RSS

私と柔道、そしてフランス… 第六十五話 制度品と一般品の違い

【安 本 總 一】
早大柔道部OB
フランス在住
私と柔道、そしてフランス…
2020年3月12日

- 第六十五話 制度品と一般品の違い -

 前号の最後に触れたように、私の入社以前、ロレアルに対して強い不信感を抱いてやる気をなくしたコーセーは、(株)ロレコス設立の際、出資比率対等を主張したロレアルに対し、10%のみの出資に留どめ、5月27日に予定している“(株)ロレコス設立記念カクテルパーティー”にコーセー社員は一切出席させない、という厳しい対抗策を打ち出してきたということでした...。

 ここまでこじれてしまった理由をまとめる前に、この後、しばしば登場する用語“「制度品」・「一般品」”について説明しておきます:

*制度品 : メーカーと取引契約のある小売店で販売される化粧品。これらはメーカーから系列の販売会社や支店を通して納入され、メーカーが派遣する美容部員によって、カウンセリング販売(対面販売) されます。コーナー制度、美容部員制度、消費者組織(資生堂/花椿会、コーセー/カトレア会、カネボウ/ベル会)を大きな特徴としています。

制度品販売店
【制度品販売店】

*一般品 : 問屋や代理店を通して、不特定の小売店で販売される化粧品。問屋・代理店と代理店契約を結ぶことはあっても、メーカーとの取引契約はないので、メーカーのコントロールは効きません。その結果、「廉売」の危険性が憂慮されます。それでも、量販店・ドラッグストアでの一般品の活躍が明らかになってくると、制度品メーカーの一般品流通への参入も散見されるようになりました。

一般品売り場
【一般品売り場】

  コーセーとしては、ロレアルを前述の業務用製品のリーダーに育て上げた自信と誇りから、パブリック部門の製品もコーセーの化粧品と同様に「制度品」として、取引契約店全店に流す方針でした。 

 ところが、全方位流通を目論むロレアルにとっては、その当時のコーセーの約8000店の取引店数は余りにも少なすぎるとして、「制度品」ルートに加え、「一般品」ルートでの流通を模索していたところ、すでに特別な関係にあった男性化粧品「メンネン(Mennen)」の代理店「山陽スコット(株)(山陽パルプと米国キンバリー・クラーク社の各50%出資の合弁会社)(注1)」にアプローチして、販売代理店契約を結びました。そこで、前述の条件での㈱ロレコスの設立になったとのことでした。

 ちなみに、山陽スコット社は全国66社の問屋と取引があり、ロレアル側は手放しで喜び、スコットも世界に名だたるロレアルの商材を得て、期待は高まるばかりという状態で、(株)ロレコスは発足したようです。

 社長には、とりあえず、ロレアル/コーセー両社から絶大な信頼を得ているモーリス・アルナルが就任しました。1963年のロレアル/コーセー技術提携時に技術者として来日し、その後、前号で紹介した業務用製品部門のマーケティングを担当する合弁会社「コスメフランス(株)」のマネージャーとして活躍していた人です。ロレコスは実際の業務はヴィリエ専務が担い、それに彼を支える女性秘書一名の体制で発足し、5月初旬に私が加わりました。

 発売商品は、ヘアスプレー(エルネット)、艶出し(エプソン・ブリル)、ヘアカラー(レシタル)の3種類で、雑誌広告・テレビCMも始まっていました。

 私に与えられた最初の仕事は、コーセーとの関係改善で、特に5月27日の“(株)ロレコス設立記念カクテルパーティ”への参加を促すことでした。

(注1)
山陽スコット(株):当社の主な取扱商品は、「スコッティ・ティシュー(ティッシュ・ペーパー)」、「スコット・トイレット・ティシュー(トイレット・ぺーパー)」でした。

次回は、「第六十六話 問題多発!」です。


筆者近影

【安 本 總 一】
現在




▲ページ上部へ


ページトップへ