるものもあります。
この風味があると、赤味の肉にあいます。
この鉄分と先ほどのしっかりとした渋味を考えると、あわせる料理は、やはり牛肉の脂身(あぶらみ)が少ないものをシンプルに焼き上げたものが良いですね。

素材の味わい、香り といったものに合わせていくことができるのは、まさにワインならではです。

羊肉はもちろん、白身の野鳥のジビエなどの風味とあわせれば、さらにワインの熟成の風味があいます。

こういった、野性味ある肉料理などには、熟成した赤ワインの出番です。他のお酒では味わえない相性を感じさせてくれます。

飲まずに考えたなら、20年近い熟成ということで、もう少し軽い料理を考えていたはずです。

そうそう、20年近くの熟成、余韻も短くなってきていることから、通常の若いワインとは異なり、開けたら出来るだけ早く飲みきって下さい。
翌日に持ち越さないことオススメします。

最後に飲み終わったグラスの香り、黒コショーなどのスパイスなどがはっきりと感じ取れますね。それに、優しい熟成の風味というのがお分かりいただけると思います。グラスの残り香も熟成ワインの楽しみの一つです。

ただ、せっかくの熟成ワインです。牛肉以外も合わせて見たいですね。
仔羊のグリル・ローストや思い切って、うずらなどの野鳥や鹿肉など最高でしょうね。

赤身の部分には、その鉄分が合わさり、肉の風味・野性味を強調し、肉を食べていることを実感します!また、もう少し手軽なローストビーフに肉汁(にくじる)を焦(こ)がしてかけて焼き上げたものなどには、香ばしい風味や肉の甘味のような旨味に、ワインの旨味がよくあいます。

こういった、肉料理の旨味・野性味には、熟成した赤ワインの出番です。他のお酒では味わえない相性(あいしょう)を感じさせてくれます。

ぜひ、試してみてください!

シャトー・デ・ジュージュ クリュ キネット 1998  白ワイン 甘口

甘口のワインです。デザートワインなど呼ばれたりします。
このワインもしっかりと冷やしてください。

おっと、コルクに何かキラキラしてるものがついてますね。ワインの液面(えきめん)に触れる部分側のコルクにです。

まるでガラスの粒をちりばめたような、綺麗なデコレーションでしょうか。

これ、実はワインの成分である酒石酸(しゅせきさん)の結晶です。ボトルのガラスの破片ではありませんので安心してください。

赤ワインなどの澱(おり)と同じで、口に入っても害は無いです。

この結晶、コルクにつく場合もありますが、冷やしすぎたりすると時にはボトルの底に溜まっていたりします。
余りに多いとびっくりしますけど。

グラスに注いで・・・。
さて色は、明るい黄色に透明感もありますが、先ほどの、スパークリングより色は濃い目です。
色が濃いことから、味わいが濃いことが予想されます。

色の濃淡(のうたん)は味わいだけでなく、香りにも比例します。白ワインの場合は、辛口・甘口問わず大抵当てはまります。

では、グラスを近づけてみてください。香りをみてみましょう。
強い香りが、鼻を覆(おお)いますね。ムァッとする感じです。香りは、解かりやすいものから、拾い上げると・・・・。

ハチミツですね。次に、なにかセメダインなどの香りも感じられます。 あとは、薬のような。基本的に、ワインを表現する時は、イメージの良いものを挙げなければならないのですが。あえて化学製品てきなものを挙げてみました。

では、グラスを回して香りをさらに発たせてみましょう。はちみつは依然感じられますが、もう少しフルーティな感じがしてきました。すこし、先ほどの化学製品(かがくせいひん)的な香りが残っているせいか、そのツンとした風味にフルーツの香りが合わさって、ライチのキャンディーのような感じです。そんなキャンディーがホントにあるかは知りませんけど。

又、変わってきましたね。先ほどから1分位の短い時間でも、温度が上がって、カリンのキャンディー、杏などが感じられます。

とにかく、香りだけでも、脳に甘さを連想させる かぐわしい香りが続きます。 このまま嗅いでいたい気にもさせるほどです。

では、テイスティングに参りましょう。
今回のワインの中で、一番口当たりが強いですね。ふくよかさを超えてとろりとした口当たりです。

果実の甘味をとにかく主張します。心地よい甘味です。ハチミツをほんの少し薄めジュースにして、レモンやハーブを加えたような感じでしょうか。

そうそう、ソムリエを含め、ワインテイスターなる表現する人は、この味わいを香りのように例えないです。味わいの構成要素、果実味、酸味などだけで、表現します。
なので、さきほどの表現は反則なのかもしれません。

ならば正攻法(せいこうほう)で、分析(ぶんせき)してまいりましょう。一度飲み込んでください。果実の甘味を十分に感じると思うのですが、いやーな甘ったるさがないと思いませんか。

そう、酸味がしっかりと存在してるからです。でも、やはり、溶け込んでいますね。この酸のおかげで、甘味の余韻が少し続いたあとに切れ味の良い飲み口を造っているのです。

では、もう一度口に含んでみてください。果実味と酸以外の味わい要素を探してみると・・・・。

果実の甘さの後に感じられる、心地よい苦味があります。ちょうど味わいのアクセントになっていますね。

あとは、甘口ワインのボディとでも言うべきアルコールも見てみましょう。ワインを口先に留めてみてください。

とろりとした味わいの中に、徐々にすこし痺(しび)れるような熱さを感じられますね。
この熱さを感じたら、そのワインのアルコール度数は高いということでした。やはり、13.5度でした。

さあ、最後に余韻をみてみたいと思います。飲み込んでください。1,2.....8.9.10。心地よい果実の甘味とアクセントになる苦味がコクと共に、続きますね。

品質の良いワインでもあると同時に、余韻も楽しめるワインです。

実はこのワイン98年と10年以上の時を経ています。でも、しっかりと余韻がある。
ボルドーのこのカディヤックという地区を含む一帯の地域の甘口ワインは非常に長命(ちょうめい)であることでも有名です。
その特徴がはっきりとうかがえます。

また、空いたグラスを嗅いでみてください。ワインが入ってたときには採りづらかった、ローリエのようなハーブ・スパイスの香りがしますね。

そんな、香りの成分をはじめ、隠れた要素がワインの風味を作り上げていることが実感できますね。味わいで言えば、甘さを目一杯感じる中にも、酸味による切れ、苦味のアクセント、アルコールのボリューム感を理解していただけたと思います。ただ「甘い」風味だけではないのです。

でも、やはりこのワインは分析するより、ただ飲むにかぎる!定石(じょうせき)のフォアグラのテリーヌや 豚肉の濃厚(のうこう)なリエット。チーズならば青カビのロックフォールなどの塩気(しおけ)のあるチーズ。

甘いものなら、 アップルパイ、フルーツタルト。絶対に合わせて飲みたいですね。至福(しふく)な気分が味わえるはずです。

最後まで読まれた方、有難う御座います。ワインのテイスティングの仕方が、イメージできたでしょうか。

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